HR総研:人材育成「テーマ別研修」に関するアンケート調査 結果報告(2019年)実施している研修は「コンプライアンス研修」がトップで6割、今後は「リーダーシップ研修」を強化
前回までの2回にわたる「階層別研修(新入社員研修、管理職研修)」の調査報告に続き、今回は「テーマ別研修」に関する調査結果を報告する。
労働力人口が急速に減少し続ける日本社会において、人材確保が喫緊の課題となる企業には、スピーディーかつ戦略的な人材育成が求められている。このような中、職位や階層にこだわらず、必要な知識やスキルを学ばせる研修体系である「テーマ別研修」は、企業においてどのように活用され、どのような課題があるのだろうか。
「テーマ別研修」について全体像を把握するとともに、「リーダーシップ研修」「キャリア研修」「ハラスメント研修」等、各研修の課題や実施状況等について、フリーコメントによる具体的な意見も含めて検証した結果を、以下に紹介する。
<概要>
●実施しているテーマ別研修は「コンプライアンス研修」がトップで6割。「守りのテーマ」が上位に
●今後、強化する予定の研修は「リーダーシップ研修」がトップ
●課題のトップは「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」
●「ハラスメント研修」の実施企業は半数超え、ただし中小企業は4割にとどまる
●「ハラスメント研修」は「コンプライアンス」として必要、離職者増加にも危機感
●コミュニケーション研修内容は「傾聴力」がトップ
●4~5割の大企業で「キャリア研修」実施、「シニア向け」は中堅・中小企業で1割未満
実施しているテーマ別研修は「コンプライアンス研修」がトップで6割。「守りのテーマ」が上位に
まず、「テーマ別研修」の実施状況について傾向を掴むため、「現在、実施しているテーマ別研修」について聞いてみた。すると、「コンプライアンス研修」が64%で最多であり、次いで「ハラスメント研修」が53%、「個人情報関連研修」が42%などとなっている(図表1-1)。この傾向は前回調査(2018年10月実施、以降同じ)と同様となっており、企業としての社会的責任を果たすための「守りのテーマ」が上位に挙がっていることが分かる。一方、「ダイバーシティ」「グローバルリーダーシップ」等、比較的未来志向である「攻めのテーマ」については優先順位が低く、実施している企業の割合は少ない傾向がうかがえる。
ただし、従業員規模別に見ると、1001名以上の大企業では、ほぼすべてのテーマについて中堅(301~1000名)・中小(300名以下)企業よりも実施率が高く、「ダイバーシティ研修」25%(全体9%)、「グローバルリーダーシップ研修」14%(同4%)となっている。
【図表1-1】実施しているテーマ別研修
今後、強化する予定の研修は「リーダーシップ研修」がトップで3割
次に、「今後、強化する予定の研修」については、「リーダーシップ研修」が28%で最多であり、次いで「ハラスメント研修」が20%、「コンプライアンス研修」が17%などとなっている(図表2-1)。このような傾向は前回調査と同様であり、「管理職研修の内容」としても盛り込まれることの多いテーマについて、課題感を持たれている傾向がうかがえる。
【図表2-1】今後、強化する予定の研修
リーダーシップ研修の実施企業は、大企業では過半数ながら、中小企業では3割にとどまる
「強化する予定の研修」のトップである「リーダーシップ研修」について、改めて実施の有無について質問したところ、「実施している」が41%、「実施していない」が59%となっている(図表3-1)。
従業員規模別にみると、大企業では55%と半数以上の企業で実施しているが、中堅企業は44%、中小企業は32%となっている。特に、中小企業では、「リーダーシップ研修」の優先度は高いとは言えない状況がうかがえ、企業規模に比例して実施している企業の割合も高くなる傾向にある。
では、「リーダーシップ研修」を実施している企業は、受講者に対してどのような課題を抱えているのだろうか。
【図表3-1】従業員規模別 「リーダーシップ研修」実施の有無
「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」が課題のトップで7割
