レガシーコスト

レガシー(legacy)は「遺産」のことです。つまり「レガシーコスト」とは、過去のしがらみから生じる負担のことです。

公害や薬害など、当事者に現在も多大な負担を強いている場合に使われるほか、情報通信やエレクトロニクスの分野では、少数の利用者が存在するために、ほとんど使われなくなった過去の機器・システムの生産を続けなくてはならないケースでかかるコストを指すこともあります。

人事分野では一般的に、退職者に対して支払い続ける必要のある年金や保険料のことを指しますが、年功序列型賃金による人件費の増大も含めることがあります。

年金や保険料などのレガシーコストが企業に深刻な影響を与えた例としては、2009年、アメリカの大手自動車メーカー、クライスラーとゼネラルモーターズの経営破綻があげられます。その原因は自動車の売れ行き不振もさることながら、企業年金による膨大なレガシーコストによるものといわれています。

アメリカの大手自動車メーカーに企業年金制度が導入されたのは、第二次世界大戦後の好景気のなか、自動車の販売が急激に伸びた頃です。その後、影響力の強い全米自動車労働組合の存在もあり、年金や医療保険は拡充の一途をたどりました。企業側も目の前の賃上げよりも、支払いの発生が先になる年金や保険料での譲歩を続け、問題を先送りしました。その結果、ゼネラルモーターズの場合、2008年度の年金や医療保険の負担額が約135億ドルにもなったといわれています。

このようなことは、国民皆保険制度のないアメリカだからこそ大きな問題となったわけですが、2010年に経営破綻した日本航空(JAL)でも同様のレガシーコストが問題となりました。そのため、経営再建に当たって同社は、OB世代にまでさかのぼって企業年金を大幅に削減(退職者で平均30%、現役社員で平均50%)しています。

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