現代企業は既存のビジネスから脱却し、デジタル化による新たなビジネスモデルを創出すること、すなわちデジタルトランスフォーメーションが求められています。マインドセットも含めてデジタルに精通した人材を育成し、強いデジタル組織をつくるには、HRのリーダーシップが欠かせません。そのために今、HRが取り組むべきことは何か。自己開発型人材育成システムを開発・提供するサムトータル・システムズの古沢淳氏にお話しいただきました。

講師

  • 古沢 淳氏

    古沢 淳氏

    サムトータル・システムズ株式会社 マーケティングディレクター

    大学卒業後、株式会社東芝に入社。電子計算機事業部にて分散処理コンピュータ商品企画を担当。 その後、IBMの開発部門にて、製品企画、開発事業企画、技術マーケティングを担当し、携帯電話OSのシンビアンでの新事業開発担当を経て、2011年から現職。


デジタルトランスフォーメーションへの対応 ~新しいビジネスモデルへの対応と教育~

「モノ・コト」から始まるデジタルトランスフォーメーション

 歴史を振り返ると、世界は新しい発明や技術革新のたびに劇的な変化を遂げて発展してきました。遡ると第一次産業革命を起こした蒸気機関の発明から、第二次産業革命を牽引した電力の実用化、さらにコンピュータの台頭やインターネットの普及による第三次産業革命と進みます。そして今、第四次産業革命としてデジタルトランスフォーメーションという大変革が起きていることは周知の通りです。

 デジタルトランスフォーメーションの定義や、AIやIoT、データベースやロボティックスといったキーテクノロジーについてはここでは触れません。ただ、デジタルトランスフォーメーションがこれまでの産業革命と決定的に違うのは、全世界的な規模で進んでいるということです。最新テクノロジーは今や全世界に波及しています。このことを踏まえた上で、私はもう少し日本的な物の見方から、デジタルトランスフォーメーションへの対応を考えてみたいと思います。

 日本企業は本来ものづくりを得意としてきました。私が社会人になった当時は「とにかく良いものを作れ」と言われて懸命にものづくりに励んだものですが、次第にそれだけでは足りなくなってきました。次に言われたのは、価値ある「モノ」の追求から、カスタマーエクスペリエンス(顧客経験価値)の「コト」へ。つまりサービスの提供です。さらに進むと、今度は「モノ」と「コト」を一緒に考えることが大切だと言われるようになりました。新しいサービスを届けるには新しいモノが必要であり、新しいモノには新しいサービスが必要ということです。ちなみに、「モノ」と「コト」をうまく融合させたビジネスモデル構築のために、私達は「ものこと双発協議会」という団体にも参加しています。

 さらに先の段階にあるのが、「モノ」と「コト」のデジタルインテグレーションによるデジタル事業改革です。現在進行中のデジタル革命により、既存のビジネスを破壊しようとするベンチャー企業がたくさん現れています。私達はそれに対抗し、持続的なイノベーションを考えていかなければなりません。したがって、破壊することを破壊する「モノ」「コト」から始まったデジタルトランスフォーメーションという位置付けで、私達は考えています。
デジタルトランスフォーメーションへの対応 ~新しいビジネスモデルへの対応と教育~

言葉の浸透度に対し、進まぬ事業モデルの構築

 では、デジタルトランスフォーメーションに対して準備ができている企業はどれくらいでしょうか。私たちの調査では50%以上の企業が「イエス」と回答しています。しかしその一方で、「まだ準備ができていない」、「デジタルトランスフォーメーションそのものを知らない」と答える企業も4分の1ほど見られました。また、この調査は回答者の職種別にも集計していますが、CTO(最高技術責任者)の皆さんは当然「関心がある」ということで34%の高率でした。残念なのはCEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)の関心がそれほど高くなかったことです。注目したいのは、職種の中にCDOが含まれていたこと。この職種まだそれほど馴染みがないと思いますが、Chief Digital Officerの略で、最高デジタル責任者のことです。CDOを立てている会社は、当然ながらデジタルトランスフォーメーションへの関心がかなり高いと思われます。

 多くの会社がデジタルトランスフォーメーションを意識していますし、すでに実際に取り組んでいる企業もあると聞いています。ただ、別会社の調査によると、約90%の企業が「破壊的なデジタル革命を進める競合相手によって、自社の事業が脅かされている」と感じています。また、約70%は「破壊者に対抗できるスキルやリーダーシップを備えた人材による事業モデルを持っていない」と答えています。つまり、デジタルトランスフォーメーションという言葉自体は広く浸透しているものの、企業が具体的な対応を取るところまではなかなか進まない、もしくはリーダーシップやスキルを持つ人材育成が上手くいっていないというのが現状だと思います。
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