働き方のニューノーマル化が進む中、オンラインでのコミュニケーションが市民権を得ることで、社内コミュニケーションの在り方を試行錯誤しながら変化している企業も少なくないだろう。社内コミュニケーションの状況はどのような状態にあるのだろうか。
HR総研では、2022年1月に各企業における社内コミュニケーションの状況に関するアンケートを実施した。本レポートでは、「テレワーク社員とのコミュニケーション状況」や「社内コミュニケーションが円滑か否かの違い」などの調査結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●7割以上が「自社の社内コミュニケーションに課題あり」
●社内コミュニケーションの阻害要因、大企業では「対面機会の減少」、中堅・中小企業では?
●「対面が良い派」の割合が昨年より上昇
●対面が適したコミュニケーションシーンは「インフォーマルな場」や「議論の場」、オンラインが適したシーンは?
●テレワーク社員がいる企業が8割、「過半数を超える社員がテレワーク」は大企業で6割近く
●昨年よりテレワーク社員と出社社員とのコミュニケーションに支障がある割合が増加
●テレワーク社員とのコミュニケーション状況により異なるツールの活用、円滑な企業では「オンライン会議ツール」が最多
●円滑な社内コミュニケーションのカギは「チャットツール」「オンライン会議ツール」の効果的な活用か
●コミュニケーション不全を防止・抑制策は「従業員アンケート」が最多、大企業では4割
●実施率最多の「従業員アンケート」の効果は活用方法しだいか

7割以上が「自社の社内コミュニケーションに課題あり」

前回のレポートで記述したとおり、自社において「社内コミュニケーションに課題があるか」については、「ややあると思う」が54%で最も多く、「大いにあると思う」の19%と合計して「あると思う」が73%と7割を超えている。また、昨年調査の結果とほぼ同等の傾向となっている(図表1)。

【図表1】自社の社内コミュニケーションに課題があるか(再掲)

社内コミュニケーションの阻害要因、大企業では「対面機会の減少」、中堅・中小企業では?

自社の社内コミュニケーションを阻害している要因については、全体では「管理職のコミュニケーション力」が最多で45%、次いで「組織風土・社風」が36%、「対面コミュニケーションの減少」と「社員のコミュニケーション力」がともに35%などとなっている。管理職と社員双方のコミュニケーション力不足による社内コミュニケーションの課題を感じる企業が少なくない現状がうかがえる(図表2-1)。
企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「対面コミュニケーションの減少」が最も多く42%、次いで「管理職のコミュニケーション力」が41%、「社員のコミュニケーション力」が33%などとなっており、特にコロナ禍の影響を受けてテレワークが進む大企業では対面コミュニケーションの機会が大幅に減少している企業も少なくなく、これによる社内コミュニケーションの阻害が懸念されていることがうかがえる。また、301〜1,000名の中堅企業では「管理職のコミュニケーション力」が最も多く58%、次いで「社員のコミュニケーション力」が46%、「組織風土・社風」が42%などとなっており、他の企業規模より「管理職のコミュニケーション力」の不足を懸念する企業が多いことがうかがえる。大企業と比べると、中堅企業の管理職のプレイング業務割合は高く(リクルートワークス研究所「マネジメント行動に関する調査2019」より)、自身の業務に割く時間が多く、メンバーと向き合う時間の少なさも影響しているものと推測される。300名以下の中小企業でも「管理職のコミュニケーション力」が最も多く41%、次いで「組織風土・社風」と「経営層のコミュニケーション力」がともに39%などとなっており、他の企業規模より経営層の言動が及ぼす社内コミュニケーションへの影響の大きさをうかがわせる結果となっている(図表2-2)。
一方、時間や場所に捉われない多様な働き方を推進する企業の増加が見られる中、「働き方の多様化」が社内コミュニケーションの阻害要因になっているとする割合は16%と2割未満となっており、それより働く人のコミュニケーション力や組織風土など、人による影響が大きいことが推測される。

【図表2-1】社内コミュニケーションを阻害している要因
【図表2-2】企業規模別 社内コミュニケーションを阻害している原因

「対面が良い派」の割合が昨年より上昇

大企業群では最も多くの企業が「対面コミュニケーションの減少」を社内コミュニケーションの阻害要因として挙げるなど、コミュニケーションのオンライン化が加速する中、企業は対面とオンラインのどちらの方が社内コミュニケーションを取りやすいと感じているのだろうか。
今回調査では、「やや対面が良い」が最多で36%、次いで「圧倒的に対面が良い」が33%で、これらを合計した「対面が良い派」は69%と7割に上っている(図表3-1)。一方、「オンラインが良い派」(「ややオンラインが良い」と「圧倒的にオンラインが良い」の合計)は僅か5%となっている。昨年調査の結果と比較すると、「対面が良い派」は昨年の66%から3ポイント微増している。オンライン化が進むからこそ、対面コミュニケーションの機会の貴重さが際立っていることも推測される。

【図表3-1】対面とオンラインでは、どちらが社内コミュニケーションを取りやすいか
企業規模別に見ると、「対面が良い派」は大企業で55%、中堅企業で78%、中小企業で76%となっており、大企業での割合が中堅・中小企業より顕著に低い。対面コミュニケーションの減少を社内コミュニケーションの阻害要因の一つとして認識しながらも、オンラインによるコミュニケーションのすべてが否定されているわけではないようである(図表3-2)。

