HR総研:「新型コロナウイルス感染拡大による新卒採用や新入社員受入れへの影響」に関する緊急アンケート8割以上が「一か月以上」の採用スケジュール遅延、大企業の6割が新入社員研修を変更

新型コロナウイルス感染の影響は、世界中の各国で驚異的な速度で拡大し続けており、ついに東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が決定してしまうほど、人類は新型コロナウイルスとの長期戦を覚悟せざるを得ない状態となっている。しかし、そのような状況の中でも、企業は事業継続を前提とした企業活動を行っていく必要があり、4月で新年度を迎えるこの時期は、新卒採用や新入社員受入れを行う大事な時期となっている。
HR総研では、2月中旬から新型コロナウイルス感染拡大による企業活動等に関する緊急調査を実施しており、今回は、新型コロナウイルス関連調査の第3弾として、「新型コロナウイルス感染拡大による新卒採用や新入社員受入れへの影響」に関する企業の最新動向を調査した。その結果をフリーコメントも含めて以下に報告する。

<概要>
●新卒採用活動への影響を懸念する企業は7割
●既に影響が出ている企業は8割、大企業・中堅企業では9割前後
●「採用スケジュールの遅延」への懸念が7割近く、中小企業はオンライン対応への遅れを懸念
●8割以上の企業が「一か月以上」の採用スケジュール遅延を予測
●大企業での対策の内容は「採用スケジュールの後ろ倒し」が7割、オンライン対応も
●予定していた入社式は「1会場で全員が集合して実施」が9割、大企業の2割では「分散、オンライン」も
●6割の企業で入社式開催(時期・内容)の予定を変更、大企業では8割
●大企業の3割以上で「複数の会場に分散して入社式を実施」
●半数の企業が「予定通りの日程で新入社員研修を実施」、大企業では6割が変更予定
●大企業の4割以上で「少人数制に分けて研修実施」、中堅・中小企業の半数は「変更なし」

新卒採用活動への影響を懸念する企業は7割

まず、「採用活動に関する影響の有無」については、「影響がある」が39%、「まあまあ影響がある」が30%となっており、これらを合計した「多少なりとも影響がある」(以下同じ)は69%と7割に上り、3月初旬に行った前回調査時よりさらに10ポイント増加となっている(図表1-1)。
企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「多少なりとも影響がある」がそれぞれ86%、82%と8割以上を占め、中小企業では53%と半数程度に留まっており、中堅企業以上に影響を受ける企業が多いことがうかがえる(図表1-2)。また、企業規模に関わらず、前回調査時より「多少なりとも影響がある」と懸念する企業の割合は増加傾向にある。
数週間前までは、数か月程度で収束に向かうだろうと予測していた企業も、政府から「長期戦になる」との発表もあるとおり、今後、新型コロナウイルス感染拡大がいつまで続くか予測できない中、何らかの影響を覚悟せざるを得ない状況になっている企業の増加がうかがえる。

【図表1-1】採用活動への影響の懸念
【図表1-2】企業規模別 採用活動への影響の懸念

既に影響が出ている企業は8割、大企業・中堅企業では9割前後

採用活動に対して「多少なりとも影響がある」とする企業の「影響の進捗度」について、「既に大きな影響が出ている」が27%、「影響が出始めている」が57%となっており、これらを合計した「影響が出ている」(以下同じ)が84%となっている。「影響が出ている」とする企業の割合は前回調査(73%)から11ポイント上昇しており、8割以上の企業で懸念していた影響が顕在化しているという深刻な事態となっている(図表2-1)。
また、企業規模別に見ると、企業規模に関わらず2〜3割の企業で「既に大きな影響が出ている」としており、さらに、大企業と中堅企業では「影響が出ている」が9割前後で、中小企業でも8割近くを占めている(図表2-2)。

【図表2-1】「多少なりとも影響がある企業」における採用活動への影響の進捗度
【図表2-2】企業規模別 「多少なりとも影響がある企業」における採用活動への影響度の進捗度

「採用スケジュールの遅延」への懸念が7割近く、中小企業はオンライン対応への遅れを懸念

「多少なりとも影響がある」とする企業について「影響の内容」をみると、「採用スケジュールの遅延」が66%で最多であり、次いで「対面での説明会を開催できない」が54%、「合同企業説明会や学内企業説明会が中止」が48%などとなっている(図表3-1)。前回調査では、「スケジュール遅延」に次いで、「説明会への参加者の減少」や「問い合わせへの人的負担」の割合が多くなっていたが、実際に説明会から面接と選考工程が進む中、採用業務の執行自体に関わる影響を懸念する企業が増加していることがうかがえる。

