HR総研:人材育成「テーマ別研修」に関するアンケート調査 結果報告トレンドワードの「ハラスメント」。研修内容のトップは?

HR総研のアンケート調査「人材育成(テーマ別研修)」の結果についてレポートする。
テーマ別研修は、社員のスキル向上を目的とするもの、会社としてのリスクマネジメントを目的とするもの、そして、従業員のモチベーション向上や人生設計の支援を目的とするものなど、その種類は様々だ。
数ある研修の中で、企業は何のテーマに力を入れて、どのような内容の研修を行っているのか。そして、どのような課題を抱いて、今後どこに注力しようとしているのか。
今回の調査でも、企業人事の「生の声」をまとめてご紹介したい。

●コンプライアンス研修の実施企業は6割、ハラスメント研修が5割に迫る

テーマ別研修の実施状況について聞いたところ、「コンプライアンス研修」(57%)がトップだった。2位は「ハラスメント研修」(48%)で、昨年調査より8ポイントアップしている。パワハラ、セクハラ、モラハラ、セカハラ、マタハラ等々、昨今のハラスメント定義とその対策は複雑化していることも背景にあるだろう。3位の「メンタルヘルス研修」(45%)、5位の「個人情報関連研修」(40%)など、会社のリスクマネジメントに関する研修が上位を占める結果となった。
その他、トップ10の顔ぶれや実施率は若干の変動はあるものの、昨年の調査結果と大きくは変わらない。
注目は、11位の「コーチング研修」の伸びである。昨年の15%から6ポイント増となっている。昨年あたりから導入企業が増えている「1on1ミーティング」では、マネージャーのコーチング力が問われており、それに合わせた伸びだと考えられる。

【図表1】実施している「テーマ別研修」

●今後強化する予定の研修は「リーダーシップ研修」がトップ

一方で、今後強化する予定の研修でトップを占めたのは「リーダーシップ研修」(30%)だった。同率2位の「コンプライアンス研修」(19%)、「ハラスメント研修」(19%)を10ポイント以上引き離している。
3位以下には、「コミュニケーション研修」(16%)、「キャリア研修」(16%)、「コーチング研修」(15%)が続く。
昨年2位で20%を占めていた「メンタルヘルス研修」が、今回調査では10%にまで減少したことは注目に値する。働き方改革の推進で、労働環境が改善されたことも背景にあるのだろうか。

【図表2】今後強化する予定の研修

●「リーダーシップ研修」の内容は「リーダーとしての在り方」が最多

現状の「リーダーシップ研修」では、どのような内容を扱っているのだろうか。
最も多かったのは「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」(80%)だった。以下、「部下育成」(63%)、「人間関係構築/コミュニケーション」(52%)、「組織マネジメント」(51%)と続く。この傾向は、昨年調査と変わらない。

具体的な研修内容を、フリーコメントから抜粋して紹介する。

「リーダーとして求められる意識、役割」「状況に応じたリーダーシップスタイルとその使い分け」「変革をリードする組織づくり」「外部環境から見た自社、現状の自分」「業務効率改善、目標設定」「組織の成功循環」(メーカー/1001名以上)
「1.リーダーシップとは」「2.リーダーの取るべき態度・行動」「3.リーダー役とチームメンバー、ファシリテーター等 役割を決め、多くの役割を体験する何セットかのミニ体験ワーク演習を実施」(メーカー/1001名以上)
次期管理職候補としての意識変革を目指している(メーカー/1001名以上)
プレイヤーからマネージャーへの役割が変化することを理解させる。若手従業員との関わり方(運輸・不動産・エネルギー//1001名以上)
360度調査など活用、関係性や他者からの指摘事項を如何に繋げるかディスカッションする(サービス/301〜1000名)
リーダーとして明確な目的意識を認識させること。そして、部下を自分と同等のレベルまで引き上げること。また、苦手意識のある会計・財務知識の習得、出来れば利益経営からキャッシュフロー経営への意識改革の理解(メーカー/300名以下)

【図表3】リーダーシップ研修の内容

●「リーダーシップ研修の課題」も「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」で変わらず

リーダーシップ研修の課題でトップを占めたのは、現行の研修内容と同じく「リーダーとしての在り方・姿勢・役割意識」(69%)だった。以降の傾向を見ても、研修内容と課題はほぼ一致している。
優秀なプレイヤーが組織のリーダーに抜擢された場合、マネジメント能力や部下育成能力、コミュニケーション能力など、個人プレーでは必要とされなかったスキルも求められる。
フリーコメントを見ると、こうした優秀なプレイヤーを、優秀なマネージャー(リーダー)に昇華させたい、という悩みが散見された。
以下、いくつかを抜粋して紹介する。

自分が置かれている立場や役割、会社から期待されていること、部下に与える影響などの自覚と覚悟がない(サービス/1001名以上)
女性リーダー研修を実施しているが、意識を変えていく点が難しい(メーカー/1001名以上)
マネジメントやコミュニケーションが苦手な社員が多くなってきており、より若い層からなんらかの教育が必要なのではないかと考えている(情報・通信/1001名以上)
プレイヤーとして優秀な方を引き上げる傾向にあるため、リーダー適性を高めたい(メーカー/301〜1000名)
リーダークラスの社員があまり部下の育成に対して時間を取るという感覚がなく、基本はプレーヤーとして動いている(情報・通信/300名以下)

