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特別読み切り

女性活躍推進を目指すビジネスカンファレンス『MASHING UP』 セッションレポート「会社員かどうかではなく。枠にとらわれない働き方を考える」

HRプロ編集部
2018/03/19

2018年2月22日〜23日、TRUNK(HOTEL)(東京都渋谷区)にて、株式会社メディアジーン主催、女性活躍推進を目的とした学びとネットワーキングイベント「MASHING UP」が開催された。「誰もが強くしなやかに活躍できる社会創出を目指す」というスローガンのもと、時代をリードするスピーカー陣が集まり、多彩なセッションやワークショップが繰り広げられ、働き方のダイバーシティに関するセッションも複数開催された。今回はそのなかから、「会社員かどうかではなく。枠にとらわれない働き方を考える」についてリポートする。

「MASHING UP」開催の背景

イベント名の元となる英語「mash up」は、「混ぜ合わせる」という意味。つまり、『MASHING UP』とは、異なる性別や年齢、国籍、業種などを混ぜ合わせることで、ビジネスや働き方に役立つ新たな化学反応を生み出そうというプロジェクトだ。

近年、女性活躍推進の取り組みは目に見えて増加している。しかし、その取り組みを行うコミュニティの多くは、混ぜ合うどころか、業種や年齢、国籍によって分断されていたり、女性のみで構成されていたりするのが現実だ。こうした課題を受け、本イベントの主催者であるメディアジーンは、以前(2016年12月)にも、外務省 国際女性会議『WAW! 2016』の公式サイドイベントとして、『Women Empowerment Forum(WEF)』を開催している。今回の『MASHING UP』は、このWEFのコンセプトを継承したものだ。

また今回は新たに「Unleash Yourself (自分自身を解き放とう)」というテーマを設定している。これは性別や年齢、人種など、時に障壁となりうるさまざまなカテゴリーから自由になり、新しい可能性を見出すことを意味している。つまり、ここでのセッションやワークショップを通じて、参加者が新たなインスピレーションを得るとともに、ネットワークを築き、未来のビジネスを創出する場にしてもらいたいということだ。

「会社員かどうかではなく。枠にとらわれない働き方を考える」

当セッションの登壇者は次の4名。

・横石崇氏(モデレーター):Tokyo Work Design Week / &Co. Tokyo Work Design Weekオーガナイザー
・藤本あゆみ氏:一般社団法人at Will Work代表理事
・正能茉優氏:株式会社ハピキラFACTORY 代表取締役社長、ソニー株式会社 新商品企画
・西村創一朗氏:株式会社HARES 代表取締役

本セッションは、「複業(パラレルワーク、ボーダレスワーク)」をテーマとしている。従来の「副業」という表現には、副収入を得るためのサイドビジネスというニュアンスがある。とはいえ、本業と副業が切っても切り離せなかったり、どっちが本業か副業か明確に区別しにくかったりすることもあるだろう。そこで、両者をパラレルに位置づけるのが「複業」という考え方である。


最初の論点として、登壇者3名がなぜ複業をしているかについて、議論がされた。

藤本氏は、一般社団法人at Will Workの代表理事であるとともに、株式会社お金のデザインで広報を担当している。at Will Workが目指すのは、カンファレンスやアワードプログラムを通じ、人々の働き方の選択肢を増やすこと。一方、お金のデザインでは、FinTechサービスを通じて、資産運用を支援している。同氏は当初、グーグルに勤務していたが、at Will Workの立ち上げを図り、退社。その準備をしている際中に、お金のデザインにかかわっているグーグルの元同僚から話を聞く機会があり、こちらにも興味を持った。最初は、業務委託で週2回ほどお金のデザインで働くことを予定していたが、at Will Workの理念でもある「働き方の多様化」を自ら実践すべく、両方の組織で正規社員として働くことを決めたという。複業をしてよかった点としては、「働き方」と「お金」という両方の視点を持つ人材がなかなかいないために、イベントや講演の依頼が多く来るようになったことを挙げた。

正能氏は、大学3年生のときに起業したハピキラFACTORYにおいて、地方発商品のパッケージの改善に取り組む一方、ソニーの社員としても新商品企画を担当している。同氏は、新卒で就職するか迷った際、自分の1時間当たりの労働価値をどう最大化するかを考えたという。そこで、「女子大生社長」という肩書きを持ちながら、さらにもうひとつ別の肩書きを持つことで「オンリーワン」になることを考えつき、就職を決めた。複業をしてよかった点としては、ひとつの仕事では実現し得ないような人との出会いがあり、それが両方の仕事にとってメリットになっていることを挙げた。