「リーダーシップ研修の受講者に対して抱える課題」については、「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」が73%で最多であり、次いで「部下育成力」が61%、「人間関係構築力/コミュニケーション」が46%などとなっている(図表4-1)。前回調査より「人間関係構築力/コミュニケーション」が1つ順位を上げ、前回比(今回調査―前回調査、[ポイント])8ポイント増となっており、リーダー職のコミュニケーション力不足を懸念していることがうかがえる。
具体的な課題として、「時代の変化に合わせた部下への指導方法」「リーダーとしての意識改革」等に関わる意見が多く見られる(図表4-2)。これらから、社会における価値観の多様化に伴い変化する部下社員の特性を考慮し、組織のリーダーとして、部下の育成や組織作りの役割を担うことへの「意識改革」及び「行動変容」までが求められていることがうかがえる。
【図表4-1】「リーダーシップ研修」の受講者に対して抱える課題
【図表4-2】「リーダーシップ研修」の受講者に対して抱える具体的な課題
| コメント | 従業員規模 | 業種 |
|---|
| 部下の指導ができない | 1001名以上 | メーカー |
| 新しい世代を受け入れていく中、旧態依然とした指導法では人材が育たない。個々の力を組織としてより発揮させることを意識させる必要がある | 1001名以上 | 商社・流通 |
| 時代の変化に合わせた若年層に対しての指導ができない人が多い | 1001名以上 | 商社・流通 |
| 意識改革 | 301~1000名 | サービス |
| プレイヤーからマネージャーに求められること、また他部門との連携等、経営感覚を持ってもらうことを認識してほしい | 301~1000名 | メーカー |
| 部下育成力 | 301~1000名 | メーカー |
| プレイヤーとしての能力面だけでリーダーとなることが多く、マネジメントスキルとしては低い | 300名以下 | メーカー |
| リーダーとしての自覚 | 300名以下 | メーカー |
| まだ組織を纏めるチカラが弱いと感じる | 300名以下 | 情報・通信 |
| 目標達成のため、チーム一丸となって取り組むマインドとスキルの向上 | 300名以下 | 情報・通信 |
リーダーシップ研修の内容は、「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」がトップで8割
実際に実施しているリーダーシップ研修の内容については、「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」が81%で最多であり、次いで「部下育成」が55%、「人間関係構築/コミュニケーション」が50%などとなっている(図表5-1)。この傾向は前述した「受講者に対して抱える課題」と同様であり、課題を踏まえた研修内容が設定されていることが分かる。
【図表5-1】リーダーシップ研修の内容
「ハラスメント研修」の実施企業は「やや増」、ただし中小企業は4割にとどまる
続いて、「ハラスメント研修」について、改めて実施の有無について質問したところ、「実施している」が55%、「実施していない」が45%となっており、この傾向は前回調査より「実施している」企業の割合がやや高くなり、半数を超えている(図表6-1)。また前回比では7ポイント増となっている。
また、従業員規模別にみると、大企業及び中堅企業では、ともに「実施している」企業の割合が71%と7割を超えている。一方、中小企業では「実施している」企業の割合は40%にとどまり、中小企業においては未だハラスメント対策に対する意識が高くない状況にあることがうかがえる。
【図表6-1】従業員規模別 「ハラスメント研修」実施の有無
「ハラスメント研修」は「コンプライアンス」として必要、離職者増加にも危機感
実施している企業において、「ハラスメント研修の実施の背景にある課題」として挙がっている項目は、「コンプライアンスとして」が60%で最多であり、次いで「管理職の認識不足」が47%、「社会的な関心の増加」が45%などとなっている。この傾向は前回調査と顕著な変化は無いものの、「ハラスメント由来の離職者の増加」については前回比9ポイント増となっている。ハラスメントは「人材確保に対する悪影響因子」として危機感を持つことが、ハラスメント研修の実施に向けた強い動機となり、実施企業の増加に繋がっていることも考えられる(図表7-1)。
