初任給25万円で応募者は増えるか

もう一つ、初任給の観点からも志望度への影響を聞いてみました[図表3]。2019年度新入社員の初任給平均額は、大卒者で21万2304円(労務行政研究所調べ)ですが、初任給がいくら以上だと志望度が上がるものでしょうか。
第102回 人事担当者の人柄や対応の良さで志望度は上がる ── HR総研「2020年卒学生 就職活動動向調査」
「初任給にはまったくこだわらない」とする学生は、文系で48%、理系で38%でした。逆に、文系の52%。理系の62%、つまり文系の半数以上、理系では6割以上の学生が初任給額によって志望度が変わるということです。具体的な金額で見てみると、「22万円以上だと志望度が上がる」とする学生が文系で33%、理系で31%もいます。前出の平均額との差は1万円もありません。これで志望度が変わるのであれば、考えてみる手はありそうです。さらに、「25万円以上だと志望度が上がる」とする学生は、文系で13%、理系では21%にも上ります。「22万円以上」と合計すれば、文系の46%、理系の52%は「25万円以上だと志望度が上がる」ということです。

ソニーやNECが求めるレベルのAIエンジニアを想定した場合には、このような金額では何の意味も持ちませんが、それらの層とは別の学生層を対象とした場合には、それほど高額な処遇を提示しなくても志望度に影響を与えることができそうです。もちろん、特別処遇の学生を1人でも誕生させるためには、既存の社員の給与体系や制度の見直しや説明を並行して行うとともに、他の応募者が納得できる説明を用意する必要があります。

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