94歳現役人事コンサルタント、梅島みよが行く第9回 日本企業の「女子教育」に失望、米国企業視察旅行を企画 | 採用、育成・研修、労務・人事に関する情報ならHRプロ

人事にプロのサポートを―新卒採用、中途採用、人材育成、研修、人材マネジメント、労務、人事システム、適性検査ならHRプロ

  • 第3回HRテクノロジー大賞<締切2018.6.14>
94歳現役人事コンサルタント、梅島みよが行く

第9回 日本企業の「女子教育」に失望、米国企業視察旅行を企画

株式会社マネジメント サービス センター 顧問 梅島 みよ
2018/05/17

女性講師の有能な働きぶりを見て、機を見るに敏な社長が「ウメさん、女性講師をもっと増員しよう」と言い、早速、募集を始めました。女性教育コンサルタントは、会社での勤務経験や、社会人としての十分な良識が必要です。若過ぎても不相応なので、対象年齢は28歳以上としました。すると思いがけず素晴らしい人達から数多くの応募があり、その中からまず4名を採用し、講師として教育しました。
彼女達は評判も良く、顧客の期待に応えて良い仕事をしてくれました。以来、毎年2、3名ほど採用を続け、そのうち15名以上を抱える大所帯となりました。そこで社長は、「女性コンサルタントを纏めて『女性能力開発部」を組織せよ」と命じました。一つの部署として纏まると、彼女達は、全員一丸となって多くの注文をこなし、業績をあげ、会社の中でパワフルな存在となっていきました。時代も女性の活用を求めていたので、私は彼女達と共に、「職場における女性の能力開発と活用、そして女性社員の役割拡大」というテーマを、長期に渡って追い続けていこうと決めました。 

とはいえ、各社を訪問して、女性社員の能力開発と活用を説いても、人事担当者の意見に失望させられるケースも多くありました。教育内容について、「女子社員にはマナー教育で十分」と言うのです。そうした男性担当者にとっては、女性は何年勤務しても「女子」、つまり「女の子」なのです。

新入女性社員教育ならば、マナーだけで良いでしょう。でも、2年目、3年目、ましてベテラン社員となったら、後輩指導、仕事の改善、グループの纏め役といった役割があります。そのため私達は「コミュニケーション論や人間関係、リーダーシップを発揮する女性リーダー育成などの教育内容が必要です」と説くのですが、なかなか受け入れられてもらえません。

いっこうに打破できない状況に業を煮やし、私は「米国企業ではどうなのか?」と考えました。 訪米して、女性社員教育や、女性の能力開発と活用の実情を見て来たい ―― そう考えた私は社長に願い出て、米国に出張することにしました。そこでまず、米国の大企業50社宛てに手紙を書きました。「私は日本企業で女性社員教育をしています。貴社の女性社員教育の企画を知りたいのです」といった内容です。

すると、運よく35社以上から返事が来ました。どの社も「我が社は男女別の教育企画はありませんが、是非ご来社ください」というように返してくれました。私は興奮と喜びを感じながら、その中から訪問先を12社に絞りました。1ドル360円の頃で、出張経費を考えると1ヵ月間の滞在が精一杯です。顧客各社に声を掛けると、4社が同行を決めてくれました。そこへIBM勤務の娘と旅行社の人も加えて計7人で出発です。

この渡米で、アメリカ電話電信会社(AT&T)の訪問時、期せずして、ダグラス・W・ブレイ博士の話を聞けたことは幸運でした。博士は著名な心理学者で、人材の能力評価を研究しており、当時、AT&T社の管理者選抜の仕事をされていました。この博士との出会いによって、MSCは「アセスメント・プログラム」という大きな商品を得ることになります。私にとっても、女性能力開発と活用のテーマに加え、生涯の研究課題となる「人材の能力発見と評価」という新テーマを得ることができたのでした。
  • 1

プロフィール

株式会社マネジメント サービス センター 顧問 梅島 みよ

1924年、静岡県出身。1944年津田英学塾卒業。在日米陸軍司令部(訓練課)で管理者訓練トレーナーとして勤務した後、日立製作所を経て、訓練コンサルタントとして独立。1966年には、米軍時代の仲間と共に経営・人事コンサルタント会社である株式会社マネジメント サービス センター(MSC)を設立。同社社長、会長を経て、現在は顧問を務める。日本における経営・人事コンサルタントのパイオニアとして知られている。


