半数近くが「10社以上」のインターンシップに参加

ここからはインターンシップ(1day仕事体験を含む)への取り組み状況を見ていきます。

まずは、「インターンシップ参加社数」です。文系では、「10~19社」が24%で最も多く、次いで僅差で「20社以上」(23%)が続き、両方を合わせた「10社以上」(以下同じ)の割合は47%と半数近くに上ります[図表11]。なお、前回調査では、「10社以上」は27%にとどまっていました。今回調査では20ポイントも増えており、学生のインターンシップ参加社数がさらに伸びている様子がうかがえます。また、「4~6社」、「7~9社」の割合がいずれも20%あり、これらを合計した「4社以上」の割合は86%にも達しました。今や「3社以下」(「0社」~「3社」の合計、以下同じ)は極めて少数派となっています。

一方、理系で最も多かったのは「4~6社」の26%で、次いで「3社」16%、「10~19社」15%と続きます。「10社以上」は27%にとどまり、文系とは20ポイントもの開きがあるものの、前回調査(22%)からは5ポイント増えています。ただ、「3社以下」の割合を見ると、38%と4割近くもあり、こちらも前回調査(32%)からは6ポイント増えています。理系のインターンシップ参加社数においては、「拡大派」と「絞り込み派」の二極化が起こっているようです。
[図表11]インターンシップ参加社数
次に、参加したインターンシップの社数について実施形式別で見てみると、「対面型」のインターンシップについては「4~6社」が24%で最多となっており、「3社以上」(「3社」~「20社以上」の合計)参加した学生の割合は48%と、半数近くに及ぶことが分かります[図表12]。前回調査では「対面型」のインターンシップに「3社以上」参加した学生は27%にとどまっており、今回調査では20ポイント以上も増えていることになります。逆に、「0社」の割合は、前回調査の22%から12%へ10ポイントも減少するなど、インターンシップの参加形式が、コロナ禍で広まった「オンライン型」から「対面型」への回帰傾向にあることがうかがえます。

一方、「オンライン型」では、最多は「対面型」と同じく「4~6社」の22%であるものの、「10~19社」が19%、「20社以上」も10%であり、両方を合わせた「10社以上」の割合が3割近くと、前回調査(20%)から9ポイント増えています。「対面型」に比べてインターンシップの定員数自体が多いことや、移動の手間がないなどの手軽さから参加のハードルが低く、参加社数を引き上げているようです。このように、参加したインターンシップの大半は「オンライン型」であることは依然として変わりはありません。一方で、「0社」と回答した割合が前回調査の3%から8%へと増えていることは、「対面型」しか参加したことのない学生の増加を示しており、ここからも「オンライン型」から「対面型」への回帰傾向が見て取れます。
[図表12]インターンシップの形式別参加社数

インターンシップに選考優遇を求める学生たち

学生が参加したインターンシップの形式別に日数タイプを比べてみた結果が[図表13]です。

対面型では「2~4日程度」が最多で62%、次いで「1日」が60%で6割を超え、「半日」(33%)と「1週間程度」(32%)も3割を超えています。「三省合意」の改正を受けて、職場での就業体験を含めた5日間以上の実施期間など一定基準を満たすインターンシップに参加した学生情報を採用活動に活用できるようになったことから、「1週間程度」以上の日数タイプのインターンシップを開催する企業が増えました。「1週間程度」以上の期間をすべて合計すると43%と、参加した学生割合は4割を超えるまでになっています。

一方、オンライン型では「1日」が最多で75%、次いで「半日」が63%となるなど、1日完結型が主流となっています。これらは正式にはインターンシップではなく、「1day仕事体験」と呼ばれるもので、企業や業界の説明等がメインとなることが多いため、オンラインで気軽に参加したい学生が多いことがうかがえます。ただ、オンライン型でも、「2~4日程度」の複数日程タイプについて、56%と半数以上の学生が参加した経験を持っているようです。
[図表13]参加したインターンシップの形式別日数タイプ
ところで、学生はどのような観点で参加するインターンシップを選択しているのでしょうか。「インターンシップ選定で重視すること」を聞いてみたところ、「就職したい業種であること」(81%)、「就職したい企業であること」(78%)の二つの項目が8割程度の学生から選ばれています[図表14]。就職活動の早期には、志望する「企業」を具体的に絞り込めていない場合もあり、まずは関心のある「業種」であることが大切なようです。続いて、「プログラム内容」(52%)や「仕事体験」(47%)を抑えて、「採用選考で優遇される可能性があること」が56%と高い割合になっています。半数以上の学生において、インターンシップが単に業界理解や仕事理解のためだけでなく、早期選考に参加できたり、一部の選考ステップが免除されたりするなど、何らか採用選考での優遇や特典につながっていることが望まれているようです。
[図表14]参加するインターンシップ選定で重視すること
後述しますが、「インターンシップの内容で最も重視していること」についてフリーテキストで回答してもらった中にも、選考に関わる記載がありましたので、抜粋して挙げてみます。

・本選考への優遇があるか(文系、上位私立大)
・インターンシップ経由で選考の優遇があるのが、最も重要な点である(理系、早慶大クラス)
・自分が興味を持っている業界・職種について詳細な知識を得たり、選考の優遇を得たりすること(文系、旧帝大クラス)
・選考に有利であるかどうか(理系、上位国公立大)
・早期選考に呼ばれるなど、何かしらの優遇があること(理系、旧帝大クラス)
・自分が将来入りたい業界で、やりたい・興味のある実務体験ができる点、かつ早期の案内等の優遇がある点(理系、中堅私立大)
・今後、インターンに参加しない限り入社できないような仕組みが主流になっても良いと思う(理系、早慶大クラス)
・選考を有利にするためにインターンシップに参加しているため、特に内容は気にしていない(文系、上位国公立大)
・行きたい企業であり、選考に有利に働くかどうかを重視している(文系、上位国公立大)
・インターンにとどまらず、選考のステップに乗るきっかけになること(文系、上位私立大)
・選考のスキップなど優遇があること(理系、旧帝大クラス)
・ホームページを見ただけでは分からない会社説明や企業情報をまず知りたい。選考優遇があるなら、なおさら参加したい(文系、上位私立大)

今後、インターンシップ参加者の獲得競争がさらに激化することが予想される中、インターンシップの募集情報に、可能な範囲内で参加メリットについても記載することが有効なようです。ただ、就職ナビに掲載する募集情報では記載内容に制約があるでしょうから、記載内容を自由に展開できる自社HPでの募集に注力することが求められそうだと言えます。

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