第81回 学生の志望度が下がる最大のきっかけは?ほか、「2017 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント

ProFuture代表の寺澤です。
経団連が11月27日に発表した「2017 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」の中に、いくつか興味深い結果がありましたので、まずはそちらを紹介したいと思います。調査時期は2017年7月28日〜8月31日、調査対象は経団連企業会員1339社、回答社数は553社(回答率41.3%)で、昨年の709社(回答率52.9%)からは大きく減っています。

「維持」から「開始時期の規定削除」へ

最も興味深かったのは、中長期的な「指針」のあり方についての結果です。2017年度の調査では、「指針自体は残すが、広報活動や選考活動の開始時期の規定は削除すべき」が42.1%でトップ、次いで「選考開始時期等を含めた現行の指針の内容を維持していくべき」が26.9%、「指針を廃止し、自由な採用活動を認めるべき」が9.0%となっています[図表1]。一方、2016年度の調査結果を見ると、「選考開始時期等を含めた現行の指針の内容を維持していくべき」が27.4%でトップ、次いで「指針自体は残すが、広報・選考活動の開始時期の規定は削除すべき」が22.4%となっています[図表2]
「選考開始時期等を含めた現行の指針の内容を維持していくべき」の割合はそれほど変わっていませんが、「指針自体は残すが、広報活動や選考活動の開始時期の規定は削除すべき」とする企業は2倍近くに増えています。昨年と回答選択肢に変更がありますので、単純に比較することは難しいのですが、昨年の選択肢の中で「開始時期」に踏み込んだ選択肢は他になく、この数字の変化はほぼこのまま受け止めてもよいでしょう。「指針を廃止し、自由な採用活動を認めるべき」とする割合は昨年とそれほど変化はなく、「指針」自体の意義は認めつつも、開始時期の規定には不満を持っている企業が多くなっていることが分かります。
インターンシップの名目で実質的な採用セミナーが広報解禁日である3月1日以前に横行しており、選考開始時期であるはずの6月1日に至ってはさらに守られておらず、大手企業ですら6月1日は実質的には内々定解禁日になってしまっています。「広報活動や選考活動の開始時期」は、あくまでも目安にされているだけで、ほとんど守られていないことを考えれば、昨年の結果よりも今回の結果のほうが企業の本音を反映したものになっているといえます。

経団連会員企業でも採用計画未達企業が増加

もう一つ興味深いのは、採用計画の達成状況の設問で、2018年4月入社対象について「計画に届かない」とする企業が30.7%と、昨年の24.5%に比べて6.2ポイントも増加していることです[図表3]。「計画より多い」は昨年の15.0%から11.6%へ、同じく「計画どおり」は60.0%から56.9%へとそれぞれ減少しています。
「計画より多い」とする企業の中には、優秀な学生が多かったため、採用計画以上の採用数になった企業もあるでしょうが、多くは内定辞退者が出ることを見越して多めの内定を出したものの、内定辞退者が想定よりも少なかった企業です。2018年入社対象で「計画より多い」「計画どおり」が昨年よりも減少しているのは、内定辞退者が想定よりも多かった企業が増えたということでしょう。経団連会員企業は大手企業の割合が極めて高いにも関わらず、今年の採用活動では苦戦した様子がうかがえます。
会員企業の中にも選考開始期日を守らなかった企業が多かったとはいえ、非会員企業のように早期から堂々と選考活動ができたわけではなく、会員であることを不利に感じている企業も少なくないでしょう。それが先に見た「広報活動や選考活動の開始時期の規定は削除すべき」につながっていると考えられます。

著者プロフィール

ProFuture代表 HR総研所長 寺澤 康介

1986年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、15年にProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。2012年、HR総研所長に就任。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』『経営と人事 対話のすすめ』、編著に『経営を変える、攻めの人事へ』(いずれもProFutureより出版)などがある。

※『採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント』は、WEB労政時報に寄稿した原稿を約2週間遅れで転載しておりますので、内容的に時差が生じる場合があります。ご了承ください。
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