より具体的な課題としては、「古い企業体質」と「当事者意識の不足」に関する内容が多くみられる(図表7-2)。ハラスメントの根絶に向けては社員一人ひとりの意識改革が必要であるが、歴史のある企業においては、長い年月をかけて築き上げられた社風や企業体質という根深い部分を変えていく必要があるため、根気強く積極的な働きかけが求められる。
【図表7-1】ハラスメント研修の実施の背景にある課題
【図表7-2】ハラスメント研修の実施の背景にある、具体的な課題(一部抜粋)
| コメント | 従業員規模 | 業種 |
|---|
| 古い体質の企業、属している業界の特性もあり、ハラスメントに対する認識が著しく低い | 1001名以上 | メーカー |
| ハラスメントについては、現状かなり浸透してきているので、会社としてのコンプライアンスの一環として最近の社会での傾向等を中心に実施 | 1001名以上 | メーカー |
| コンプライアンス研修とあわせてハラスメント研修も実施している | 1001名以上 | 情報・通信 |
| 実際に起こっても実践できていない | 1001名以上 | 金融 |
| 社会的にハラスメントに対する視線が厳しくなっているので | 301~1000名 | サービス |
| パワハラが疑われるような指導による離職者がいる。昔ながらの認識でハラスメントの適切な認識の不足と社会的な関心の増加への対応 | 301~1000名 | メーカー |
| 相互理解の不足からくるミスコミュニケーション | 301~1000名 | 情報・通信 |
| 管理職の認識不足のため、たびたび部下からハラスメント事案がくる(管理職は全く自覚していない) | 300名以下 | メーカー |
| 当事者意識が希薄 | 300名以下 | メーカー |
| とにかく社員の意識が低い | 300名以下 | マスコミ・コンサル |
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年9月4日~9月11日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事責任者・人材育成ご担当者
有効回答:193件
※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HRプロ運営事務局へのご連絡
・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
・引用先名称(URL) と引用項目(図表No)
・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp
※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
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著者:
HR総研
HR総研は働き方・採用・人材育成・マネジメントなどの領域で広く調査を実施し、 その結果を広く社会に共有する調査機関です。
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「ハラスメント研修の内容」については、「パワハラへの認識」が91%で最多であり、次いで「セクハラへの認識」が87%、「パワハラの判断基準・定義」が83%などとなっている(図表8-1)。この傾向は前回調査と顕著な変化は無く、「パワハラ」「セクハラ」の2つの主要なハラスメントに関する正しい理解を促す内容となっているようである。【図表8-1】ハラスメント研修の内容「ハラスメント研修の効果測定の方法」として、「受講時アンケート」が54%で最多であり、次いで「効果検証はしていない」が29%、「ハラスメント問題の発生数」が15%などとなっている(図表9-1)。研修の効果測定の方法としてアンケートが活用されることは多く、ハラスメント研修についても同様の傾向が見られているが、そもそも「効果検証はしない」とする企業が他の研修より多く見られる。この理由としては、本質的な部分での効果が測りづらく、他の研修とは性質が異なりセンシティブなテーマの一つであることが推測される。【図表9-1】ハラスメント研修の効果測定の方法「コミュニケーション研修」について、改めて実施の有無について質問したところ、「実施している」が28%で「実施していない」が72%となっており、実施している企業の割合は3割に満たない(図表10-1)。