企業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、企業競争力を高めるカギとして注目を集める「人的資本経営」。その実現に向けて不可欠なのが、経営戦略と人材戦略の連動である。人と組織の成長を支援する産業能率大学は、人的資本経営推進の具体的なプロセスに迫ろうと、HR総研と共同で「戦略的人材マネジメント実態調査2022」を実施した。今回の講演では、産業能率大学 総合研究所 主幹研究員の山田 弘道氏と、同マーケティング部 プロジェクトリーダーの末廣 純子氏がその調査結果をひもとき、経営戦略と人材戦略を連携する上での課題と解決へのヒントを解説した。講演の後半では、ProFuture株式会社 代表の寺澤 康介がファシリテーターとなり、3者によるディスカッションが行われた。
「人的資本経営」の実現に不可欠な人材育成部門の4つの役割とは? 経営戦略と人材戦略をつなぐカギとなる「情報転写」
山田 弘道 氏
講師:

学校法人産業能率大学 経営管理研究所 技術経営&コミュニケーション研究センター 主幹研究員 山田 弘道 氏

コンサルタントとして、現場に入り込み、対話を通じたマニュアルの作成やさまざまな業務改善を支援し、組織の生産性向上に貢献。また、専門分野の教育工学で教育体系づくりや研修効果測定の構築に定評がある。
学校法人産業能率大学

末廣 純子 氏
講師:

学校法人産業能率大学 総合研究所 マーケティング部 普及支援1課 プロジェクトリーダー 末廣 純子 氏

専門分野は産業心理学、組織心理学、認知発達療育。 現在は普及データの分析業務の他、組織調査の企画・設計も行う。データ解析でメンバーのワーク・エンゲイジメント向上に寄与すること、企業・組織と個人の互恵的関係の構築が最近の関心事。
学校法人産業能率大学

寺澤 康介
講師:

ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長 寺澤 康介

1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、2007年採用プロドットコム株式会社(2010年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

「戦略的人材マネジメント実態調査2022」から読み解く、経営戦略と人材戦略が連動する企業の特徴

経営戦略と人材戦略の連動状況によって「人材マネジメントの体制」が大きく異なる

末廣氏 「人的資本経営における人材育成部門の役割を問う」という観点からご報告いたします。「戦略的人材マネジメント実態調査2022」は、経営戦略と人材戦略が連動する企業の特徴や活動をさまざまな角度から確認し、人的資本経営を行うとは具体的にはどのようなことであるかを明らかにするために実施しました。

では、調査結果をご報告します。
まず、人材戦略を策定する際の経営戦略との連動状況です(図1)。「人材戦略が策定される際、どのように経済戦略と連携していますか」という質問に対して、「人材戦略は、経営戦略と相互に関連づけて同時に策定される」が23.5%、「人材戦略は、経営戦略に従って逐次的に策定される」が35.9%、「人材戦略は、経営戦略とは別に各々で策定される」が14.6%、「特に人材戦略と呼べるものがない」が26%という結果でした。これらをこの後、「同時策定群」、「逐次策定群」、「別々に策定群」、「人材戦略なし群」といった形で省略して、各項目とのクロス集計の結果をご説明します。
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