HR総研(ProFuture株式会社/所長:寺澤康介)は、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム(代表理事:香川憲昭)及びMS&ADインターリスク総研株式会社(代表取締役社長:中村光身)と共同で、人的資本経営と開示に関する企業・団体等の取組状況を大規模調査する「人的資本調査2022」を昨秋に実施した。
本調査の申込総数は530社を超え、280社から期限までに調査票を提出いただいた。本調査の全体傾向について以下に報告する。

分析結果サマリー

●人材戦略の可視化と発信への経営トップの関与、5,001名以上企業では8割
●企業理念やパーパスの具体化、7割近くで実施
●社員のエンゲージメントレベルの把握と改善アクション、過半数が実施
●人材ポートフォリオ実現に向けた具体的計画「立てられていない」が4分の3
●企業価値向上へのストーリーの構築「未着手」が3割、東証プライム上場企業では?
●「インプットとアウトカムの設定と社外開示」できているのは2割
●有報開示が義務化する項目への取り組み状況、上場タイプによる違いは?
●社内環境整備方針の策定や具体的な取組み・社外開示できているのは3割、東証プライム上場企業の傾向は?
●人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定、東証プライム上場企業の傾向は?
●「男性の賃金に対する女性の賃金比率」は7割、「情報・通信」がトップ
●男性の育児休業取得率、「金融」がトップで7割近く
●女性管理職の性別比率の現状、「サービス」がトップも3割に届かず
●人材戦略の中で重要視している指標「育成」がトップ、業種別の傾向は?
●データドリブンな人材戦略の推進に必要な条件とは?

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

回答企業280社の属性概要

本調査に回答した企業の属性は以下のとおりである(図表1-1~3)。

【図表1-1】業種

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表1-2】従業員規模

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表1-3】上場タイプ

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

人材戦略の可視化と発信への経営トップの関与、5,001名以上企業では8割

まず、調査した項目の中で「特に取組みが進んでいる3項目」について見てみる。
一つ目は、「人材戦略の可視化と発信への経営トップの関与」であり、全体の51%と過半数の企業で「人材戦略とその可視化方法の議論に経営トップが関与した上で、自らの言葉で発信も行っている」としている(図表2-1)。
「人材戦略とその可視化方法の議論に経営トップが関与した上で、自らの言葉で発信も行っている」の割合を従業員規模別に見てみると、「300名以下」~「1,001~5,000名」の企業群では4~5割であるのに対し、「5,001名以上」の企業群では80%にも上っている。この結果から、従業員規模が「5,001名以上」という大企業では、他の企業群より顕著に高い割合で経営トップが積極的に人材戦略に関与していることがうかがえる(図表2-2)。

【図表2-1】人材戦略の可視化と発信への経営トップの関与

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表2-2】従業員規模別 人材戦略の可視化と発信への経営トップの関与

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

企業理念やパーパスの具体化、7割近くで実施

「特に取組みが進んでいる3項目」の二つ目は、「企業理念やパーパスの具体化」である。
「企業理念やパーパスを設定し、社員の具体的な行動・姿勢のレベルに落とし込んでいる」が全体の65%と7割近くに上っており、日本企業の多くが企業理念やパーパスを重視した経営を行っていることがうかがえる(図表3-1)。
これについて売上増加率(2年前期から直前期の売上増加率)による傾向の違いがあるかを見てみると、最も売上増加率が高い「(増加率)30%以上」と最も売上増加率が低い「(増加率)0%未満」の両企業群において、「企業理念やパーパスを設定し、社員の具体的な行動・姿勢のレベルに落とし込んでいる」の割合がそれぞれ76%、75%とほぼ4分の3を占めているとともに、「20~30%未満」は50%で最も低い割合となっている(図表3-2)。したがって、企業理念やパーパスの具体化することは人的資本経営において重要なポイントである一方で、企業理念やパーパスの具体化だけでは、直接的に企業業績の向上に影響を与えるわけではないことがうかがえる。企業から社員に対して一方的に企業理念やパーパスに即した行動を求めるだけではなく、企業のパーパスと社員自身のマイパーパスが重なり合い、社員からの共感が得られるようなパーパス経営を実践していくことが重要なのだろう。