HR総研の過去の調査レポートでも記述したように、管理職研修やメンター制度の実施における課題として、「コミュニケーション力不足」が数多く見られるにも関わらず、実際に「コミュニケーション研修」を実施している企業は、企業規模に関わらず半数未満であり、個人のコミュニケーションスキル・能力の向上に積極的に関与しようとする企業が少ないことがうかがえる。【図表10-1】従業員規模別 「コミュニケーション研修」実施の有無「コミュニケーション研修」の「受講者に対して抱える課題」については、「傾聴力」が65%で最多であり、次いで「伝える力」が56%、「部下との関係構築」が55%などとなっている(図表11-1)。具体的な課題としては、上司や先輩の部下や後輩に対する「傾聴力の不足」、部下の上司や先輩に対する「情報発信力や伝える力の不足」が多く見られ、それぞれの立場において特に求められるコミュニケーションスキル・能力に特徴が出ているようである(図表11-2)。また、「外国籍社員との円滑なコミュニケーション」に関する課題も見られ、今後、国内企業における多国籍な人材がより一層増加することが予測される。そのため、言語の問題だけでなく各国独特の文化の違いによりミスコミュニケーションが生じやすくなることが想定され、「外国籍社員との円滑なコミュニケーション」は重要な課題になることも考えられる。では、現在実施している企業においては、どのような位置づけで、誰を対象に「コミュニケーション研修」を実施しているのだろうか。【図表11-1】受講者に対して抱える課題【図表11-2】受講者に対して抱える具体的な課題(一部抜粋)
| コメント | 従業員規模 | 業種 |
|---|
| 完全に縦割りの業務分担になっていることもあり、コミュニケーション能力は決定的に不足している。委託先やパートナー企業とのコミュニケーションにも課題があり、円滑な業務推進に影響していると考えられる | 1001名以上 | メーカー |
| 特に上司、リーダー向けにおいては、部下の話をしっかり傾聴することをロールプレーなど交えて実施 | 1001名以上 | メーカー |
| 先輩社員として、後輩社員の悩みを聞き出すことが難しくなってきている。メンターに頼り切っている | 1001名以上 | 情報・通信 |
| 言葉足らずや感情の高ぶりで、伝えたいことが伝わっていない | 301~1000名 | サービス |
| 部下の話を聞かずに自分の考えを押し付けてしまう | 301~1000名 | メーカー |
| 上司への適切な情報発信力とコンパクトに自分の意見を伝える力 | 301~1000名 | メーカー |
| 外国籍社員を中心に、日本特有のコミュニケーションを学ぶ研修を行っている。また外国籍受け入れメンバー向けも行ったこともある | 300名以下 | 情報・通信 |
| 入社2年目までの社歴の浅い社員の中には、上司やチーム内、お客様とコミュニケーションがうまく取れないケースがある | 300名以下 | 金融 |
| マネジメント力の一部としてが不足するマネジャが多い | 300名以下 | マスコミ・コンサル |
「コミュニケーション研修の実施方針(位置づけ)」については、「階層別研修とは別のプログラムとして実施」が42%、「階層別研修のプログラムとして実施」が41%で拮抗し、「両方がある」が17%となっている(図表12-1)。「階層別研修のプログラムとして実施」「両方がある」を合計すると、58%の企業が「階層別研修」にコミュニケーション研修が盛り込まれていることが分かる。また、対象者は「新入社員」が最多で34%となっており、次いで「全員」が27%、「希望者」が21%などと続いている(図表12-2)。前述のとおり、受講者に対して抱える課題として「部下との関係」「上司との関係」「社外もしくは他部署の関係者との関係」「外国籍社員との関係」等があり、ビジネスマンは、様々なビジネスシーンにおいて柔軟で円滑なコミュニケーションが求められていることがうかがえる。また、社会人になりたての新入社員と、部下を持つとともに社内外における調整ごとが多い管理職等、置かれた立場により必要なスキル・能力は異なることが想定される。そのため、階層別研修を始めとした他テーマの研修に「コミュニケーション研修」を組み込むことで、社員は自身に求められる役割や立場を把握しながら、効果的に実務で発揮できる「生きたコミュニケーションスキル・能力」を身に付けることができると期待される。