大学ルートの重要度が低下する大企業

では、ターゲット層を採用するために実施・検討している施策は何かを聞いたところ、全体で最も多かったのは「インターンシップの活用」で38%、次いで「キャリアセンター・就職部訪問」31%、「大学主催の学内セミナー」25%などと続きます[図表3]。ターゲット層の所属する大学ルートの活用は、ほかにも「研究室訪問」(17%)があります。
[図表3]ターゲット層を採用するために実施・検討している施策(複数回答)
ただ、企業規模別に見ると、「インターンシップの活用」はすべての企業規模で高い反面、「キャリアセンター・就職部訪問」と「大学主催の学内セミナー」は中堅・中小企業では3割前後と高いものの、大企業ではそれぞれ18%、15%とそれほど高くなく、「先輩・リクルーターの活用」(26%)、「リファラル採用」(21%)がそれを上回ります。「研究室訪問」についても、中堅企業の24%に対して大企業は12%にとどまっています。

トヨタ自動車のように推薦応募廃止を宣言するまでの企業はあまり出ていないものの、これまでのように大学からの推薦に依存せず、ターゲットとなる学生を自由応募から十分採用できる環境になってきているのでしょう。大企業では大学ルートの活用は、かつてほどの重点施策ではなくなってきていることがうかがえます。中堅企業では、「逆求人サイト」が33%と、大企業・中小企業(15%)の2倍以上となっている点が注目されます。

セミナー・説明会は中小企業もオンラインが主軸

ここからは具体的な採用活動の状況について見ていきましょう。まずは「個別企業セミナー・説明会の開催時期」を見ると、大企業では「2021年12月」ごろまでは2割前後の水準が続き、年明けから増え始め、政府主導の就活ルールでも採用広報が解禁となる「2022年3月」がピークで47%となり、「2022年4月」も38%と4割近くが開催予定となっています[図表4]
[図表4]個別企業セミナー・説明会の開催時期(複数回答)
ただ、「2022年5月」「2022年6月」になると2割強に減少し、「2022年7月以降」に開催予定の企業は12%にとどまります。中堅企業では、「2021年11月」ごろまで2割前後で推移し、「2021年12月」から増え始め、「2022年2月」には55%と過半数に達しています。そして、大企業と同じく「2022年3月」にはピークを迎え、74%と4社に3社が実施する予定となっています。「2022年4月」も60%と高くなっていますが、「2022年5月」41%、「2022年6月」31%と減少し、「2022年7月以降」は3割もありません。

中小企業では、「セミナー・説明会は開催しない」が最も多く36%となる一方、開催する企業で最も多い開催月は、やはり大企業・中堅企業と同様に「2022年3月」で32%となっています。「2021年7月」から「2021年10月」までは企業規模による差異はあまり見られませんが、大企業・中堅企業で実施割合が増えてくる「2021年11月」以降も中小企業ではあまり変動が見られず、「2022年2月」から「2022年4月」では中堅企業と40ポイント前後もの開きが生じています。開催時期の分散具合は、企業規模別によってかなり異なる傾向がうかがえます。

次に、「個別企業セミナー・説明会の開催形式」を見ると、全体では「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が36%で最多、次いで「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」と「オンライン形式のみで実施」がともに26%の同数で並び、「対面形式のみで実施」はわずか5%となっています[図表5]
[図表5]個別企業セミナー・説明会の形式
企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「対面形式のみで実施」とする企業はなく、大企業では「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が最多で46%と半数近くに上り、「オンライン形式のみで実施」が29%となり、これらを合計した「オンライン形式主体で実施」(以下同じ)が75%と4分の3を占めています。中堅企業では「オンライン形式主体で実施」の割合が59%と6割を占め、大企業と同様にオンライン型での開催が主流となっているものの、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」は36%と3分の1を超え、大企業とは10ポイント以上多くなっています。

一方、中小企業では「対面形式のみで実施」の割合が13%あるものの、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」は19%にとどまり、両方を合計した31%が「対面形式を主体として実施」という意向を示していますが、これは中堅企業よりも5ポイント低い割合となります。「オンライン形式主体で実施」の割合は56%と過半数となり、大企業と中堅企業に並んで、中小企業でもオンライン型での開催が多数派となっています。

面接では説明会以上に「対面形式」の割合が上昇

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