マーケティング視点で学生のニーズを鑑みることが必要

特に大きな問題だと感じるのは、学生、企業、採用支援会社の3者の足並みがそろっていないことです。今までは会社に入ってからキャリアを考えればよく、単に文系、理系という分類さえあれば、キャリアは後からついてきました。しかし終身雇用制度がなくなったため、会社がキャリアを保証してくれなくなりました。つまり、自分自身でキャリアを考える時代になったということです。従来のように終身雇用ではない時代だからこそ、学生は企業の想像以上に、自分自身がファーストキャリアとして何を選ぶべきかをしっかりと考えています。職種や希望業界に加え、働き方や働く目的ごとに細分化が進んでいるのです。

ところが企業と採用支援会社は、こうした学生側のニーズにまだまだ追いついていません。企業側は学生の変化に気づきつつも、なるべく手間をかけず採用したいと考えています。また、採用支援会社は「就職ナビ」と「合同説明会」という両輪が収益源です。採用活動は、人事部が唯一、かなりのお金をかけて行う活動です。合同説明会は、採用支援会社が企業側に自社の就職ナビを長く使ってもらうためにも重要なサービスの一つですので、これらを簡単に変えることはできないでしょう。前述のように、人事は横並び意識が強いので「あの他社も出展するならうちも出さなきゃ」という気持ちになります。こうしたある意味、人事と採用支援会社との蜜月が、今までの日本の採用活動を形成してきました。

しかし、これからの時代は、学生個々の働くニーズに焦点を定めなければ、採用活動を成功させるのは難しいでしょう。文系、理系といった大きな母集団に対して広告を配信して合同説明会へ呼び込む一括採用時代は、終わりを迎えつつあります。

みなさんもご存知のように、マーケティングのフレームワークで「STP」というものがあります。「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」の3つの言葉の略です。いままでは学生を文系、理系、希望業界などでセグメンテーションするだけでOKでした。しかし、現在はセグメンテーションした学生の中から、学生の働き方や価値観、キャリア形成などの視点やニーズを理解し、マーケティング視点をもとに、人事部自体が学生へダイレクトにアプローチしていかなければなりません。

かといって就職ナビがなくなるわけではありません。採用支援会社も、これからはセグメンテーションだけでなく、ターゲティングも支援するサービスを積極的に打ち出していく必要があるでしょう。

採用活動は今まさに過渡期です。新たな時代がこれから幕を開けようとしています。
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