【図表12-1】コミュニケーション研修の実施方針(位置づけ)【図表12-2】コミュニケーション研修の対象者「コミュニケーション研修の内容」については、「傾聴力」が73%で最多であり、次いで「人間関係・信頼関係の構築」が65%、「伝える力」が53%などとなっており、前述した「受講者に対して抱える課題」に対応した内容となっていることが分かる(図表13-1)。【図表13-1】コミュニケーション研修の内容実施したコミュニケーション研修の「効果測定の方法」については、「受講時アンケート」が63%で最多であり、次いで「レポート」が20%、「研修内で実施した課題等のフォロー」が16%などとなっている(図表14-1)。他研修と同様に、アンケートによる効果測定が最も多く行われているが、「コミュニケーションスキル・能力」という評価基準が曖昧で、相手があって初めて成り立つものであることから、受講者自身に向けたアンケートだけでは効果は測りづらい。また、業績向上や人材の定着率アップ等、コミュニケーションが円滑になることで、間接的な効果が得られていることが想定されるため、研修実施に対する直接的な効果検証の必要性は高くないとも考えられる。【図表14-1】効果測定の方法「キャリア研修」の実施の有無について、「若手向け」「中堅向け」「シニア向け」の3段階に分けて改めて質問したところ、以下のとおりの結果となった(図表15-1)。大企業においては、「若手向け」は39%、「中堅向け」は49%、「シニア向け」は35%、「いずれも実施していない」が35%となっており、中堅企業においては、「若手向け」及び「中堅向け」がともに22%、「シニア向け」が9%、「いずれも実施していない」が64%となっている。さらに、中小企業においては、「若手向け」は25%、「中堅向け」は21%、「シニア向け」は4%、「いずれも実施していない」が64%となっている。いずれの段階のキャリア研修においても、大企業では4~5割の企業が実施しており、企業規模に比例して中堅企業及び中小企業では実施する企業の割合が低くなり、実施している企業の割合は2割以下となっている。特に「シニア向け」は中堅及び中小企業における実施する企業の割合が低く、1割未満となっている。前回調査と比較すると、これらの傾向に顕著な違いは見られないものの、「終身雇用制度の崩壊」が叫ばれる日本の現代社会において、雇用情勢の激変を想定したキャリア研修を実施する企業の割合が増加していくことが考えられる。【図表15-1】従業員規模別 「キャリア研修」実施の有無「若手向けキャリア研修の内容」については、「キャリアの考え方」が63%で最多であり、次いで「強み・弱みの把握、自己理解」が53%、「スキル・能力の棚卸」が41%などとなっている(図表16-1)。前述したとおり、終身雇用制度が約束されない時代になりつつある現代社会において、できるだけ早い段階から自らのキャリアプランを意識することが望ましい。社会人経験の少ない若手に対しては、まずは「キャリアとは何か」「今後、どのようなステージが訪れるのか」「自分はどのような段階にいるのか」等、全体的なイメージを掴むことを重視していることがうかがえる。【図表16-1】若手向けキャリア研修の内容「若手向けキャリア研修の課題」として、具体的にフリーコメントで意見を求めたところ、以下のような意見が寄せられた(図表16-2)。主な課題としては、「環境変化への対応が難しい」「描いたキャリアプランと現実の職場環境等とのギャップ」「キャリアプランを明確に持つことで優秀な人材の離職に繋がる懸念がある」という内容のものが多い。若手の段階から明確なキャリアプランを描くことが望ましい一方で、現実世界である職場や家庭の環境の中で、理想として描くキャリアプランの実現に向けて行動するのは大変困難な状況にあることがうかがえる。また、キャリアアップの手段として、「転職」を選択することが当たり前の時代となっている今日において、キャリアプランの明確化は離職リスクに繋がることは否めない。だからこそ、キャリア研修の実施と併せて、社内の人事制度の見直し等による「従業員エンゲージメントの向上」にも取り組む必要があると考えられる。社内におけるキャリアプランの明確化とエンゲージメントの向上が効果的に連動することで、企業の未来を背負う若手社員の離職回避とともに企業への貢献度の高い職務遂行に繋がることが期待される。【図表16-2】若手向けキャリア研修の課題
| コメント | 従業員規模 | 業種 |
|---|
| 研修自体は有意義な場になっているが、研修を離れ職場に戻ると、現実的にはキャリアに向けたアクションが取れていない。そのあたりを研修後にフォローできればと思う | 1001名以上 | メーカー |
