「ミドルマネジャーの課題に関する調査」結果報告「育成」よりも目先の「目標達成」を重視

HR総研では、ミドルマネジャー(課長・マネジャー職)の課題や取り組みについてのアンケートを8月〜9月に実施した。その結果を報告する。

ミドルマネジャーの中心世代は40代前半

最初に、「活躍しているミドルマネジャーの中心世代」を聞いてみた。企業規模により傾向が異なるため、規模別のデータで見てみる。
 大企業では、6割もの企業が「40代前半」と回答し、「40代後半以上」が2割強、「30代後半以下」が2割弱となっている。中堅企業では、「40代後半以上」の割合は大企業と同じものの、「40代前半」が46%と過半数を割り、その代り「30代後半以下」が3割以上と、若年層の割合が多くなっている。の代りに
「30代後半以下」が3割以上と、若年層の割合が多くなっています。大企業よりも若くして昇進させ、仕事を任せる企業が多いということだ。
 一方、中小企業では「40代前半」は最多ながら37%にとどまる。中堅企業と比較すると、「30代後半以下」の割合はやや少なく、「40代後半以上」が35%と多くなっている。世代交代がうまく進んでいない企業も多いようである。

[図表1]活躍しているミドルマネジャーの中心世代(企業規模別)

ほど遠い女性管理職比率30%

ミドルマネジャー職における女性比率を聞いたところ、全体では「5%未満」が67%と3分の2に達した。一方、ポジティブ・アクション「2020年、指導的地位に女性が占める割合30%」に向けて、すでに「30%以上」を達成している企業はわずか7%にとどまった。
 企業規模別に見てみると、「5%未満」が最も多いのは中堅企業で74%にも及ぶ。大企業では62%、中小企業では65%。ただし、女性マネジャーが1人もいない企業の割合となると、企業規模が小さくなるほど多くなっている。「0%」と回答した企業は、大企業では4%にとどまるものの、中堅企業では24%、中小企業にいたっては33%にもなる。
 「30%以上」の割合も、大企業4%、中堅企業5%、中小企業9%と企業規模が小さいほど多くなっている。ミドルマネジャー全体の人数が少なければ、女性のマネジャー1人のウエイトが大きくなり、数人でも全体に占める割合は大きくなりがちである。

[図表2]ミドルマネジャーにおける女性比率(企業規模別)

「チーム目標の達成」と「部下の育成」が2大役割

ミドルマネジャーに求める役割を複数選択で回答してもらったところ、「チームとしての目標達成」87%、「メンバーの育成」86%が拮抗する形で他の選択肢を大きく引き離す結果となった。
 次いで多かったのは、「メンバーのモチベーション維持・向上」66%、「他部署との調整」56%、「メンバーのマネジメント」55%で、ここまでが50%以上のポイントを稼いだ。ミドルマネジャー自身の「プレーヤーとしての成果」を挙げた企業は39%にとどまった。

[図表3]ミドルマネジャーに求める役割(複数選択)

最も期待する役割では「部下の育成」は「チーム目標の達成」と大きな差

続いてミドルマネジャーに最も期待する役割を1つだけ選んでもらったところ、トップは「チームの目標達成」で53%と過半数の企業が回答。複数選択では「チームの目標達成」と拮抗する形となった「メンバーの育成」は22%と大きく引き離される結果となった。将来を見据えた中期的な「育成」よりも、短期的な「目標達成」が重視されていることがわかる。
 ただ、この2つを合計しても75%に過ぎず、複数選択で「チームの目標達成」または「メンバーの育成」を選択した企業の中にも別の役割を最も重視していることになる。
 次いで「メンバーのマネジメント」8%、「メンバーのモチベーション維持・向上」6%が続く。複数選択では56%の企業が選択した「他部署との調整」はわずか1%にとどまり、「プレーヤーとしての成果」(3%)をも下回った。あくまでも副次的な役割という認識のようである。

[図表4]ミドルマネジャーに最も期待する役割(単一選択)

課題は「メンバーの育成とマネジメント」

ミドルマネジャーに感じている課題を複数選択で回答してもらったところ、全体では「メンバーの育成が不十分」71%、「メンバーのマネジメントが不十分」62%を挙げる企業が多い。
 大企業では、「メンバーのマネジメントが不十分」(48%)よりも「業務量が多すぎる」(55%)と感じている企業が多く、中堅企業でも「業務量が多すぎる」と感じている企業は49%と約半数に及ぶ。
 「プレーヤーとしての成果が期待を下回る」とする企業は4%にとどまる。「プレーヤーとしての成果」を重視する企業が少ないということもあるが、ミドルマネジャーがプレーヤーとしての責務を優先しているということもあるだろう。
 その他の課題としては、「人員不足」「リーダーシップ不足」「プレーヤーとしての役割に満足している」「その先を目指す意欲が薄い」などの声が寄せられている。

[図表5]ミドルマネジャーに感じている課題(全体)

ミドルマネジャー育成に必要な施策は「研修の充実」

ミドルマネジャー育成のために必要な施策(複数選択)では、「課長・マネジャー研修の充実」を挙げる企業が全体では55%と他の施策を引き離して最も多い。次いで「管理職手前研修の充実」36%、「プレーヤー業務量の軽減」34%、「課長・マネジャー候補の早期選抜」34%が続く。
 別の調査で最も「プレイングマネジャー率」が高いという結果だった中堅企業では「プレーヤー業務量の軽減」を挙げる企業が46%と他の企業規模よりも突出して高くなっている。
 また、大企業では「人事評価制度の見直し」「他部署の課長・マネジャーとの交流機会の創出」がともに34%と、他の企業規模よりも高い傾向がある。制度面での施策を求めているといえる。

[図表6]ミドルマネジャー育成のために必要な施策(全体)

試行錯誤が続くミドルマネジャー育成の取り組み

最後に、課題解決のための独自の取り組みとして寄せられたコメントを紹介しよう。

・数名を選抜して異業種交流研修などに参加させ、私見を広げてもらうようにしている。(101名〜300名/不動産)
・課長・マネージャー手前から同様に目標管理による計画、実行、評価を繰り返す。(501名〜1000名/輸送機器・自動車)
・2〜3年に1度、不定期にクロスファンクショナルなアクションラーニングを実施している。(5001名以上/繊維・アパレル)
・360度評価を導入しており、課長以上のマネジメントを振り返る機会を持つことにしている。(1001名〜5000名/食品)
・新任管理職昇格者への1年間にわたるeラーニング教育と職場での実践の繰り返し。(1001名〜5000名/機械)
・企業の将来を担うコア人材について、ライン−スタッフ間の人事ローテーションを勧めている。(5001名以上/医薬品)
・限られた上層管理職になるが、各部門(営業・生産・研究・管理)ごとの連絡会議を毎月実施して、会社全体で組織運営・連携を進めている。(301名〜500名/医薬品)
・経営層とのビジョンの刷り合わせが必要であり、会議体のような堅い場面以外で気軽にコミュニケーションをとることを目的としたランチミーティングを増やしている。(101名〜300名/その他メーカー)

【調査概要】

調査主体:HR総研(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2014年8月25日〜9月3日
有効回答:232社(1001名以上 67社, 301〜1000名 74社, 300名以下 91社)