留職

「留職」とは、「留学」からきた造語で、企業に所属する人材が、現在の組織をいったん離れて、グローバル感覚を養うため、一定期間、新興国などの海外で働くことをいいます。

最も注目を集めているのが、現地のNPOやNGOに所属し、本業のスキルを使って現地の人々とともに社会課題の解決に挑むというプログラムで、開発途上国が抱える社会的課題の解決に貢献できるというだけではなく、企業側にも、グローバル人材の育成、新興国市場の開拓、組織の活性化というメリットがあります。

留職は、留学と同じように、現地社会にどっぷり浸かります。当然、現地が抱えている社会問題にぶち当たるのです。次第に極限の状態となり、武者修行のような経験となります。また、現地の人々と共に課題に取り組むことで、現地のニーズを肌で感じて理解していきます。そして、本業のスキルを使って社会貢献することで、その後の働くモチベーションを高めます。

携帯世代であって、コミュニケーション能力に乏しく、かつ、修羅場経験の少ない現代の若者において、あえて、海外しかも開発途上国で働くことは、自分の知識・情報・経験を活かして、コミュニティ作りをし、“ゼロ”から作り上げる経験をさせることで、グローバルに活躍できる人材育成につながっていきます。

海外のNPOなどの社会セクターで働く人々には経験も知識も豊富な優秀な人材が多く、その中で奮闘する事で、「異なる価値観の人々を理解し巻き込んでいく力」「困難な状況でも最後までやりぬく力」「全体を見渡せる経営者視点」などが培われていくため、企業にとっても優秀な人材育成に繋がり、個人としても確実に成長やスキルがアップしていきます。

この留職プログラムを日本で初めて立ち上げたのは、NPO法人クロスフィールズです。クロスフィールズは、企業の目的に合わせてアレンジし、その成果が最大に活かされるようにサポートしています。もともとアメリカでは、ICV(International Corporate Volunteering:国際企業ボランティア)と呼ばれるプログラムがグラクソ・スミスクライン、スターバックスといった大企業を中心に取り入れられており、クロスフィールズは、このプログラムを運営している先行団体とパートナーシップを結び、「留職プログラム」として展開しています。

日本で最初の活用事例として挙げられるのは、パナソニック株式会社の技術系社員の留職です。ベトナム中部の都市ダナンで活動するNGOに所属し、太陽光を活用した調理器具のコスト削減がミッションでした。パナソニックは、このたった1人の留職をただの新興国の課題の解決と個人の成長にとどまる事をせず、チームを組み、現地貢献の最大化をチームで行い、ミッションクリアへと繋げて行きました。留職をした人のみならず、企業そのものの個人成長、組織成長が達成されたこの事例が一気に日本中に広まり、注目を集めています。

ネックとしては、「コストがかかる」ことがあげられ、社員一人当たり数百万かかるといわれているので、資金力のある大手企業から広がりを見せています。