| キャリアプランを描いたところで、希望通りの部署に配属ない等で達成されない、先が見えず優秀な人材ほど転職していく、そもそも人事異動が少なすぎて人が育ちにくい等、問題が多い | 1001名以上 | メーカー |
| ほとんど実施されていないのが現状。若いうちに将来を見据える事が肝要 | 1001名以上 | メーカー |
| キャリア指導できる人材不足 | 1001名以上 | 情報・通信 |
| 研修後のフォローが困難 | 1001名以上 | 金融 |
| 変化が激しく、社内でのキャリア展望はすぐに陳腐化するし、現実味の無いものになる | 301~1000名 | メーカー |
| 会社が期待すること求めること個々人の考え方の接点の見つけ方 | 301~1000名 | 情報・通信 |
| 多様な考えかたの若手キャリアの研修には、テーマを定めるのが難しく、研修の進め方に困惑している | 300名以下 | サービス |
| 新卒採用中心から、キャリア採用中心へと変わっていくと考えており、そのような変化に対する感性を高めていかないといけない | 300名以下 | メーカー |
| 実施したいと思っており、制度設計中。ただ、キャリア研修をすることによって、逆に離職率が高くなることの懸念はある | 300名以下 | 情報・通信 |
| 若手の会社への定着率を継続して向上させるために、ライフプランも考えさせるキャリア研修を実施したいと考えている | 300名以下 | 運輸・不動産・エネルギー |
「中堅向けキャリア研修の内容」については、「強み・弱みの把握、自己理解」が60%で最多であり、次いで「キャリアの考え方」が55%、「スキル・能力の棚卸」が42%などとなっている(図表17-1)。社会人としてある程度の経験と実績が蓄積されてくる中堅人材に対しては、これまでの経験等を踏まえた自己分析を行った上で、より明確なキャリアプランの設計を促す研修が行われる傾向にあることがうかがえる。【図表17-1】中堅向けキャリア研修の内容「中堅向けキャリア研修の課題」として、具体的にフリーコメントで意見を求めたところ、以下のような意見が寄せられた(図表17-2)。主な課題としては、「中堅人材のキャリアプランに関する情報が足りない」「管理職的立場としてのキャリアプランを描いてほしい」「自分なりの仕事スタイルが確立しつつある中堅人材の意識改革が難しい」「中堅向けキャリア研修の指導ができる人材がいない」等、経験や実績がある程度蓄積されてくる中堅人材特有の課題がみられる。中堅人材は、自律的に「自分なりの仕事スタイル」を確立し、キャリアアップできる優秀な人材と、日々漫然と業務をこなす自律性の低い人材との二極化が目立ち始める世代である。求められる役割も多種多様になるとともに、自身のキャリアへの考え方も異なってくる中堅人材を、一様に「中堅人材」として、同じキャリア研修を受講させることに疑問が感じられる。確かに、様々な人材が一堂に会し研修を受けることで、互いに刺激し合い、ボトムアップに繋がるというメリットもあるだろう。しかし、中堅人材のキャリアアップに向けた効果的な支援を行い、企業への貢献度の高い人材を育成することがキャリア研修の目的の一つにあるならば、中堅人材本人や上司の希望を考慮し、個人の状況にあった柔軟な研修方法や内容を検討する必要があるのではないかと考えられる。【図表17-2】中堅向けキャリア研修の課題
| コメント | 従業員規模 | 業種 |
|---|
| 組織に成長性がないこともあり、中堅のキャリアパスとしてのポジションを提示できない | 1001名以上 | メーカー |
| 弊社のキャリア研修は世代別に実施していないため、中堅向けには市場におけるキャリアポジションなどの情報が不足していると感じている | 1001名以上 | メーカー |
| キャリアプランを描いたところで、希望通りの部署に配属ない等で達成されない、先が見えず優秀な人材ほど転職していく、そもそも人事異動が少なすぎて人が育ちにくい等、問題が多い | 1001名以上 | メーカー |
| マネジメント的立場へのキャリアアップの動機付けとしたい | 301~1000名 | メーカー |
| 会社の方向性と個々人の方向性の接点の見つけ方 | 301~1000名 | 情報・通信 |
| 中堅には、中途社員が多いことから、研修には困っていないが、管理職を目指すための研修プランは整っていない | 300名以下 | サービス |