【図表3-2】企業規模別 対面とオンラインでは、どちらが社内コミュニケーションを取りやすいか
【図表3-3】「コミュニケーションしやすい形式」の理由(「対面が良い派」の意見、一部抜粋)
コミュニケーションしやすい形式「コミュニケーションしやすい形式」の理由従業員規模業種
圧倒的に対面が良い細かいニュアンスなどもわかりやすい1,001名以上メーカー
圧倒的に対面が良い会話が親密になる1,001名以上サービス
圧倒的に対面が良いちょっとしたことを確認したり、伝えたりは対面の方が行いやすいから301〜1,000名メーカー
圧倒的に対面が良い互いの状況がつかみ易い301〜1,000名サービス
圧倒的に対面が良い間の取り方、微妙なニュアンス、目線、いずれも対面に勝るものはない300名以下情報・通信
圧倒的に対面が良いオンラインだとお互いの様子を見ながら話ができないため、意見の統一をしきれないところがある300名以下情報・通信
圧倒的に対面が良い製造業の場合、実物を肉眼で見ることが必要だから300名以下メーカー
やや対面が良い報告はオンライン、議論が必要なものは対面1,001名以上運輸・不動産・エネルギー
やや対面が良い気軽な声掛けをするにもオンライン場合は通信呼び出しが必要なため遠慮がちになる1,001名以上メーカー
やや対面が良い熱意や本意が伝わりやすく、心に残りやすい1,001名以上サービス
やや対面が良いオンラインには慣れてきたが、今までの対面効果に至っていない301〜1,000名メーカー
やや対面が良い感覚的な情報も得られるため301〜1,000名マスコミ・コンサル
やや対面が良いハイブリッドの場合が難しいため、やや対面が良い。全員オンラインならそこまで困らないと思う300名以下メーカー
やや対面が良い50代以上の年寄りが多いから300名以下マスコミ・コンサル



【図表3-4】「コミュニケーションしやすい形式」の理由(「どちらとも言えない」、「オンラインが良い派」の意見、一部抜粋)
コミュニケーションしやすい形式「コミュニケーションしやすい形式」の理由従業員規模業種
どちらとも言えない対面とオンラインのどちらが良いかは、内容によるところが大きいから1,001名以上情報・通信
どちらとも言えない対する人による1,001名以上運輸・不動産・エネルギー
どちらとも言えない扱う事案による1,001名以上サービス
どちらとも言えない対面か、オンラインかに差異はないと考えている為。文書か対面(オンライン含む)かには差異があると考える301〜1,000名メーカー
どちらとも言えない離れた事業所社員とはオンラインが圧倒的だが、日時や場所をあらかじめ決めることを考えると手間もあるため301〜1,000名サービス
どちらとも言えないテレワークから全員出社にしたところ、トラブルが増えた。程よく距離がある方がいいのかもしれない300名以下情報・通信
どちらとも言えない対面だと伝わりやすいがオンラインに比べて機会と範囲が劣る300名以下商社・流通
どちらとも言えない目的によって、適切な手段があるため300名以下メーカー
ややオンライン場所の調整が不要だから1,001名以上情報・通信
ややオンラインテレワークが基本の当社では、迅速さでオンラインが勝るため1,001名以上メーカー
ややオンライン場所が離れていても表情をみて会話ができる300名以下サービス
圧倒的にオンライン発言しない人が明確になるから1,001名以上メーカー
圧倒的にオンライン記録が残しやすい301〜1,000名サービス
圧倒的にオンライン全社的にテレワークにしているから300名以下情報・通信

対面が適したコミュニケーションシーンは「インフォーマルな場」や「議論の場」、オンラインが適したシーンは?

次に、様々な社内コミュニケーションの実施形式として、「オンライン」または「対面」のどちらが適していると思うかについて見てみる。
まず「オンライン」が適しているものは、「社内通達の周知」が最多で60%、次いで「全社員参加の会合(年始挨拶など)」が57%、「定期的な部門内会議」が32%などとなっている。一方、「対面」が適しているものは「1 on 1(個人面談)」が最多で58%、次いで「業務中の気軽な相談・質問」が49%、「休憩中の個人間の雑談」が42%、「新規事業のアイディア出し」が37%などとなっている(図表4-1)。
この結果から、オンラインでのコミュニケーションは、「フォーマルな場」や「一方通行の発信」であり、腹を割った議論を必要としないと想定される場合に適していると捉える人が多い傾向にあり、一方、対面でのコミュニケーションは、「インフォーマルな場」や「デリケートな内容」、「議論が必要な場」に適していると捉えている人が多い傾向にあると推測される。

【図表4-1】対面またはオンラインが適していると思う社内コミュニケーションのシーン
社内交流イベント等の主な実施形式を企業規模別に見ると、大企業では「オンライン形式が多い」が圧倒的で70%、「同程度」が17%で、「対面形式が多い」は僅か13%と1割程度にとどまっている。中堅企業でも「オンライン形式が多い」が最も多く52%で、「対面形式が多い」は31%と大企業よりは多い。中小企業では「対面形式が多い」が最も多く49%と半数を占め、「オンライン形式が多い」は27%と3割未満となっている。企業規模が大きいほど「オンライン形式が多い」とする割合が多くなり、大企業では、業務以外の交流でも対面の機会が少ない企業の割合が多いことがうかがえる(図表4-2)。

【図表4-2】企業規模別 社内交流イベント等の主な実施形式

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】社内コミュニケーションに関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2022年1月24〜31日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・ご担当者
有効回答:225件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

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