江崎グリコ株式会社は2021年11月16日、育休コミュニティ「MIRAIS」と共同で実施した、「男性育休取得者、および取得予定者とそのパートナーへの育休意識調査」の結果を発表した。調査期間は2021年7月27日~8月15日で、現在妊娠中もしくは0歳~3歳までの子を持ち、本人またはパートナーが男性育休取得済み、または取得予定の292名(うち男性65名、女性227名)から回答を得た。これにより、男女のビジネスパーソンの「男性育休」に関する意識などが明らかとなった。
男性育休取得者の約9割が「育休に満足」、取得後のポジティブな変化やパートナーの反応とは

8割の男性育休取得者が「不安」と回答。仕事上の要因が上位に

2022年4月より、「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されることにより、政府は「男性育休取得率」の引き上げを目標としている。そのような中で、「男性の育休取得」に関するビジネスパーソンの意識はどのようになっているのだろうか。はじめに、男性育休取得者・取得予定者に対し、「育休取得について不安はあった(ある)か」を尋ねている。「はい」が80%となり、約8割の男性が育休取得について不安を感じていることがわかった。

「不安の要因」については、「復帰後の仕事への影響(配置転換、昇進など)」が47.7%と最多に。以下、「仕事の引き継ぎ」が46.2%、「職場の反応」が41.5%などと続いた。「育休前後の仕事」に関する不安を抱える男性が多く、ロールモデルの不在や、職場のサポートが追いついていない実態が明らかとなった。
男性育休取得に対し不安はあったか

育休取得の理由は「パートナーのサポート」が最多。「ライフプラン見直し」への活用も

男性育休取得者・取得予定者に「育休を取得したい理由」を聞いている。回答は「パートナーのサポート」が78.5%、「子どもとの時間を作りたい」が70.8%で上位となった。また、4位に「家族のライフプラン見直し」(21.5%)、5位に「自分のライフプラン見直し」(18.5%)があることから、育休を「パートナーのサポート」の目的で取得するだけでなく、「子どもとの時間を大切に過ごす期間」や、「家族や自身の生き方を見つめる機会」として、主体的に活用しているケースもあることがうかがえる。
男性育休取得の理由

育休中に実行できたのは「パートナーや子どもとの時間確保」、「家事のサポート」など

次に、男性育休取得者に「育休中に実行できたこと」を尋ねている。断トツだったのは「パートナーを支え、子ども・家族との時間を大切に過ごせた」で95.8%が回答。次いで「子育てに集中できた」が77.1%、「家事を十分に行えた」が62.5%であった。育休中、パートナーや子どもとの時間確保、家事などのサポートが実行できていたことがうかがえる。
育休中、実行できたことは何か

「育休取得後のポジティブな変化」を実感した人が7割以上

男性育休取得者に対して聞いた「育休後の仕事面でのポジティブな変化」については、51.7%が「育休取得者に対する理解が生まれた」と回答。以下、「プライベートの話がしやすくなった」が31%、「休暇などが取りやすくなった」が20.7%などであった。一方、「特になし」と答えた人が27.6%いたことから、全体の7割以上が育休取得後、何らかのポジティブな変化を感じていることがわかった。
育休後、仕事面でどのようなポジティブな変化があったか

約9割が育休に「満足」と回答。「家族との信頼強化につながった」との声も

男性育休取得者の「育休に対する満足度」は、「大変満足」が54.2%、「満足」が35.4%と、合計89.6%が「おおむね満足」していた。

また、満足度を育休の取得期間別に見たところ、「大変満足」と回答した人は、「2週間未満」で26.7%、「2週間以上1ヵ月未満」で40%、「1ヵ月以上」で78.3%に。「育休取得期間」と「満足度」は比例することがうかがえる結果となった。

「満足度が高かった理由」について、フリーコメントから「育休を通じて、新たな価値観を持つことができた」、「家族との信頼関係が強まった」といった声を紹介。一方で、「不満を感じた理由」の回答には、「できればもっと長く育休を取得したかった」など、「期間」に関する意見が多かった。
男性育休取得者自身の満足度

男性育休取得に「満足」と回答したパートナーは8割以上に

最後に、男性育休取得者のパートナーに対し、「男性育休に対する満足度」を聞いている。結果は「大変満足」が43%、「やや満足」が39.5%となり、合計82.5%が「おおむね満足」していた。

「満足」と回答した理由について「育児の大変さや喜びをパートナーと共有できた」、「家族の“チーム感”がさらに増した」、「復職時に生活リズムを作るのがスムーズだった」といった声があがった。一方で、「不満」の理由については、「1ヵ月程度の期間だったので、育児に慣れてきた頃には終わってしまった」など、男性と同じく「期間」に関する声が多かった。
男性育休取得者のパートナーの満足度
育休取得により、「自身の新たな価値観の形成」や「復職後のポジティブな変化」につながっていることから、満足感を感じている男性も多いことがわかるレポートであった。男性育休の取得率向上のためには、企業として「男性育休」への理解を深め、ロールモデルを増やすことで、「育休を取得しやすい雰囲気」を作っていくことも大切なのではないだろうか。

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