今、世界を支配しているiPhoneやFacebookといった製品やプラットフォームは、なぜ日本から出なかったのか? どうすれば、日本発でグローバルカンパニーに成長していくテックベンチャーやイノベーティブリーダーが生まれるのか? DX(デジタル・トランスフォーメーション)時代におけるこれら難題を、ITベンチャーキャピタリストのアレン・マイナー氏と、グローバル企業のCHROを歴任するクリスチャン バリオス氏はどう捉えているのでしょうか。シリコンバレーと日本を知る二人に、HRエグゼクティブコンソーシアム代表の楠田祐氏が切り込みます。

協賛:株式会社JSOL

講師

  • アレン・マイナー

    アレン・マイナー 氏

    株式会社サンブリッジ 取締役ファウンダー タレンタ株式会社 社外取締役

    1987年から日本オラクルの初代代表として同社の立ち上げに貢献し、今日の記録的成長の礎を築きあげる。1999年に株式会社サンブリッジの代表取締役として、数多くのベンチャー企業への投資に加え、株式会社セールスフォース・ドットコムをはじめとする海外クラウドベンダーの日本におけるジョイントベンチャーの設立にも携わる。これまでに投資してきたベンチャー企業は65件を超え、7件にのぼる株式公開を実現、現在までに新事業、新産業の創出、および日本のベンチャーを取り巻く環境の発展に貢献する。日本ベンチャーキャピタル協会の設立メンバーであり、現在は顧問を務める。



  • クリスチャン

    クリスチャン バリオス 氏

    日本アイ・ビー・エム株式会社 常務執行役員 人事担当

    チリ出身。1991年に日本の文部省の国費留学生として来日し神戸大学経済学部大学院にてMBA取得。大学院卒業後、人材コンサルティング会社でIT業界に特化したコンサルタントとして活躍。2002年に米国大手メーカー デル株式会社にて北アジアの採用の責任者、日本の人事本部長、アジア太平洋地域の人事統括本部長などを務めた。2013年シスコシステムズ執行役員人事本部長に就任し、日本のビジネスの他、アジア地域のサービス・プロバイダービジネスの人事をリード。2016年からインドのバンガロールにて、海外におけるシスコの最大規模拠点の人事役員として活躍。2018年の春に帰国し、日本アイ・ビー・エムに入社。



  • 楠田

    楠田 祐 氏

    HRエグゼクティブコンソーシアム 代表

    NECなどエレクトロニクス関連企業3社を経験した後、ベンチャー企業を10年間社長として経営。中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)客員教授を7年経験した後、2017年4月より現職。2009年より年間数百社の人事部門を毎年訪問。人事部門の役割と人事のキャリアについて研究している。2016年より、毎週、Podcast『楠田祐の人事放送局~有名企業の人事部長にズバリ聞く!』(ProFuture)のパーソナリティを務める。主 な著書:『破壊と創造の人事』(Discover 21)、『内定力 2017 ~就活生が知っておきたい企業の「採用基準」』(マイナビ)。

これからのDX時代、世界的企業に成長していけるテックベンチャーとイノベーティブリーダーをいかにつくるか

日本で起業したテックベンチャーに世界の一流人材が集まるか

楠田氏 今日は、グローバルなITビジネス、また日本についてよくご存じのマイナーさん、バリオスさんのお二人に、いろいろ伺いたいと思います。最近は日本でもシリコンバレー的なものを作ろうということを政府が言い出していますが、日本でDXのテックベンチャーが起業して、グローバルカンパニーとして成長していくことは本当に可能なのでしょうか。世界的なITベンチャーキャピタリストであるマイナーさんは、どうお考えですか。起業しても、世界中の優秀なエンジニアなどの人材が日本に集まってくるでしょうか。シリコンバレーになら行きたいと思うでしょうが、難しいのではないかと私は少し懐疑的なのですが。

マイナー氏 以前は私も懐疑的でした。ただ、10年ほど前、山形県鶴岡市に本社を置き、世界初の合成クモ糸繊維を開発したスパイバーというスタートアップ企業を知り、関心を持つようになりました。当時は、鶴岡でなくシリコンバレーに移転すれば資金も集まるし、何より世界中から一流の研究者が集まるだろうと考えていたのですが、実際は違いました。今ではスパイバーは人工構造タンパク質の分野で世界的に知られるベンチャーとなり、この企業がやろうとしていることのすごさに感動した世界の研究者が、イタリアやインドやアメリカなどから日本語を全くわからないのに応募してきて、東京ではなく鶴岡で現在20名ほどが研究開発に携わっていると聞いています。

楠田氏 なるほど。バリオスさんはどうお考えですか。

バリオス氏 シリコンバレーでないといけないということは必ずしもないと思います。例えば、私はインドで仕事をしたことがありますが、バンガロールという都市はインドのシリコンバレーと呼ばれ、テックハブになっています。ですから、日本でも同じことができると思います。環境とアイデアとリーダーシップがあれば、道は開けると思います。

楠田氏 インドのエンジニアというと、シリコンバレーに行く人が多いのではないでしょうか?

バリオス氏 私は人事の仕事をしていますから、インドやアジアの色々なタレントから「日本で仕事をしたいから何かあれば紹介してください」というアプローチが来ます。ですから、日本に対する興味がないということではないですね。

マイナー氏 バンガロールもそうですが、それまでは何もなかったところにテックセンターが生まれる例はあります。私の地元はアメリカのユタ州で、今日もユタ州からこのセッションに参加していますが、ここは80年代の初めには、(後にグローバルカンパニーに成長するソフトウェア企業が数社生まれたくらいで)畑などが広がる田舎でした。それが、今ではハイテク産業の集積地です。優秀なエンジニアが集まるからと、ユタ州に移転してくるIT企業もあるほどです。大きな成功をなし遂げるベンチャーが生まれ、それが継続すれば、どこででもテックセンターは生まれるのです。

バリオス氏 そうですね。成功例を作ることが重要だと思います。インドのバンガロールも成功例の積み重ねで大きくなっていきましたが、ハイデラバードやチェンナイも同じようにしてテックハブになりつつあります。

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