| 中堅クラスになると自分のやり方などが確立しつつあるので、新しい事などに抵抗があるように思います。そこを、改善に向けて努力してもらうことが大変です | 300名以下 | サービス |
| 新卒採用中心から、キャリア採用中心へと変わってゆくと考えており、そういった変化に対する感性を高めていかないといけない | 300名以下 | メーカー |
| 部下を引っ張っていくという意識が足りない為、自身のキャリアについても考える機会が少ない | 300名以下 | メーカー |
| 中堅社員については、自身の能力の棚卸と自身のライフプランを確認見直して業務に当たってもらいたい | 300名以下 | 運輸・不動産・エネルギー |
最後に、企業人生の円熟期を迎えた「シニア人材」に向けたキャリア研修について、現状を見てみる。「シニア向けキャリア研修の内容」については、「ライフプラン設計」が65%で最多であり、次いで「セカンドキャリア計画」が42%、「環境変化の理解」が35%などとなっている(図表18-1)。退職の時期が明確に見えてくるシニア人材に対しては、若手や中堅と異なり、「人生100年時代」や「労働力人口減少」等、今後の社会情勢の変化を考慮し、「セカンドキャリア」の明確なプラン設計を重視した研修が行われる傾向にあることがうかがえる。【図表18-1】シニア向けキャリア研修の内容「シニア向けキャリア研修の課題」として、具体的にフリーコメントで意見を求めたところ、以下のような意見が寄せられた(図表18-2)。主な課題としては、「終身雇用が保証されない社会情勢を踏まえた情報が不足している」「シニアの仕事に対するモチベーションが下がる」「40代から考えないと50代からでは遅い」等、従来の定年退職の年齢に近づくシニア人材特有の課題がみられる。可能な限り早い段階で、「人生100年時代」「終身雇用制度の崩壊」を意識したセカンドキャリアを含むキャリアプランを明確にし、常にキャリアプランを意識したアクションを起こし続けることで、流動的な社会情勢に動揺することなく、より戦略的に自身が理想とするキャリアプランに近づくことができる。また、社内におけるシニア人材の効果的な活用は、今後の「シニア社員自身のモチベーションの維持向上」とともに、企業にとっての喫緊の課題である「労働力人口減少に伴う人材不足の深刻化」の解決に繋がることが期待される。【図表18-2】シニア向けキャリア研修の内容
| コメント | 従業員規模 | 業種 |
|---|
| 終身雇用前提からの過渡期であり、シニアの今後のキャリアに対する意識が低く、実施するタイミングには至っていない | 1001名以上 | メーカー |
| 50代半ばでこれをやっているが、ちょっと遅いのでは?と感じる。かといって40代後半でこれをやって真剣に考えられるかとの思いもあって微妙。終身雇用が保証されないこれからは40代で考え直していくべきとは思う | 1001名以上 | メーカー |
| 弊社の場合は、現状、世代別に実施していない為、シニア世代の方たちにはセカンドキャリアやライフプラン設計といった情報が不足していると感じている | 1001名以上 | メーカー |
| 50代向け研修では、それを受講したことで自分はもう“あがり”だと感じてしまい、職場に戻り急激にモチベーションが下がった人が実際に複数出て、その上司から人事部に対してクレームしたこともある | 1001名以上 | メーカー |
| 個人にアドバイス、サポートする仕組みが必要である。しかしながら、FP他利害を求めるプロはいるが、ニュートラルに個人をサポートする人材、組織がないのが現状である | 1001名以上 | メーカー |
| キャリアの活かし方(給与とのバランスで業務への関わり方が弊社では難しいものがある) | 301~1000名 | 情報・通信 |
| 定年延長に向けて、どういった制度が適当かを考える必要がある。今は延長することに目的があり活用することに重きが置かれていない | 300名以下 | メーカー |
| 立場があいまい | 300名以下 | メーカー |
| モチベーションの維持 | 300名以下 | メーカー |
| シニア向けの前に中堅を対象とした研修をシニアとリンクした研修を実施したい。この会社この職場で働く目的&ビジョンを考えて頂くことで、社員の意識向上に貢献度を高めたい | 300名以下 | 情報・通信 |
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