企業規模別に見ると、企業規模に関わらず「採用スケジュールが遅延する」が最多となっており、大企業では75%、中堅企業では73%、中小企業では55%となっている。次いで大企業では「対面での説明会を開催できない」(63%)、「合同企業説明会や学内企業説明会が中止」(48%)などと続いており、中堅企業では「合同企業説明会や学内企業説明会が中止」(59%)、「対面での説明会を開催できない」(55%)など、いずれも半数以上となっている。
一方、中小企業では最多となる「採用スケジュールが遅延する」(55%)以外は「対面での面接選考が実施できない」が45%、「合同企業説明会や学内企業説明会が中止」(38%)などといずれも半数未満であり、大企業や中堅企業と比較すると各項目への懸念をする企業の割合が低いことがうかがえる。
ただし、「説明会や面接のオンライン化ができていない」については中小企業の割合が最も多く32%となっており、早急な対応の難しさと他企業に対する出遅れ感を懸念する中小企業の焦りが感じられる(図表3-2)。

【図表3-1】影響があると思う採用業務の内容
【図表3-2】企業規模別 影響があると思う採用業務の内容

8割以上の企業が「一か月以上」の採用スケジュール遅延を予測

最も多くの企業が懸念しているのが「採用スケジュールが遅延」であるが、遅延を懸念する企業は、具体的にどの程度の遅延となることを予想しているのだろうか。
最も多い遅延期間は「1か月程度」で36%、次いで「1か月半程度」が20%、「2か月程度」が18%などで、「2か月半程度」「3か月以上」も加え、「1か月以上の遅延」(以下同じ)を予想する割合が81%となっている(図表4-1)。
企業規模別に「1か月以上の遅延」を予想する割合を見ると、大企業では88%、中堅企業で84%、中小企業で73%となっており、企業規模が大きいほど割合が高い傾向があるものの、いずれの企業規模でも7割以上となっている(図表4-2)。

【図表4-1】採用スケジュールの遅延予測
【図表4-2】企業規模別 採用スケジュールの遅延予測

対策をとる企業は7割以上、中小企業では5割にとどまる

採用スケジュールの1か月以上の遅延を予想する企業が7〜8割となるなど、採用活動を滞りなく進行することができなくなることが懸念される中、これらの影響を考慮した対策をとっている企業の割合を見てみる。
「対策をとっている」とする企業の割合は42%で、「対策を検討中」が28%、「これから対策を検討」が18%、「対策をとる予定はない」が13%となっており、「対策実施中、検討中」(「対策をとっている」と「対策を検討中」の合計、以下同じ)は70%を占めている(図表5-1)。
「対策実施中、検討中」の割合を企業規模別に見ると、大企業で80%、中堅企業で78%、中小企業で60%となっており、企業規模が大きいほど対策をとっていることが分かる。一方で、「対策をとる予定はない」とする割合は企業規模が小さいほど高く、中小企業では16%と2割近い企業が対策をとらないこととしている(図表5-2)。中小企業は、採用規模が小さく、採用活動への影響は対策をとるほどのものではないと認識している企業の割合が比較的高いのだろう。

【図表5-1】採用活動への影響を考慮した対策の有無
【図表5-2】企業規模別 採用活動への影響を考慮した対策

大企業での対策の内容は「採用スケジュールの後ろ倒し」が7割、オンライン対応も

対策を実施、検討している企業では、「会場入口に除菌スプレーの設置」が最多で51%、次いで「マスク着用の推奨」が50%、「採用スケジュールの後ろ倒し」が47%などとなっている(図表6-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「採用スケジュールの後ろ倒し」が68%、次いで「来場を伴わない説明会(オンライン活用等)」が54%と過半数に及び、「マスク着用の推奨」が49%などとなっている。中堅企業では「会場入口に除菌スプレーの設置」が最多で69%、「マスク着用の推奨」が63%、「会場の衛生管理の徹底」が50%などとなっており、上位3項目は半数以上の企業が実施している(実施を検討している)ことが分かる。一方、中小企業では、いずれの項目についても実施している企業の割合は半数未満であり、その中で最も多いのは「マスク着用の推奨」(42%)と「会場入口に除菌スプレーの設置」(42%)となっており、感染拡大の予防策を講じながら予定通りの採用活動を実施する方針であることがうかがえる。また、中堅・中小企業では、「今後の経営状況を注視しながら採用人数を調整する」とする企業がいずれも2割近くに達している。採用人数の削減は、最悪の場合には採用中止までを視野に入れているものと推測される。2020年卒採用では、3月になっての内定切りが大きな社会問題になっている。内々定出しを開始する前に、採用中止の決断をすべきであり、採用中止の懸念がある場合には、採用活動スケジュールを遅らせることを考える必要がある(図表6-2)。

