大企業で多い「グループ面接」「グループディスカッション」

今度は、「実施する面接の形態」について見てみましょう。まず企業規模別では、すべての規模において「個人面接」をほとんどの企業で実施することが分かります[図表8]
[図表8]実施する面接の形態(複数回答)
ただ、「ほとんど」とは「すべて」ではないということです。大企業の9%、中小企業の3%では「個人面接」を実施しないとしています。私としては、そちらのほうが気になってしまいます。

なお、2020年10月にHR総研が実施した「2021年&2022年新卒採用動向調査」の結果を振り返ってみたところ、「個人面接」の実施割合は中堅企業では100%であるものの、大企業93%、中小企業96%となっており、今回と同様の傾向が確認できました。これらの企業では、最終面接も「グループ面接」などで実施されているということなのでしょうか。

「個人面接」以外の形態での実施意向を見ると、次は「グループ面接」が多く、大企業では44%、中堅企業で26%、中小企業で13%となっています。大企業では「グループディスカッション」も24%と比較的多くなっています。上記の2020年10月調査における「2022年卒の面接選考の実施形態」の結果では、大企業の「グループ面接」「グループディスカッション」の割合はいずれも14%にとどまっていたのに対して、2023年卒では実施する割合が大きく上昇していることになります。

2021年卒採用からいち早くオンライン面接に踏み切った大企業においても、オンラインに不慣れな学生を集めての「グループ面接」の運営に不安を感じ、2022年卒採用ではまだ実施割合が低いままになっていたことが推測されます。一方、2023年卒採用では人事担当者も学生もオンライン慣れしてきたこともあり、オンライン形式においても人材の見極めに必要な実施形態を選択できる体制を整えられた企業が多くなってきたと考えられます。

中堅企業の3割は内定出し開始時期を前倒し

「内定(内々定)出しの開始時期」については、大企業では「2022年4月」が32%と、「2022年3月」の6%と比較して格段に高くなり、明確なピークを迎えます。「2022年4月」までに開始する割合は77%と8割近くに上っています[図表9]
[図表9]内定(内々定)出しの開始時期
中堅企業も大企業と同じく「2022年4月」が26%でピークを迎えますが、大企業と違って「2022年3月」も21%と高い割合になっています。「2022年4月」までに内定出しを開始する割合は79%と同じく8割程度となっています。

一方、中小企業では「2022年7月以降」が25%で最も多く、大企業や中堅企業より遅い時期を予定している企業が多くなっています。これは、大企業や中堅企業の選考や内定出しのタイミングと被らないように、あえて後ろ倒しにする、例年と同様の構図となっています。ただし、「2022年4月」も21%あるとともに、「2021年6月以前」は大企業や中堅企業よりやや多い12%となっており、選考開始時期でも見られたように、それに連動して内定出しの開始時期も分散していることがうかがえます。

「内定(内々定)出し開始時期の前年比較」を見ると、全体では「ほとんど変わらない」が圧倒的に多く84%、「1カ月超早まる」が9%、「2週間超~1カ月早まる」が3%などとなっており、大多数は前年と同時期での内定出しを計画していることがうかがえます[図表10]。「早まる派」(「1カ月超早まる」~「1週間以内早まる」の割合の合計)は14%、「遅くなる派」(「1週間以内遅くなる」~「1カ月超遅くなる」の割合の合計)は2%となり、「早まる派」のほうが多くなっています。企業の採用意欲の回復とともに、新型コロナ感染状況がどうなるか見通せない中で、できるだけ早めに活動しておこうという思いが企業側にあるものと推測されます。
[図表10]内定(内々定)出し開始時期の前年比較
企業規模別に見ると、大企業では「ほとんど変わらない」が94%と大半を占め、残りは「1カ月超早まる」が6%となっています。「早まる派」が最も多かったのは中堅企業で、「1カ月超早まる」の17%を筆頭に、「早まる派」は27%と3割近くにも及びます。内定出し開始時期を「2022年3月」とする割合が他の企業規模よりも突出している点にも、それが表れているものと考えられます。早めに内定出しを行い、内定者を囲い込んだ上で後から動機形成に注力しようということなのかもしれません。

ターゲット層に変化がある企業の3割がジョブ型採用導入

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