梅島みよ氏 著書『今を生きる90代女性のビジネス・ライフ』

関連リンク

  • 特別読み切り

    ハラスメント防止の鍵は思いやり

    総務省の「労働力調査年報」によると、2016年の労働力人口は6,648万人。これに、翌2017年の厚労省による「将来推計人口」の結果を交えて勘案すると、2065年には2016年時点より、労働力人口が、約4割減少する見通しだ。
    労働市場が衰退していく中で、今後必要とされるのは、女性の活躍や、病気や介護者を抱えていても働ける就業環境であろう。多様な人々が、多様な働き方で、幸せに生きていける社会を目指す中、最近、巷で話題となっている、パワハラ・セクハラ事件。こうしたハラスメントは、多様性、生産性はおろか、仕事にも人生にも、何一ついいことはない。その防止対策は、日本社会において重大なテーマである。

  • 人材育成コラム-プロが教えるコツとポイント-

    働き方改革の担い手でもある「管理職」を「成果を出せるリーダー」へ

    明確なビジョンをもってリーダーシップを発揮し、個人ではなく組織として成果を出すことができる人材が管理職のあるべき姿。分かってはいても、なかなか思い通りの人材を確保できないのが実情です。今回は、組織の成果を担う管理職の育成に役立つ「管理職研修」についてご紹介します。

  • 人・組織にかかわる調査報告『人材開発白書』

    なぜ組織の成果があがらないのか〜組織マネジメントに必要な2つの側面〜

    事業成果を上げるために、どの企業も戦略を策定していることでしょう。しかし、戦略を策定するだけでは成果は上がりません。その戦略を実行することが欠かせません。現場のメンバーが実行してはじめてその果実を手にすることができるのです。その際にカギとなるものがミドルマネジャーです。ミドルマネジャーは、どうすればメンバーに戦略を実行させることができるのでしょうか。どのような組織マネジメントが必要なのでしょうか。国内企業27社、2,170 人への定量調査結果をもとに、成果志向の組織のマネジメント方法を説明します。

  • 働き方改革 実現への切り札とは? 〜インセンティブ制度がもたらす企業と社員のWin-Winの関係〜

    第5回 インセンティブ導入のポイント(その1)

    前回は、改めて裁量労働制の意義を問うと同時に、その導入や賞与の調整などで、インセンティブの原資を確保する方法を会社側の視点で記述した。無論、会社側の視点だけでインセンティブを導入しても、それで社員の満足が得られるかどうかは、また別の話である。社員のモチベーションを向上させるには、どれだけ成果をあげればどれだけの報酬が得られるかを、明確に公表することが大前提となる。
    もちろん、公表されたものが魅力的な内容でなければ、社員のモチベーションは逆に下がってしまうリスクも発生する。社員側から見た魅力的というのは、目標値に対する達成度に応じた支給額を公表する「支給テーブル」に記載されるインセンティブの支給額に他ならないが、会社側は予算との兼ね合いで十分に検討する必要がある。これには、支給額導入前の給与体系がどのようなものであったかも考慮する必要があるが、おおむね次のように考えるのがいいだろう。

  • 人材育成コラム-プロが教えるコツとポイント-

    新入社員育成の在り方を考える

    当社では毎年約1,000社のクライアント企業に新入社員研修を提供し、受講者である新入社員にアンケートにご協力いただいています。今回は、新入社員4,000名のアンケート結果から浮かび上がる傾向と対策についてご紹介します。

  • 採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント

    第85回 2019年卒学生の残業観、インターンシップ参加率は?

    ProFuture代表の寺澤です。
    前回の原稿を入稿するタイミングで飛び込んできたのが、経団連が2021年に入社する学生を対象とした採用活動のスケジュールを見直す方向だというニュースでした。2020年の東京五輪の影響で大型のイベント施設などが使用できなくなり、採用活動に支障を来すというのが主たる理由です。2020年入社の採用活動までは、現在の「3月 採用広報解禁、6月 面接選考解禁」ルールが継続されるとのこと。経団連では、かねてより「指針」のスケジュールである「3月 採用広報解禁、6月(16年卒は8月) 面接選考解禁」は政府に押し付けられたもので、自分たちが望んだものではなく、15年卒採用までの「12月 採用広報解禁、4月 面接選考解禁」の復活を求める声が少なくありませんでした。そういう意味では、東京五輪は採用活動スケジュールを見直すための「いい口実」になったとも言えます。