「HSP」とはHighly sensitive personの略で、高い感覚処理感受性を有する人、または気質のことを指します。アメリカの心理学者のエレイン・N・アーロンが1996年に自著で発表しました。

病気や障害ではなく、あくまで先天的な気質であり、5人に1人程度はHSPとされています。

HSPには「大きな音、眩しい光、強い匂いなどの刺激が気になって仕方がない」「他人の何気ない一言に過剰に反応してしまう」「感情やイメージをうまく言い表せない」「他人と競争するのが苦手」「周囲の人の気分や雰囲気に左右されやすい」──などの特徴があります。

他には、相手のことを考えすぎて頼まれたことを断れず、多くの仕事を抱え込んだり、複数の仕事を短時間でこなすよう要求され、混乱してしまったりするといった特徴もよく見られます。そのため会社などの組織のなかでは、疲労感や生きにくさを感じるケースが少なくないようです。睡眠障害やパニック障害、うつ病にかかってしまう可能性もあります。

しかし、HSPは見方を変えれば、周囲からの刺激をより細かく、より深くとらえることができるということになります。そのため「一つのことを多角的に見られる人」「人に共感しやすく気配り上手」「空気を読むのが上手い」「アイデアが豊富に出てくる」「感受性が豊か」などと評価されることも珍しくありません。

その人にあった仕事に配属して、適切なマネジメントをすれば、企業にとって大きな戦力ともなり得るのです。「HSP」を長所と認め、積極的に活かしていくことが大切です。