【図表4】リーダーシップ研修対象者に対して抱えている課題

●企業規模が大きいほど「キャリア研修」に熱心

「キャリア研修」には、対象とする世代によって、「若手向け」「中堅向け」「シニア向け」の3つに分けられる。その目的も、世代によってそれぞれだ。
調査の結果、「いずれも実施していない」が全体の53%で、半数を超えた。従業員数300名以下の中小企業では、実に72%の企業が「キャリア研修」を実施していない。
実施している企業では、「若手向けキャリア研修を実施」(32%)、「中堅向けキャリア研修を実施」(34%)、「シニア向けキャリア研修を実施」(18%)で、シニア対象の研修はやや少ない。
企業規模別で見ると、従業員数が多い企業ほど、これらの研修を実施している。特に「中堅向けキャリア研修」の実施状況は、従業員数1001名以上の大企業で59%が実施しており、他を大きく引き離している。シニアになってからでは遅く、シニアになる前から意識を変えてもらう必要性を痛感しているのだろう。

【図表5】「キャリア研修」の実施

●「若手向けキャリア研修」では、自己分析とキャリアイメージの形成が中心

「若手向けキャリア研修」の内容は、「強み・弱みの把握、自己理解」(77%)がトップで、以降、「キャリアの考え方」(69%)、「キャリアプランの作成」(52%)が続く。成長のためには、短期、中期、長期の目標設定が必要だが、経験の少ない若手人材には、それは難しい。まずは自己分析と、キャリアイメージについて考える手助けが必要、ということだろう。そして、これらの取り組みは、若手人材の「モチベーションアップ」にもつながる。
とはいえ、この「キャリアを考えさせる」という点に課題を感じる企業も少なくない。特にメーカーからは、「キャリアを考えさせることが離職リスクにつながるのでは?」という消極的な回答も見られた。
フリーコメントからいくつか抜粋してみよう。

特に若手に対して研修でキャリアの意識づけをすると、離職につながるとの考えがあり、実施に至っていない。自分で描いたキャリアプランを実現できるような人事システムとの連携が必要(メーカー/1001名以上)
キャリアプランを考えるときに、時間軸を用いて具体的にイメージさせることが難しい(メーカー/1001名以上)
将来を考えるには経験が無さ過ぎる(メーカー/1001名以上)
管理職経験まで時間がかかる為、それまでモチベーションを維持させること(メーカー/301〜1000名)
気を付けないと転職への意識が芽生えてしまう可能性がある(メーカー/300名以下)

【図表6】若手向けキャリア研修の内容

●「中堅向けキャリア研修」の内容も「強み・弱みの把握、自己理解」がトップ

「中堅向けキャリア研修」の内容も、「強み・弱みの把握、自己理解」(68%)がトップだった。2位は「キャリアの考え方」(55%)、3位は「スキル・能力の棚卸」(53%)である。
中堅以降になると、ある程度のスキルと経験が蓄積されている。それをまず棚卸して自己分析させた上で、「キャリアプラン」を考える必要がある。
しかし、こうした中堅層は「職場の主力」として目前の業務に追われており、それが課題となっているケースもあるようだ。

あまり外の世界を見ていない、知らないため、市場における自己のポジションを描きにくい。上だけを見て、忠実に会社に従うことを良しとする企業文化がある(メーカー/1001名以上)
外部環境の変化を受け入れる姿勢がない。目の前の仕事の処理で余裕がない(メーカー/1001名以上)
キャリアを考えさせることはいいが、現場に戻るとそれがリセットされてしまう(メーカー/1001名以上)
管理職を目指すモチベーションコントロールに響く働きかけ(メーカー/301〜1000名)
同一業務での時間が長く、自己改革しづらい(メーカー/300名以下)

【図表7】中堅向けキャリア研修の内容

●「シニア向けキャリア研修」では「セカンドキャリア(退職後)計画」や「ライフプラン設計」がメインに

「シニア向けキャリア研修」では、「セカンドキャリア(退職後)計画」(56%)と「ライフプラン設計(お金・仕事・家族・プライベート含む)」(49%)、「スキル・能力の棚卸」(34%)がトップ3を占める。
「人生100年時代」という言葉が生まれ、「65歳選択定年制」の導入が進む昨今、退職後の人生設計まで会社が積極的に啓蒙を進める時代となった。
しかし、フリーコメントを見ると、従業員の意識が追い付いていない現状が散見される。

会社に仕えてきた中で、シニアになってからキャリアを考えても、今さら感がある。シニア社員で雇用継続できれば十分という感覚が強い(メーカー/1001名以上)
定年延長&雇用延長で60歳以降も働く方と働かない方が別れるため画一的な研修が適切でなくなってきている(メーカー/1001名以上)
キャリアプランの作成について、高年齢の方は意欲がわかない(メーカー/1001名以上)
定年延長等雇用継続への期待や要請が高まってくれば必要性は増すと考える(サービス/301〜1000名)
セカンドキャリアについて話すと、会社への貢献意識が下がる(メーカー/301〜1000名)
自身の過去の実績から評価を求める傾向がある。時代のニーズと本人の求める仕事とのギャップに悩む社員がおり、環境の変化と本人の力の差を理解させるのが難しい(情報・通信/301〜1000名)
退職後のライフプランが明確ではない場合が多く、自分の強みと弱みの把握は出来ていないケースが多い(メーカー/300名以下)

◆続いては、「ハラスメント研修」のレポートです。気になる結果は、ログインしてご確認ください。

【図表8】シニア向けキャリア研修の内容

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【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年10月29日〜11月5日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事責任者・人材育成ご担当者
有効回答:187件

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