ESで不動の地位を築いたカゴメ

最後は少し趣向を変えて、良しあしではなく、あくまでも印象に残った「エントリーシート」をランキングにしてみました[図表5]
[図表5]印象に残っているエントリーシートTOP10
1位は、もはや不動といっても過言ではない「カゴメ」(47票)で、ネットと手書きの2種類のエントリーシート併用や、同社独自のユニークな設問とその分量の多さが学生にインパクトを残しているようです。

・得意教科やベストバイなど個人の趣味趣向を聞いてくる質問が多かった(理系・旧帝大クラス)
・野菜に関することや健康に関することなど、企業の業務内容に合ったエントリーシートで印象に残りました(文系・上位私立大)
・さまざまな職種、年齢、性別の方のコメントを見ることができたこと。その感想を書くところもあり、印象に残った(理系・中堅私立大)
・自由記述欄があり、就活生の中身を本気で見定めようとしていると感じた(文系・上位私立大)
・自分自身を紙一枚に自由に表現することができるエントリーシートだった(理系・上位私立大)
・ネット提出に加えて手書きのエントリーシートを提出した(文系・その他私立大)
・職種別だからか、職種にまつわる特殊な質問があった(文系・上位国公立大)

2位は「アクセンチュア」(40票)。こちらも同社独自の設問構成とその分量の多さ、さらには時間制限まであることが学生に強烈な印象を残しています。

・文字数が多かったものの、質問の意図が分かりやすかった(文系・旧帝大クラス)
・回答に要求される文字量が多く、質問もざっくりとした感じではなかった(文系・上位私立大)
・質問が多いし、時間制限により入力した内容も消される可能性がある(文系・旧帝大クラス)
・企業理念から一つ選びエピソードを書くものは初めてだった(文系・上位私立大)
・自分自身の価値観を問われるような設問が多く、特徴的だと感じた(理系・旧帝大クラス)
・会社独自の質問が多く、しっかりと企業研究が必要であった(理系・旧帝大クラス)
・コンサルにしてはESの設問がしっかりしていた(文系・上位私立大)
・面倒くさい質問が多かった(文系・早慶大クラス)

3位は「旭化成」(36票)。「セミナー・会社説明会」での得票数と同様に、こちらも得票数では文系が理系を大きく上回っています。毎年キーワードを替えて出題される自由作文が、今回も学生の印象に深く刷り込まれています。

・九つの単語のうち三つを組み合わせて自由に文章を作れ、という設問は旭化成にしかなかった(文系・旧帝大クラス)
・お題の語をいくつか使用して文を作りなさい、という質問が印象的であった(文系・早慶大クラス)
・面接で一切関係ない質問をされた(文系・早慶大クラス)
・詩を書く設問があった(文系・上位私立大)
・ポエムを書くタイプのエントリーシートは初めてであった(理系・その他国公立大)
・説明会の内容への感想も聞かれて、珍しいエントリーシートだった(理系・その他国公立大)

以上、「インターンシップ」「採用ホームページ」「セミナー・会社説明会」「面接官」「エントリーシート」の五つのテーマで、学生に印象の良かった(「エントリーシート」については印象に残った)企業を聞いた結果を、得票数でランキング化し、それぞれ上位10社を見てきました。

すべてのランキングに顔を出した企業が2社だけあります。1社は「楽天グループ」で、毎年の調査でも常連となっている企業になります。そしてもう1社は、今回の調査で突如として現れた「アイリスオーヤマ」です。「アイリスオーヤマ」について、前回の調査データを振り返ってみると、いずれのテーマでも1桁台の得票にとどまっていました。今年の新卒採用市場において大きく化け、採用ブランディングに大成功したといえるでしょう。ユニークな商品企画だけでなく、新卒採用市場における今後の同社の動向に注目していきたいと思います。

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