【図表3-1】企業理念やパーパスの具体化

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表3-2】売上増加率別 企業理念やパーパスの具体化

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

社員のエンゲージメントレベルの把握と改善アクション、過半数が実施

「特に取組みが進んでいる3項目」の三つ目は、「社員のエンゲージメントレベルの把握と改善アクション」である。
「社員のエンゲージメントレベルを測定後、改善のためのアクションを行い、数値に基づき効果検証を行っている」とする割合は全体で23%、「社員のエンゲージメントレベルを測定後、改善のためのアクションは行っているが、数値に基づく効果検証は不十分である」は28%で、これらを合計した「社員のエンゲージメントレベルを測定後、改善のためのアクションを行っている」の割合は51%と過半数に上っている(図表4-1)。
これを従業員規模別で見てみると、従業員規模が大きいほど社員のエンゲージメントレベルの把握と改善アクションを実施している企業の割合が高く、「社員のエンゲージメントレベルを測定後、改善のためのアクションを行っている」の割合は、「300名以下」の企業群では26%と4分の1程度であるのに対し、「5,001名以上」では80%にも上っている。また、「社員のエンゲージメントレベルを測定していない」の割合は、「5,001名以上」では僅か4%であるのに対し、「300名以下」では57%と6割近くにも上っている(図表4-2)。
この結果から、従業員規模が大きいほど、人材戦略の一環として社員のエンゲージメントレベルを数値で把握し改善アクションに繋げることを重視していると推測される。HR総研の別の調査でも、中堅・中小企業での可視化のためのサーベイ実施率は低く、社員との普段の会話を通じて社員の意識を把握するとする割合がまだまだ高くなっている。

【図表4-1】社員のエンゲージメントレベルの把握と改善アクション

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表4-2】従業員規模別 社員のエンゲージメントレベルの把握と改善アクション

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

人材ポートフォリオ実現に向けた具体的計画「立てられていない」が4分の3

次に、「取組みレベルに課題がある3項目」を見ていく。
まず一つ目は、「人材ポートフォリオの具体的計画と目標達成に向けた活動」で、「人材の現状分析はしたが、必要な人材ポートフォリオを実現するための目標設定や具体的計画は立てられていない」の割合は30%、さらに「人材の現状分析や必要とする人材ポートフォリオの明確化が出来ていない」の割合は45%であり、これらを合計すると75%と4分の3もの企業で、人材ポートフォリオ実現に向けた具体的計画が立てられていないことが分かる(図表5)。
今後、自社の企業価値向上に向けた効果的な人材戦略を策定・推進していく上で、自社にどのような人材がおり、どのような人材を確保・育成する必要があるのか、まずは客観的に現状把握することが効果的な戦略の推進の重要なポイントとなるだろう。

【図表5】人材ポートフォリオの具体的計画と目標達成に向けた活動

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

企業価値向上へのストーリーの構築「未着手」が3割、東証プライム上場企業では?

「取組みレベルに課題がある3項目」の二つ目は、人的資本に関する取組みによる「企業価値向上へのストーリーの構築」である。
「構築していないが、作成に着手している」の割合が最も多く46%、さらに「構築しておらず、作成の着手もしていない」は30%で、これらを合計した「構築していない」の割合は76%で4分の3に上る。人的資本経営の目的となっている「企業価値の持続的な向上」がある中、現状では目的達成に向けたストーリーを描くことなく、人的資本経営に取り組んでいる企業が多いことがうかがえる(図表6-1)
上場タイプ別に見ると、「東証プライム市場」への上場企業群においてさえも71%と7割の企業が、人的資本を企業価値向上に繋げるストーリーを未構築となっている。今後、人的資本開示をして投資家との対話を進める上で、どのような人材戦略によって人的資本価値を高め、さらには企業自体の持続的価値向上を図っていくかを明確に説明できるストーリー構築が求められるだろう(図表6-2)。

【図表6-1】企業価値向上へのストーリーの構築

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表6-2】上場タイプ別 企業価値向上へのストーリーの構築

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

「インプットとアウトカムの設定と社外開示」できているのは2割

「取組みレベルに課題がある3項目」の三つ目は、「人材戦略の実現に向けたインプット(人的資本投資)とアウトカム(達成すべき目標)の設定と社外開示」である。
「インプットとアウトカムを定めていない」の割合は64%となっている。人的資本開示をするためには、インプットとアウトカムを設定した上で、その進捗を社外開示することが必要となるが、そもそも「インプットとアウトカムの設定」自体を行っていない企業が6割以上にも上っている。一方、社外開示まで行っているのは僅か2割にとどまっている(図表7)。
「取組みレベルに課題がある3項目」の結果を見ると、今後、人的資本経営と開示を効果的に行っていくにあたって、日本企業では、人材戦略をデータドリブンかつ計画的に推進していくことが大きな課題となっていると推測される。

【図表7】人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定と社外開示

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

有報開示が義務化する項目への取り組み状況、上場タイプによる違いは?

