ターゲット層に変化がある企業の3割がジョブ型採用導入

導入企業が徐々に増えつつある「ジョブ型雇用」ですが、企業への入り口である新卒採用においては、企業はどのような意向を持っているのでしょうか。「2023年新卒採用でのジョブ型(職種別)採用の導入意向」を聞いてみたところ、全体では「導入する」が19%と2割近くになったものの、企業規模による違いも鮮明に表れています[図表11]
[図表11]2023年卒採用でのジョブ型(職種別)採用の導入意向
大企業では「導入する」が26%で、「導入しない」が56%とまだ過半数を占めています。企業規模が小さくなるほど「導入する」の割合は低下し、中堅企業では21%、中小企業では13%と、大企業の半分の割合となっています。そもそも「ジョブ型雇用」導入の動き自体が、まずは管理職から導入して運用をスタートさせてみて、ある程度軌道に乗ったところで非管理職にも拡大していくのが一般的な流れとなっており、新卒採用での導入が進むにはまだまだ時間がかかるものと思われます。

次に、企業規模ではなく、前掲[図表1]で挙げた「ターゲット層となる学生の条件に変化が出てきているか」という視点で、ターゲット層の変化の有無別にジョブ型採用の導入状況を見てみましょう[図表12]
[図表12]2023年卒採用でのジョブ型(職種別)採用の導入意向
「導入する」の割合は、「変化していない」の15%、「どちらとも言えない」の16%に対して、「変化してきている」では28%となっており、ターゲット層が変化している企業ほど、ジョブ型採用を導入する割合が高いことがうかがえます。ターゲット層の変化の要因として「事業変革に伴う人材要件の変更」が最も多く挙がっているとおり、自社が推進する事業に必要な能力やスキルを持つ人材を、ジョブ型採用で獲得しようとしていることが推測されます。

売り手市場への移行や採用単価の上昇を心配する声

最後に、「2023年新卒採用で変化すると思われること」として寄せられた採用担当者のフリーコメントを紹介します。参考にしてください。

・ミスマッチの増加(1,001名以上、メーカー)
・1人当たりの採用単価の上昇(1001名以上、サービス)
・一気に売り手市場に移行するだろう(301~1000名、サービス)
・JTB、日本航空をはじめ、就活人気ランキング常連の巨人たちが新卒採用を再開することが象徴的だが、競争がまた激化すると思っている(301~1000名、商社・流通)
・ジョブ型採用や特別枠(初任給の格差をつける)の採用がさらに増えてくる(301~1000名、メーカー)
・解禁時期の形骸化がより進む(301~1000名、情報・通信)
・学生が企業における勤務形態(テレワーク率など)による選別をしていく(300名以下、情報・通信)
・情報システム業界は、実務経験1~2年で転職を繰り返したほうが収入が格段に上がるため、育成投資を回収しきれないまま社員が流出してしまうことが多く、今後もこういった傾向は変わらない、もしくは悪化すると考えています(300名以下、情報・通信)
・学生時代のエピソード不足が起こる(300名以下、サービス)
・就職ナビサイトを使用する学生が減る(300名以下、サービス)
・時代の流れに柔軟に対応できる企業体制であるかという点を見られていくと考えます(300名以下、サービス)
・内々定早期化傾向、対面比率向上(昨年比)(300名以下、メーカー)
・新卒採用の必要性を再検討し、新卒よりも第二新卒(社会人経験あり)の採用を強化するかもしれない(300名以下、メーカー)
・オンラインの活用形態がどんどん洗練、多様化するのではないかと予想します(300名以下、メーカー)
・学生が強気になる(300名以下、マスコミ・コンサル)

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