なぜ、あの会社はハローワークで「求める人材」を獲得できるのか?【後編】

求める人材を獲得するためには、ハローワーク求人検索一覧で選んでもらえる「職種」と、求職者の応募意欲を高める「仕事内容」の作成が、かかせないことを前編(※1)でお伝えした。今回は、「職種と仕事内容をどのように考えればいいのか」をお話する。

「求人票の作成」に欠かせない3つのポイント

私は、求人票を作成するときには、次の3ポイントに重点をおく。

(1)職種では創意工夫を凝らしはたらきかけろ
(2)仕事内容には求職者をハッピーにするメッセージを込めろ
(3)自由記載欄は目一杯に書き込め


この3点をそれぞれ詳しく解説していこう。

【職種では創意工夫を凝らしはたらきかけろ】
前編で伝たように職種は、求職者の応募意欲をかきたて、応募してもらえるように促すきっかけという役割をもっている。「職種」は、書籍でたとえればタイトルと同じ。あなたが書店で本を選ぶときを思いだしてほしい。タイトルから内容を想像し、興味をもてば手にとってパラパラと読んでみてから、購入する。こういった感じで選んでいないだろうか。

仕事選びもおなじこと。職種から仕事内容を想像し、興味をもてば検索一覧画面からクリックし、求人票を読んでみてから応募する。ゆえに、「職種ひとつで応募するかしないかが決まってしまう」といっても言い過ぎではない。たとえば、「子育てをしている主婦が、半日ほど働きたい」と思って仕事をさがしている場合だったら、次のどちらの職種に興味を引かれだろうか?

A例:設計事務所の一般事務
B例:設計事務所の一般事務/子育応援/未経験可/○○駅徒歩5分


多くの求職者は、B例に興味を持つだろう。その理由は、「子育てのたいへんさを理解してくれる経営者なのだろう」、「すこし不慣れでもやさしく教えてもらえる職場だろう」、「自宅から近いところだ」などとすぐに想像できるからだ。単純に職種名だけではなく、求める人材が望むであろうことをプラスすると、他社よりも抜きん出ることができる。

【仕事内容には求職者をハッピーにするメッセージを込めろ】
「仕事内容」に掲載する内容を考えるうえで必要なことは、求職者の「知りたいこと」とはなにかを認識することである。

たとえば、売れる商品を開発する場合。「消費者の求めること」をマーケティングリサーチで分析して明確にしたのちに、商品開発に活かしている。なぜならば、高機能・高性能の素晴らしい商品が開発できたとしても、かつての日本の「ガラパゴス・ケータイ」のように、「消費者が求めていないもの」ならば売れないからだ。求人広告においても同様で、応募してもらえる仕事内容にするには、求職者の「知りたい(求める)こと」を認識し、活かさなければならないということだ。

では、求職者の「知りたいこと」をどのようなに認識すればいいのだろうか。それは、求職者の退職理由から「知りたいこと」を推察することが近道である。たとえば、退職理由がつぎのようなときだ。

退職理由:「上司からのパワハラに耐えられなかったから」
 ↓
求職者が知りたいこと:「パワハラがある職場かどうか?」
 ↓
求職者に訴求するメッセージ:「従業員相談窓口をもうけ、パワハラやセクハラ、人間関係の悩みを相談しやすい大勢を整えています」


上記のように、求職者は「退職理由と同じ悩みが生じないかどうか」を知りたいと仮定する。退職理由から知りたいことを推測し、「あなたの悩みをわが社なら解決できます」と伝えることが必要である。エン転職が「退職理由」の調査をしているので参考にしてほしい(※2)。

<退職理由調査結果>
・やりがい・達成感を感じない
・給与が低かった
・企業の将来性に疑問を感じた
・人間関係が悪かった
・残業・休日出勤など拘束時間が長かった
・評価・人事制度に不満があった
・自分の成長が止まった成長感がない
・社風や風土が合わなかった
・業界・企業の将来性に不安だった
・やりたい仕事ではなかった
・体調を壊した
・待遇(福利厚生)が悪かった
・他にやりたい仕事ができた
・結婚・家庭の事情

【自由記載欄は目一杯に書き込め】
「職種」や「仕事内容」などの自由に記入できる欄は、決められた文字数いっぱいに記入した方がよい。なぜならば、次のメリットがあるからだ。

・文字数が多いと、求人検索に引っかかりやすい
・求職者に情報を十分に伝えられる
・早期退職者を減らすことができる


また、文字数が多いとハローワーク担当者にからは、「長すぎると読んでもらえないから、簡単明瞭にすること」と言われたりするが、それは人が余っていた時代のことであり、人手不足の現状にはそぐわなくなっている。そのため、読みやすいうんぬんよりも思いを込めて目一杯に記述し、求職者の心をつかむことが先決である。

「ハローワーク求人票」における主な自由記述欄と制限文字数を、載せておくので参考にしてほしい。

<求人票>
・職種:最大28文字
・仕事内容:最大360文字
・事業所からのメッセージ:最大600文字
・選考に関する特記事項:最大60文字
・求人に関する特記事項:最大600文字

<事業所登録シート>
・福利厚生の内容:最大510文字
・研修制度の内容:最大144文字
・両立支援の内容:最大510文字
・事業内容:最大90文字
・会社の特長:最大90文字

※1:「なぜ、あの会社はハローワークで「求める人材」を獲得できるのか?【前編】」
※2:出典エン転職「退職のきっかけ」実態調査(2019年)

まとめ

前・後編にわたり、求める人材を獲得するための、求職者の「知りたいこと」を伝える大切さを話してきた。もちろん、企業についても伝える必要はある。だが、求人票を見るのは求職者だ。心をつかみ、応募したいと思わせるためには、求職者の「知りたいこと」を7割、企業が「してほしいこと」を3割ほどとするのがベストの割合である。

ぜひ、求職者をハッピーにして、応募行動(決断)を引き出すことができる求人票づくりをおこなってほしいと願う。


佐野浩之
ひと・しくみ研究所
社会保険労務士
採用・定着・教育に強い ひと・しくみ研究所
https://www.hitoshikumi.com/

著者プロフィール

HRプロ編集部

採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。

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