「昼寝制度」とは、企業が生産性の向上を目的として、就業時間中に社員が仮眠をとることを認める制度のこと。

眠気に襲われた状態で仕事をしても頭が働かず、アイデアが出なかったりミスをしたりして、結局、時間がかかってしまう場合があります。それより、短時間の睡眠をとって頭をすっきりさせた方が、仕事がはかどると考える人は少なくないでしょう。

この昼寝の効能は、近年、「パワーナップ(power-nap)」として世界的に注目を集めています。パワーナップは、コーネル大学の社会心理学者、ジェームス・マース氏の研究に基づく造語で、昼寝やうたたねを意味する「nap」と「power-up」をつなげたもの。マース氏は、日中の10分から30分程度の短い仮眠、パワーナップは、脳と体を休ませるために最大の効果を発揮する睡眠法であると提唱しています。現在、ほかにもさまざまな大学や研究機関で、パワーナップの効果を裏付ける検証が行われています。

欧米では、グーグル、ナイキ、ブリティッシュ・エアウェイズなど、数々の有名企業が就業時間中にパワーナップを導入。また、業務においてきわめて高い集中力が求められるNASAやアメリカ海兵隊でも、スケジュールの中にパワーナップの時間を組み込んでいるといわれます。

日本でも、厚生労働省が2014年3月に公表した「健康づくりのための睡眠指針2014」において、午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的であるとしており、昼寝の効能が公的な“お墨付き”を得ています。最近は、昼寝制度やパワーナップ制度を導入する企業も増え始めてきました。仮眠をとる場所は「どこでも可」とする企業もあれば、間仕切り付きのソファを置いた専用スペースを設ける企業もあり、各社各様。導入後は、経理部門で眠気による計算ミスを削減できた、車で外回りをする営業担当が居眠り運転のリスクを減らせた、といった効果が出ているケースもあります。

こうした制度を導入する場合、一般的に、多くの職場では「勤務中に居眠りなんて」という意識が強いため、上司が率先して仮眠をとることが浸透、定着につながるようです。