株式会社D&Iは2020年7月22日、「障がい者雇用における課題」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2020年7月16~17日で、障がい者雇用をおこなう企業で働く人事責任者101名から回答を得た。これにより、法定雇用率の引き上げにともなう障がい者雇用における課題などが明らかになった。
約5割が障がい害者雇用に対して「良い人材の確保」に課題あり。法定雇用率改定に向けた改善点や今後の変化を調査

人事の4割以上が「良い人材確保が難しい」と回答。オフィス環境や育成面での課題も

最初に「障がい者雇用の実施における現状の課題」を聞いたところ「良い人材の確保が難しい」が46.5%、「オフィス環境などの物理的な課題がある」が38.6%、「育成に関して各部門の負担が大きい」が36.6%という結果に。ほぼ半数にのぼる人事担当者が、人材確保の難しさを感じていることがわかった。また、物理的、人的環境面での課題を感じる頻度も高いようだ。
約5割が障がい害者雇用に対して「良い人材の確保」に課題あり。法定雇用率改定に向けた改善点や今後の変化を調査

「仕事への適合が難しい」、「教える側の負担が大きい」の声も

「その他課題になっている点」についてフリーアンサーで聞くと、「一般社員との仕事の組み合わせ」や「職場内で面倒を見る人材がいない」などさまざまな声があがった。回答の一部は以下の通りだ。

・障がい者雇用に関わる社員の感情の差異
・定着率が低く、3年以内の退職が多い
・仕事内容が限定される
・地方拠点で採用しにくい
・教える人間の負担が大きい
・応募が少ない中から会社に適する人を見つけるのが困難
・国の採用基準が厳しい
・雇用のミスマッチあり、仕事への適合が難しい
・担当業務の見つけ方がわからない

6割が「既存の採用方法では課題に対応できない」と回答

次に、障がい者雇用に「課題がある」とした回答者に対し「障がい者の法定雇用率の引き上げにともない、現在抱えている課題は既存の採用方法で対応ができると思うか」を聞いた。その結果、「対応できない」が19.4%、「あまり対応できない」が43%で、合計62.4%が対応の難しさを感じていることが明確となった。
約5割が障がい害者雇用に対して「良い人材の確保」に課題あり。法定雇用率改定に向けた改善点や今後の変化を調査

障がい者の法定雇用率引き上げにより「採用方法の見直しや改善」が必要に

また、「障がい者の法定雇用率の引き上げに伴い、障がい者の採用において採用方法の見直しや改善の必要があるか」を聞いたところ、「かなりあると思う」が29.7%、「少しあると思う」が45.5%という結果に。合計で75.2%の担当者が、採用方法の見直しの必要性を感じていることがわかる。
約5割が障がい害者雇用に対して「良い人材の確保」に課題あり。法定雇用率改定に向けた改善点や今後の変化を調査

採用活動の変化予測は「障がい者の取り合い」や「賃金の上昇」との声が多数

最後に、「障がい者の法定雇用率の引き上げにともない、障がい者の採用活動には今後どのような変化があるか」を聞いた。すると「取り合い、賃金の上昇につながる」や「程度の軽い障がい者(特に身体内部障害)が益々採用困難になる」などの回答が得られた。
以下、回答の一部を紹介する。

・受け入れ態勢の整備・見直しが必要になる
・既存社員の協力や理解が重要になる
・企業の選択の幅が広がる
・取り合いが生じる
・大手が抱え込み、中小企業は採用が難しくなる
・取り合いにより賃金の上昇につながる
・応募者の選別が激しくなっている
・程度の軽い障がい者(特に身体内部障害)が益々採用困難になる
・採用後の働き方に多様性を持たせることを前提として活動する必要がある
・リモートワークであれば力を発揮できそうな人材を見抜く事など、変化が必要


今後引き上げられる法定雇用率に伴い、障がい者雇用は今後ますます人材の確保が難しくなることも予測される。企業においてもダイバーシティが求められる中、自社の障がい者雇用における課題を洗い出し、採用方法の改善を検討する必要がありそうだ。

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