西村氏の経営するHARESは、「二兎を追って、二兎を得られる世の中を作りたい」、すなわち、本業と副業を両方やって、両方から利益を得られる社会を目指すことがコンセプトだ。もともと、同氏はリクルートキャリアで営業として働いていたが、社内で新規事業の立ち上げにかかわりたいと思うようになり、キャリアアップのために自らメディアを立ち上げる。このメディアが会社の役員の目に留まり、晴れて新規事業担当への移動を達成したが、メディアのほうがビジネスとして大きくなり、独立。現在は「複業研究家」として、国の担当者らと副業の解禁に向けた取り組みを進めている。複業をしてよかった点としては、正能氏同様、会社の枠を超えることで、新たな人間関係やアイディアが生まれることを挙げた。


2つ目の論点として、複業を会社や家族に認めてもらうためにどういったことをしているか、議論が交わされた。

藤本氏は、自分の各仕事の目的と、成果を測る指標について、客観的に定義し、周囲の人に説明できるようにしているという。単に複数の組織に所属しているだけではなく、そこにそれぞれ成し遂げるべき目的があることを説明できなくてはならない、とのこと。それをせずに、たとえば「一週間の〜%ずつをそれぞれの仕事に割けばよい」という安易な考えに陥ってしまっては、相乗効果を生む複業の概念からは離れてしまう、というのが同氏の意見だ。

正能氏も、藤本氏の意見に同意する。実際、正能氏は、自分のそれぞれの仕事の目的や、そこに至る経緯について、上司やチームメイトに細かく報告していると述べた。

西村氏はこれらに付け加えるように、報告をする以前に、上司に複業の相談をしておくことが重要であると主張した。「複業をしたいと思うが、どうすればうまくいくか」といったことをあらかじめ相談しておけば、複業のプロジェクトに上司を巻き込め、結果として応援してもらえる可能性がある、というのがその理由だ。併せて、複業が成功した際には、副業を通じて得たメリットを本業に還元していくことも大切だと述べた。

最後に、パラレルワーカー、ボーダレスワーカーになりたいという人に対して、登壇者からメッセージが送られた。3名の登壇者は口をそろえて、「複業をやりたければ、今日からでもやればいい」と語った。特に正能氏は、ひとつの会社に所属しているからこそ、並行して好きなことも仕事にできる、それが複業という働き方なのだと主張。また西村氏によれば、「複業に興味があるが、やりたいことが見つからない」という場合も、悲観する必要はないという。プライベートの時間を使って、イベントに参加したり、すでに自分のやりたいことに取り組んでいる人に相談したりするなど、少しずつアクションを起こしていくことが重要だと述べた。


複業は、新たなネットワークやアイディアの創出、従業員のスキルアップという観点において、企業にも利益があるということが強調されているのが、印象的なセッションだった。とはいえ、「本業の業務に専念してもらいたい」「企業秩序を乱す」といった理由から、複業を制限する企業がまだまだ大多数であるのも事実。本セッションでは、企業に複業を認めてもらうための個人的な努力についても述べられていたが、今後ますます雇用の流動化が進むなか、企業側もこうした複業を積極的にとらえ、従業員の複業が成功するようなサポート体制を整えていかなければならないだろう。
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      唐池 恒二氏

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      2009年6月JR九州の社長に就任後、2011年に九州新幹線全線開業、国内最大級の商業駅ビル「JR博多シティ」開業と、2大プロジェクトも成し遂げた。九州を基盤に魅力あるまちづくりを目指す中で、外食事業の海外進出や農業などの新たな事業分野へも果敢に挑んできた。
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    明治大学大学院
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    ピョートル・フェリークス・グジバチ 氏
    元Google人事(人材開発、組織開発担当)
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    五十嵐 明生 氏
    株式会社ニトリホールディングス
    執行役員 組織開発室室長

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  • ワークスアプリケーションズが主催する日本最大級のビジネスカンファレンス 『COMPANY Forum 2017』 講演録

    タケダのグローバル化への挑戦

    製薬企業国内最大手の地位に甘んじることなく、ブレークスルーを起こしてイノベーションのパイオニアとして先陣を切るタケダ。長谷川氏は、2003年の代表取締役社長就任以降、同社の230年の歴史や経営の根幹となる価値観を尊重しつつ、自らが先頭に立ち、企業買収、事業のパラダイムシフト、外国人の登用など、タケダを事業のあらゆる面でグローバルに競争力のある会社にすべく変革を推し進めてきた。長谷川氏が、経営の基本精神である「タケダイズム」を軸に力強いリーダーシップを発揮しながら、真のグローバル企業へと成長するための基盤をつくりあげてきた軌跡と、同社初の外国人社長クリストフ・ウェバー氏にバトンをつないだ今後のタケダの成長シナリオについて語る。


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    長谷川 閑史 氏
    武田薬品工業株式会社 相談役

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