4月24日にリクルートホールディングス・リクルートワークス研究所より、2015年3月卒業予定者の大卒求人倍率が発表されました。学生の民間企業就職希望者数は、前年の42.6万人から42.3万人へと微減だったのに対して、民間企業の求人総数は前年の54.4万人から68.3万人へと25.6%の大幅増となり、大卒求人倍率は前年の1.28倍から1.61倍へと0.33ポイントの大幅上昇となっています[図表1]。
これまでにもHR総研をはじめ、就職情報会社や新聞各社による採用計画数調査の結果が発表され、前年よりも企業の採用意欲が高まっていることは報道されていましたが、新卒採用の基本指標となっているリクルートワークス研究所の大卒求人倍率により、経年比較が可能になりました。今回の1.61倍は、リーマン・ショック直後(注)の2010年3月卒業予定者の1.62倍とほぼ同じ水準に戻ったことになります。

 (注)リーマン・ショックは2008年9月に起こりましたが、その時点で翌2009年卒採用はほぼ終結しており、その影響が表れたのは2010年卒採用からになります。
第38回 2015年3月卒業予定者の大卒求人倍率

より厳しくなる中小企業の採用環境

新聞各社の調査は大企業中心の調査となっているのに対して、リクルートワークス研究所の調査は中小・中堅企業も対象の調査であることが特徴です。従業員規模別求人数の対前年増減率を見てみると、「1000~4999人」「5000人以上」の大企業においてはそれぞれ+4.5%、+5.0%と微増だったのに対して、「300~999人」の中堅企業では+11.9%、「300人未満」の中小企業では+44.5%と大幅増となっています。中小企業の採用意欲の高まりが、大卒求人倍率の底上げとなっていることが分かります。
 また、従業員規模別の求人倍率を見ると、「5000人以上」は0.55倍(前年0.54倍)、「1000~4999人」は0.84倍(同0.79倍)、「300~999人」は1.19倍(同1.03倍)とそれほど大きく上昇していないのに対して、「300人未満」では前年の3.26倍から4.52倍へと実に1.26ポイントもの上昇となっています[図表2]。選考スケジュールが前年よりも2週間ほど前倒しになっているなど、大手企業同士による学生の激しい争奪戦が報じられていますが、その裏で中小企業の採用は、その比ではない厳しさにさらされているというわけです。
 採用スケジュールが繰り下げとなる2016年新卒採用では、中小企業はさらに厳しい環境に置かれることになります。今回は、2016年新卒採用を視野に入れたインターンシップと、来年の面接選考開始時期について取り上げてみたいと思います。
第38回 2015年3月卒業予定者の大卒求人倍率

インターンシップ実施企業が急増

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