文系・理系ともに、トップは順当に「仕事内容」で、文系59%、理系56%と6割近い学生が選択しています。これは当然と言えば当然でしょうが、驚くべきは2位と3位です。文系・理系ともに順位は同じで、2位「給与・待遇」(文系52%、理系56%:1位とはコンマ以下の差)、3位「福利厚生」(文系50%、理系50%)となっており、これらの項目だけが5割を超えています。文系では、4位にも「休日・休暇・残業」(46%)と待遇項目が続き、5位にようやく「社員の人柄・対応」(45%)、6位「社風・企業文化」(44%)がきています。理系を見ると、4位に「安定性」(42%)がきた後、5位にはやはり「休日・休暇・残業」(40%)がランクインし、「業種」(39%)はその次です。

いまどきの学生のホンネは、「待遇」「休日」といった、いわばプライベートに寄った項目に極めて関心が高くなっています。6月の本稿で、働き方改革の取り組みの中で学生が気になるのは、「有給休暇の取得促進」「長時間労働の是正」「フレックスタイム」といった時間に関するものが上位に並び、ワーク・ライフ・バランス重視の傾向があると指摘しましたが、ここでも同様の結果が見られます。

転勤の有無が志望度に影響しない学生は3割程度

次に、転勤の有無が志望度に影響を与えるかを聞いたところ、「転勤は志望度に影響しない」とした学生は、文系で28%、理系で33%と3割程度にとどまりました[図表2]。残りの学生は、転勤の有無が何らか影響を与えるとしています。その中で最も多かったのは、「転勤がないと志望度が上がった」とする学生で、文系・理系ともに31%に上ります。「転居を伴わない転勤であればよい」とする学生も、文系で12%、理系で10%と少なくありません。
第102回 人事担当者の人柄や対応の良さで志望度は上がる ── HR総研「2020年卒学生 就職活動動向調査」
外資系金融大手のAIG損害保険が、総合職も含めて意にそぐわない全国転勤制度を廃止するとしましたが、採用活動に与えるインパクトは大きそうです。若いうちは転勤をいとわず、知らない土地で生活できる楽しみも大きいものではありますが、ある程度年齢を重ね、家庭を持ち、マイホームを購入し、子どもも成長して学校に通うようになると、そう簡単には引っ越しもできなくなります。結果、単身赴任を余儀なくされるようになってしまいます。さらに、そのうち親の介護問題も考えざるを得なくなります。兄弟姉妹の数が少なくなった現代では、介護問題はほとんどの人に関係してくる問題と言えます。他の企業も、頻繁な転勤や異動が果たして本当に必要なのかどうか、再度見直してみることを迫られそうです。

初任給25万円で応募者は増えるか

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