「社内通貨」とは、企業が自社の従業員向けに発行する社内利用限定の通貨のこと。

企業独自のポイント制度ともいえるもので、企業が従業員に社内通貨を付与することでモチベーション向上を図ったり、従業員同士が社内通貨を贈り合うことで社内コミュニケーションの円滑化を促したりというように使われています。付与された社内通貨は、企業が用意した商品や社内サービスと交換して使うことができる仕組みです。

社内通貨制度は、2000年代後半から先進的な企業が導入し始め、次第に注目を集めるようになりました。その後、社内通貨制度の運用を支援するASPサービスを提供する企業が登場したこともあり、現在では中堅中小企業を含めて、取り入れる企業が増えてきています。

活用方法としては、例えば、社内コンテストなどを行う際、成績優秀者や参加者にインセンティブを社内通貨で付与したり、違う部署のスタッフに仕事を手伝ってもらった時に、感謝の気持ちを伝えるために社内通貨を贈ったりと、さまざまな使い方が可能です。最近はリファラル採用(社員紹介)制度に力を入れる企業が増えていますが、社員が知人を紹介してくれた時、採用が決まった時に、謝礼として社内通貨を付与する仕組みを設け、社内通貨制度を人材採用コスト削減につなげている企業もあります。

また、社内の部門間で業務を依頼する時に社内通貨を支払う制度を導入し、社員のコスト意識を高めるとともに業務効率の向上につなげているメーカーもあります。社外の業者への発注とは異なり、社内での仕事の依頼は「無料」と思われがちですが、社内通貨を支払っていると思えば、漠然とした内容の依頼が少なくなり、作業効率が上がることが期待できるわけです。

さらに、最近では、働き方改革や健康経営に社内通貨制度を役立てている企業も出てきています。例えば、残業をしなかった場合や残業時間を削減できた場合に一定の社内通貨を付与する、1日に歩いた歩数に応じて一定の社内通貨を付与するというように、社内通貨をインセンティブとすることで、残業時間の削減や社員の健康維持・増進を図る企業の取り組みが注目されています。

社内通貨の交換対象も、業務に関連した資格取得やスキル修得の講座などに限定すれば、社員の自主的な学びを促すことが可能です。アイデア次第で、多様な目的に社内通貨制度を役立てることができるでしょう。