ウォンテッドリー株式会社は2021年8月30日、企業と働き手の双方を対象に実施した「デジタル人材に関する調査」の結果を発表した。そのうち、企業を対象とした調査期間は2021年8月18日~24日で、148社の人事・採用担当者から回答を得た。これにより、デジタル人材の充足度や、充足度等による社内の雰囲気の違いなどが明らかとなった。
約7割の企業でデジタル人材が不足。成長環境の整備が人材の充足度に影響か

約7割にあたる108社が「デジタル人材が不足している」と回答

DX推進が国内企業の課題となっている現在、デジタル人材の充足度はどのようになっているのだろうか。

はじめに「自社のデジタル人材は充足しているか」を尋ねた。すると、「充足している」が28%で、3割に満たないことが判明。一方「不足している」が69%と、約7割の企業がデジタル人材の不足を感じていることが明らかとなった。また、残りの3%の企業は「デジタル人材を必要としていない」との回答だった。
自社のデジタル人材は充足しているか

約6割の企業で「1~5人」デジタル人材が不足、社員規模に比例して不足数も増加

続いて、「デジタル人材が不足している」とした102社に、「不足人数」を尋ねた。すると、「1~5人」が62%で最多に。以下、「6~10人」(10%)、「11~20人」(8%)、「21~50人」(4%)、「51人以上」(7%)と、合計29%の企業が「6人以上不足している」と回答した。
デジタル人材は何人不足しているか
また、デジタル人材の不足人数を「企業の社員規模別」に分けた。すると、社員数が「10人未満」、「11~30人」、「31~50人」の企業では「1~5人」がいずれも8割以上となった。他方、「101~300人」と「301人以上」の企業では「51人以上」が約3割に。企業の社員規模が大きくなるにつれ、不足人数も比例して大きくなっていくという傾向が明らかとなった。
企業の社員規模ごとのデジタル人材不足数

7割弱が「エンジニア職」のデジタル人材を求めている

続いて、「デジタル人材が不足している」と答えた企業に対し、「どのような職種のデジタル人材を必要としているか」を複数回答で尋ねた。すると、「エンジニア・プログラマ」が67%で最多に。以下、「プロダクトマネージャー」が53%、「テックリード(エンジニアリングマネージャー・アーキテクト)」が41%と続いた。
どのような職種のデジタル人材を必要としているか

「デジタル人材に期待すること」として約6割の企業が「既存サービス改善」や「新サービス開発」と回答

また、「デジタル人材が不足している」企業に対し、「デジタル人材に期待すること」を複数回答で尋ねた。すると、「既存サービス改善」が63%、「新サービス開発」が59%、「新しいビジネスの創出」が42%、「業務効率化」が39%と続いた。
デジタル人材に期待すること

デジタル人材の充足/不足によって、社内の雰囲気に差も

次に、「企業の雰囲気」を、デジタル人材が「充足している企業」と「不足している企業」に分けて比較した。「充足」している企業の方が回答割合が高かった項目を見てみると、「新しいスキルを磨くことが奨励されている」が90%で、「不足」企業と12ポイントの差がついた。以下、「女性が活躍している」が10ポイント差、「意思決定がボトムアップだ」が8ポイント差と続いた。他方で、「挑戦することが評価される」や「上下関係がなくフラット」などの項目では、大きな差は見られなかった。
デジタル人材が充足/不足している企業の「雰囲気」の差

企業の雰囲気の違いは設立年数も関係しているか

また、「企業の雰囲気」について、設立年数別に比較した。すると、「新しいスキルを磨くことが奨励されている」は設立年数が「3年未満」で80%、「4~10年」で81%、「11年以上」が84%となり、設立年数が長いほど高い結果となった。他方、「意思決定がボトムアップだ」、「仕事を楽しんでいる社員が多い」、「裁量が大きい」といった項目については、設立年数が長くなるにつれてポイントが低くなるという結果が得られた。
企業の雰囲気と設立年数の関係
本調査により、約7割の企業がデジタル人材の不足を感じていること、エンジニア職のデジタル人材の需要が高いことなどが明らかとなった。また、デジタル人材の充足/不足企業の間に「雰囲気の差」、つまり企業風土の違いがあることがわかった。デジタル人材を獲得するためには、「新しいスキルの習得を奨励する」、「女性活躍を推進する」といった、社員の成長環境を整えることも重要になるかもしれない。

この記事にリアクションをお願いします!