組織に貢献する「優秀な」人材を探し出し、評価し、育成し、組織に留めさせるという問題は、長きにわたる経営学の重要なテーマであり続けてきました。特に欧米では、卓越した人材の採用が人材獲得競争(war for talent)と呼ばれるほど激しさを増していることが、2000年代はじめ頃から指摘されています。時同じくして、欧米の経営学では、スター社員研究(star employee research)の名の下に、一般企業に所属する卓越した社員を対象とした研究の蓄積が始まり、一部のプロフェッショナルだけでなく、一般企業に所属する従業員においても、「スター」と呼ぶべき人材がすでに存在していることが指摘され始めています。

こうした流れを受けて、私たちは、日本国内において「スター社員」と呼ぶべき人材を多数輩出している株式会社サイバーエージェント及びその関連会社におけるフィールドワークを行い、国内におけるスター社員の現実について調査を進めています。この連載では、その成果の一部を報告したいと思いますが、それに先立って今回は、私たちの調査の背後にある欧米のスター社員研究の現状を、ごく大まかに描き出してみたいと思います。
第1回:欧米の研究者は、「スター社員」をどのように捉えているのか?

そもそも「スター社員」とは?

ハーバード大学のボリス・グロスバーグによれば、「スター社員」とは、(1)例外的に高い成果をあげ、かつ(2)広く内外労働市場におけるビジビリティ(顕在性)を獲得している個人を指します。この定義によれば、スター社員とはまず、相対的に高い成果をあげている単なる高業績者(ハイパフォーマー)ではなく、平均的な水準を遥かに超える成果をあげている人々ということになります。具体的にどの程度の成果を指すのかということに関しては、産業内の上位3%とする研究、上位5%さらには10%まで広げる研究など、研究者間で必ずしも共有された明確な基準があるわけではありませんが、とにかく、平均的な人材のレベルを「遥かに超える」という点が重要です。

またスター社員は、ビジビリティが高い、つまり彼(女)らが高い成果をあげているということが、周囲の人々に広く知られている人々でもあります。顕在性が高い社員は、報酬や名声、ポジションといった各種の資源獲得が容易になり、周囲のメンバーに対して様々な影響を与えるはずだ、と考えられているのです。

要するに、平たく言えば、「とびきり優れた成果をあげており、かつ、そのことで周囲からの注目を集めている人」がスターということになります。これからの連載に登場するのは、こうした意味でのスターたちです。

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