2022年8月30日に内閣官房より「人的資本可視化指針」が公表された。加えて、金融商品取引法他法令改正により有価証券報告書上で人的資本の重要指標に開示義務が課されることとなる。このような背景から、ここからは、「有価証券報告書での開示が義務化された項目」の動向を見てみる。
「人材育成の方針の策定・社外開示」については、全体では「人材育成方針を策定し、社外へ開示している」が最多で41%と4割程度となっている一方、「人材育成方針を策定していない」は32%と3割程度となっている(図表8-1)。
「人材育成方針を策定し、社外へ開示している」の割合を上場タイプ別に見てみると、「東証グロース市場」上場企業群では僅か8%と1割未満であるのに対し、より企業規模の大きな企業が多い「東証プライム市場」上場企業群では52%と過半数に上り、顕著に高い割合となっている。「東証プライム市場」上場企業群では、有価証券報告書での開示義務化を意識して、積極的に人材育成の方針を社外開示する企業がさらに増加することも予測される。
ただし、「これらに上場していない」企業群でも27%と3割近くあり、上場に関わらず人材育成方針を社外に開示し、対外的にアピールできている企業も少なくないことがうかがえる(図表8-2)。

【図表8-1】人材育成の方針策定・社外開示

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表8-2】上場タイプ別 人材育成の方針策定・社外開示

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

社内環境整備方針の策定や具体的な取組み・社外開示できているのは3割、東証プライム上場企業の傾向は?

「社内環境整備方針の策定や具体的な取組み・社外開示」については、全体では「社内環境整備の方針を策定し、社外へ開示している」の割合が34%と3割程度となっている一方、「社内環境整備の方針を策定していない」が48%と半数近くに上っており、取り組みが進まない企業も少なくないことが分かる(図表9-1)。
これを上場タイプ別に見ると、人材育成の方針と同様に、「東証プライム市場」上場企業群では他企業群より「社内環境整備の方針を策定し、社外へ開示している」の割合が顕著に高く43%となっているものの、過半数には達していない(図表9-2)。
「社内環境整備」には、多様性やプライバシーの確保、健康的な職場環境の整備の他、人権の尊重など多岐に渡る分野が含まれているからこそ、個々の企業が何を重視してどのような「社内環境整備方針」を策定し推進しているかについて、社外に対して明確に開示することが求められる。

【図表9-1】社内環境整備方針の策定や具体的な取組み・社外開示

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表9-2】上場タイプ別 社内環境整備の方針の策定や具体的な取組み・社外開示

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定、東証プライム上場企業の傾向は?

「人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定」については、前述したとおり他項目より取組みレベルに課題がある項目で、「インプットとアウトカムを定めていない」の割合は全体で64%と6割以上に上っており、「インプットとアウトカムを定めており、社外へ開示している」は20%にとどまっている(図表10-1)。
これを上場タイプ別に見ると、「インプットとアウトカムを定めており、社外へ開示している」の割合は「東証プライム市場」上場企業群では他企業群より顕著に高いものの、29%と3割程度にとどまっており、他の企業群では1割以下、「東証グロース市場」上場企業にいたっては0%となっている(図表10-2)。
「東証プライム市場」上場企業群では特に、外国の投資家との対話をする機会もある中、自社の人材戦略の進捗についてデータドリブンに分析し、論理的かつ明確に説明できる体制をできるだけ早期に整えていく必要があるだろう。

【図表10-1】人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表10-2】上場タイプ別 人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

「男性の賃金に対する女性の賃金比率」は7割、「情報・通信」がトップ

【図表11-1】業種別 正規雇用労働者の男女の賃金の差異 集計状況

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表11-2】業種別 男性の賃金に対する女性の賃金比率 平均値 [%]

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

男性の育児休業取得率、「金融」がトップで7割近く

「男性の育児休業取得率」を業種別に見てみると、「(集計が)できている」の割合は7~8割程度となっており、前述の「正規雇用労働者の男女の賃金の差異」より高い傾向が見られる。ただし、「サービス」では「(集計が)できている」が55%で他業種より低くなっている。(図表12-1)。
「男性の育児休業取得率」の平均値を見ると、全体平均値は38%となっており、女性の取得率が限りなく100%に近いのに対して、男性の育児休業取得が未だ進んでいないことが良く分かる。また、業種別に比較すると、最も高い取得率である業種は「金融」で66%となっており、他業種より顕著に高くなっている。一方、最も低い取得率となっているのは「運輸・エネルギー」で22%となっている(図表12-2)。

【図表12-1】男性の育児休業取得率 集計状況

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表12-2】男性の育児休業取得率 平均値 [%]

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

女性管理職の性別比率の現状、「サービス」がトップも3割に届かず

「女性管理職の性別比率」を業種別に見てみると、「(集計が)できている」の割合は9割以上となっており、ほとんどの企業で集計できていることが分かる(図表13-1)。
「女性管理職の性別比率」の平均値を見ると、全体平均値は11%であり、徐々に上昇してきているものの、未だ1割程度にとどまっており、政府が目標値として掲げる30%には届かない現状となっている。ただし、業種別に見て最も高いのは「サービス」で25%と他業種より顕著に高くなっており、30%に近づいている。この要因の一つとしては、他業種より女性の就業者比率が高い業種であることが考えられる。一方、最も低い比率の業種は「メーカー」と「運輸・エネルギー」で、ともに5%である(図表13-2)。エンジニアや運転手・ドライバーなど、もともとの女性比率が低い職種の社員の割合が多い業種においては、女性管理職比率を高めることは他の業種以上に難しい課題となっているようである。

【図表13-1】女性管理職の性別比率 集計状況

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表13-2】女性管理職の性別比率 平均値 [%]

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

人材戦略の中で重要視している指標「育成」がトップ、業種別の傾向は?