【図表6-1】採用活動への影響を考慮した対策の種類
【図表6-2】企業規模別 採用活動への影響を考慮した対策の種類
【図表6-3】採用活動への影響を考慮した具体的な対策(一部抜粋)
採用活動の対策の具体的内容従業員規模業種
学生向けにオンラインでの会社説明会、社員紹介等を新たに実施1,001名以上メーカー
各予定の期限無き延期1,001名以上メーカー
説明会、面接の完全オンライン化1,001名以上マスコミ・コンサル
直接・間接の業績影響予測し、最良・最悪シナリオを設定して採用人数調整するなど1,001名以上サービス
社外イベントは全て中止301〜1,000名運輸・不動産・エネルギー
会社説明、インタビューのオンライン化1〜300名メーカー
マスクと手指消毒スプレーの設置。説明会、選考は少人数制1〜300名情報・通信
一日の説明会参加人数を減らす1〜300名情報・通信
面談から内定、意思決定まで一切お会いせず実施1〜300名マスコミ・コンサル
説明会のWeb動画作成、オンラインによる説明会、面接の実施1〜300名サービス

入社式の開催を予定する企業は8割近く、大企業・中堅企業では9割以上

続いて、この4月に入社してきた新卒新入社員の「入社式の開催」についての動向を見てみる。
まずは「入社式の開催予定の有無」については、「開催の予定があった」が77%で8割近くを占め、「開催の予定はなかった」が8%、「2020年卒新入社員はいない」が15%となっている(図表7-1)。
企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「開催の予定があった」が92%で9割以上を占めており、中小企業では62%となっている(図表7-2)。
企業規模が大きい大企業と中堅企業のほとんどの企業で予定されていた入社式の開催であるが、多くの参加者が想定される入社式の開催形式は、どのような形式での実施を予定していたのだろうか。

【図表7-1】入社式の開催予定
【図表7-2】企業規模別 入社式の開催予定

予定していた入社式は「1会場で全員が集合して実施」が9割、大企業の2割では「分散、オンライン」も

大企業と中堅企業の9割以上が実施を予定していた入社式の開催形式について、「1会場で全員が集合して実施」が91%、「複数の会場に分散して実施」が4%、「オンラインツールを活用して実施」が3%となっている(図表8-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「1会場で全員が集合して実施」が81%、「複数の会場に分散して実施」が9%、「オンラインツールを活用して実施」が9%となっている。より多くの参加者がいると予測される大企業では、約2割の企業で一か所に多数の参加者が集合しない、エリア別等の形式での入社式開催を予定していた。一方、中堅・中小企業では9割以上が「1会場で全員が集合して実施」を予定していた(図表8-2)。
ほとんどの企業で「1会場で全員が集合して実施」を予定していた中、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクを回避するため、予定変更して開催形式を「1会場で全員が集合して実施」以外に変更した企業はどれだけあったのだろうか。

【図表8-1】予定していた入社式の開催形式
【図表8-2】企業規模別 予定していた入社式の開催形式

6割の企業で入社式開催(時期・内容)の予定を変更、大企業では8割

入社式開催を予定した企業の中で、入社式開催(時期・内容)について「(予定変更が)ある」とする企業の割合は61%に及んでいる(図表9-1)。
これを企業規模別に見ると、大企業で79%、中堅企業で61%、中小企業で49%となっており、企業規模に比例して予定変更をする企業の割合も高くなっていることが分かる(図表9-2)。開催1か月を切ってから急遽変更を迫られた企業の人事部は、どのような変更を実施したのだろうか。

【図表9-1】入社式開催(時期・内容)の予定変更の有無
【図表9-2】企業規模別 入社式開催(時期・内容)の予定変更の有無

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:「新型コロナウィルス感染拡大による新卒採用や新入社員受け入れへの影響」に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年3月27日〜3月31日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、採用担当者、人事全般担当者
有効回答:227件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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