世界100か国以上で実施されている「働きがいのある会社ランキング」(Great Place to Work(R)主催)にて、株式会社コンカー(以下 コンカー)は日本国内(中規模部門)の第1位に6年連続でランクインしている。業績面においても国内経費精算市場で9年連続シェアNo.1に輝き、日本のトップ企業100社の2/3が利用しているという。日本法人設立時からの社長である三村真宗氏は、「コンカーの成長は、働きがいに愚直に取り組んできた結果だ」と断言する。

同ランキングにおいて第2位にランクインしたのは、個人と組織の目標達成を支援する教育コンサルティングのアチーブメント株式会社である。アチーブメント社は1987年の創業以来、創業者である青木仁志氏の下、一貫して「働きがいに溢れ社員が自己実現できるモデル企業」を目指した経営を行ってきたという。その人財育成の知見が評価され、2022年7月からは地上波視聴率No.1の実績を誇る日本テレビ放送網株式会社と資本業務提携を結び、さらなる教育展開に向けた一歩を踏み出した。

このように、同ランキングにおいて「働きがい」を感じている社員が多いと評価され、急成長を遂げている2社だが、業態も違えば会社の成り立ちも違う両者には共通点の他に相違点も数多く存在する。これらの特徴を比較することで「働きがいの秘訣」を探っていった時、何が見えてくるのか?今回、アチーブメントHRソリューションズの事業推進を担う笠原雅也氏が三村氏にインタビューを実施。両者の取り組みの暗黙知を形式知化して発信することで、再現性の高い施策について探究した。(以下:敬称略)


プロフィール


  • 三村真宗氏

    株式会社コンカー 代表取締役社長
    三村 真宗 氏

    1993年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。以後13年間に渡り、ビジネス・インテリジェンス事業本部長、社長室長、CRM事業本部長、製品マーケティング本部長、戦略製品事業バイスプレジデント等を歴任。2006年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業等の戦略プロジェクトに従事し、IT戦略・ITビジョンの策定、ソフトウェア事業のBPR等を担当。2009年、ベタープレイス・ジャパン株式会社 シニア・バイスプレジデント。2011年10月から現職。

  • 笠原雅也氏

    アチーブメントHRソリューションズ株式会社
    笠原 雅也 氏

    組織変革コンサルティング部 事業推進チーム
    新卒でアパレル企業に入社。その後、人材求人広告代理店へ転職。ブルーカラー職種を中心とした企業の採用活動を支援し、大手人材紹介会社の代理店に所属する全営業職の中でトップの成績をおさめる。その中で採用活動による組織の問題解決に限界を感じ、組織の根底にある人事的課題を解決するためにアチーブメント株式会社へ入社。 入社後は人材開発と組織開発を専門領域とし、クライアントの教育体系設計、研修プログラム設計・開発、組織風土醸成、営業力開発の支援を行う。

笠原様氏・三村氏

「働きがい」に愚直に取り組んで業績向上を実現

笠原:今日は「働きがいのある会社」づくりについて、コンカーとアチーブメントの共通点や相違点から探究していきたいと思います。私は三村さんの講演に参加したことがあり、著書も愛読させていただいていて、ずっとファンなんですよ。三村さんは、社長になられた当初から「働きがいのある会社」を目指していらしたのですか。

三村:私がコンカーの社長に就任したのは12年前の2011年です。外資系IT会社の現地法人トップは、成績が出ないと数か月で更迭されてしまうので、当初はクビになるのではないかと毎日ビクビクしていました。それで4番バッターを他チームからかき集めたようなチーム編成をした結果、社内が混乱し、社員同士が相互不信で業績も上がらない状況になってしまったのです。
三村氏
笠原:それでどうされたのですか。

三村:その状況を何とかしなければと決意し、当時の社員13人と1日かけて合宿して、私の5年後ビジョン2つを共有しました。1つは、コンカーの国別売上において米国以外のマーケットでNo.1になること。そして業績だけでなく、日本のIT業界で最も働きがいのある会社になることの2つです。当時は途方もない夢でした。

笠原:業績だけでなく、「働きがい」というキーワードを最初から選んだのは、どういう理由があったのですか。

三村:業績は外からわかりますし、定量的に測ることができる。でも社員の活力を駆動するファクターは、業績とは逆の、内的で定性的な何かに違いないと考えて思いついたのが「働きがい」でした。

日々いろんな問題があって苦労していたのですが、「5年後の大きな目標に向かって、ギャップを埋めていこう」と社員が協力して取り組むようになりました。難しいけれど、決して不可能ではない目標を共有したことで、結果として今では国別業績は米国以外でNo.1になり、組織は社員数350人に成長しました。

そして当初「働きがい」は測れないと思っていたのですが、2014年に「働きがいのある会社ランキング」があることを知ってエントリーし、最初は13位でした。それから毎年エントリーして、本当に思ってもみなかったのですが2018年に1位になり、以来6年連続1位です。
笠原氏
笠原:業績と「働きがい」は、どちらが原因でどちらが結果かという議論があります。経営者とお話すると、業績が良かったから「働きがい」が高まったのでしょう、という方もいらっしゃいます。

三村:私のこの12年間の肌感覚では、「働きがい」に愚直に取り組んできたから業績が伴った、という確信があります。「働きがい」は曖昧としていて、どんな取り組みから手を付けたらいいかわからないと言う経営者もいらっしゃいます。一方で、私たちがやってきた取り組みを振り返ると、かなり再現性があるのではないかと考えています。



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●「働きやすさ」と「やりがい」の要素を分析して改善に取り組む
●経営者が人と「働きがい」にコミットすることが成長のカギ
●パーソナルミッションの合致によって圧倒的な熱量とエネルギーが生まれる
●採用は組織文化への適合を重視し、社長が最終面接を実施
●「下から上へのフィードバック」に必須の心理的安全性とコーチャビリティ
●「プレゼンテーション文化」によって張り巡らされたコミュニケーション
●権限移譲と現場アイデアの実行でボトムアップ好循環をつくる

提供:アチーブメントHRソリューションズ株式会社
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