次に、「属性による特徴が見られる項目」を挙げてみる。
まず、「人材戦略の中で重要視している指標」について、全体の傾向を見ると、「育成」がトップで48%、次いで「エンゲージメント」が40%、「ダイバーシティ」が31%などとなっている。前述した「有価証券報告書での開示が義務化された項目」のうち、「育児休暇」や「賃金の公平性」は重要視している項目として挙げる企業の割合は3%や2%と、低水準になっているものも見られる(図表14-1)。
「人材戦略の中で重要視している指標」について、業種別のTOP5を図表14-2で示す。全体でも上位に挙がる「育成」、「エンゲージメント」、「ダイバーシティ」が上位項目として目立つ中、「サービス」においてのみ「ダイバーシティ」が入っていないことが特徴的である。
また、「情報・通信」、「サービス」、「建設・不動産」では「採用」がTOP3に入っているが、「サービス」、「建設・不動産」では「採用」の下に「定着(離職)」が並んでおり、業種によって「採用」を重視する背景が異なることが推測される。

【図表14-1】人材戦略の中で重要視している指標

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【図表14-2】人材戦略の中で重要視している指標

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

データドリブンな人材戦略の推進に必要な条件とは?

人事システムの統合管理レベル別に各項目の傾向を見ると、人的資本経営・開示において重要と思われる項目の取り組み状況に顕著な差異が表れている(図表15-1)。
例えば、「KPIデータを踏まえた中長期計画の策定」について、最も進んだ取組み状況である「人材戦略に基づく中長期計画を策定しており、中長期で達成すべき定量的な目標・指標を設定している」の割合を見てみると、人事システム統合管理レベルが最も高い「人事のシステム化は複数領域で統合的に行っており、複数領域にまたがるデータ連携に問題はない」とする企業群(「複数領域にまたがるデータ連携に問題はない」企業群、以降同じ)では、63%と6割を超えている。この企業群より人事システム統合管理レベルが低い企業群の割合と比較すると顕著に高く、「人事業務のシステム化はほとんど進んでいない」では0%となっている(図表15-1)。

【図表15-1】人事システムの統合管理レベル別 KPIデータを踏まえた中長期計画の策定

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

「KPIの効果検証分析」については、「KPIに関連する人事施策の大半/一部において、人事データの分析結果に基づいた効果検証や投資対効果の分析を行っている」という上から2段階分の割合を合計して見てみると、「複数領域にまたがるデータ連携に問題はない」企業群では66%と7割近くに上っている。これを他企業群と比較すると、中長期計画の策定状況と同様に、他企業群より顕著に高くなっている(図表15-2)。

【図表15-2】人事システムの統合管理レベル別 KPIの効果検証分析

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

さらに、「人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定」については、「インプットとアウトカムを定めており、社外へ開示している」に割合を見てみると、「複数領域にまたがるデータ連携に問題はない」企業群では59%と6割に上っている。これについても他企業群と比較すると、他企業群より顕著に高い割合となっている(図表15-3)。
これらの結果から、人事システムが複数領域にまたがるデータ連携をできる状態になっているかどうかは、人材戦略のデータドリブンな推進に強く影響していることが分かる。ただし、現時点では人事システムが複数領域にまたがるデータ連携をできる状態になっていない企業が多い現状にある中、これがデータドリブンな人材戦略の推進へのハードルとなっている企業も少なくないだろう。

【図表15-3】人事システムの統合管理レベル別 人材戦略の実現に向けたインプットとアウトカムの設定

HR総研:人的資本調査2022 結果報告

【調査概要】

アンケート名称:人的資本調査2022
調査主体:(一社)HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研(ProFuture)、MS&ADインターリスク総研(株)
調査期間:2022年9月8日~12月2日
回答方法:回答専用フォームにて期限内に回答し、事務局へ返送
調査対象: 上場企業、非上場企業を含むすべての企業・団体
有効回答:280件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:HR総研(ProFuture株式会社)
一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム
MS&ADインターリスク総研株式会社
2)当調査のURL記載、またはリンク設定
3)HR総研へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用元名称(調査レポートURL) と引用項目(図表No)
  ・目的
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