監査法人の繁忙期は40時間以上の残業が一般的で、3人に1人が「残業60時間以上」

税理士・公認会計士・経理人材に特化した転職サポートを行う株式会社レックスアドバイザーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役:岡村 康男)は、監査法人で働く269名を対象に、「監査法人の繁忙期に関する実態調査」を実施しました。

4~5月の決算期を中心にピークを迎える監査法人の「繁忙期」。本調査では、そのリアルな残業時間や終業時間、繁忙期における不満、転職意向などの実態が浮かび上がりました。

<調査結果からわかった3つのポイント>

1. 繁忙期の残業時間:3人に1人が「60時間以上」
月60時間以上の残業をしている方が全体の34%で、そのうち80時間以上の残業をしている方が全体の約10%も存在することがわかりました。また通常期と比較すると、繁忙期の残業時間が40時間以上増えたと回答した方が全体の70%弱にのぼりました。

2. 終業時間と睡眠時間:7割弱が「22時以降」まで勤務、睡眠にも影響
繁忙期には全体の7割弱の方が22時以降の深夜残業を経験していることが判明。また勤務が深夜まで及ぶことにより、繁忙期には全体の6割以上が平均睡眠時間5時間未満という実態が明らかになりました。

3. 繁忙期における不満:「顧客」と「制度」に関する不満が上位
繁忙期における不満は、「報酬が業務量に見合わない顧客がいる」と回答した方が32%でトップに。続いて、「フレックスがない(31%)」、「リモートが少ない(24%)」という結果になりました。また繁忙期中には何らかのタイミングで「転職が頭をよぎったことがある」と回答した方が全体の約80%強という実態も明らかに。

<調査結果の詳細を解説>

調査結果について、より具体的な内容を解説します。

1. 繁忙期の残業時間
繁忙期の残業時間について調査結果を見てみると、最も多かった回答は「40~60時間」で36%、次いで「20~40時間」で24%、「60~80時間」で23%でした。また60時間以上の残業をしている方は全体の34%で、約3人に1人という割合に。そのうち8%は「80~100時間」の残業をしており、3%は「100時間以上」の残業をしているという過酷な実態が明らかになりました。

なお通常期と比べると、7割弱の方が「繁忙期は残業時間が40時間以上多い」と回答。監査法人の繁忙期では40時間以上の残業は一般的だということがわかります。

2. 繁忙期の終業時間と睡眠時間
業務量が増える繁忙期では、深夜におよぶ残業も増加。最も遅かった日の終業時刻について質問したところ、約半数となる48%の方が「22時~23時」と回答しました。中には、さらに遅い時間まで残業している方もおり、全体の70%弱の方が「22時を超える深夜残業」を経験。そのうち7%の方は「0時を超える残業」を行っていたことも明らかになりました。

深夜残業は睡眠時間にも影響しており、繁忙期における平均睡眠時間が「5時間未満」と答えた方は全体の61%という結果に。その中でも「4時間未満」と回答した方は17%と存在し、深刻な睡眠不足に陥っている可能性があります。

3. 繁忙期における不満
意外なことに、調査の結果、繁忙期には残業時間が長いことそのものについてよりも経営や制度に関する不満を抱く方のほうが多いということがわかりました。具体的な不満の内容を見てみると、最も多かったのは「報酬が業務量に見合わない顧客がいる」で32%、続いて「フレックスがない」が31%、「リモートが少ない」が24%という結果に。業務効率の悪いクライアントやフレックスタイム制度、リモートワーク制度といった働き方の制度に対する不満が上位を占めました。

これらの不満を踏まえ、「繁忙期中に事業会社への転職を考えましたか?」と質問したところ、実際に「転職活動を開始した」と回答した方は9%にとどまっています。しかしその一方で、全体の80%強はなんらかのタイミングで転職が頭によぎっている実態も明らかになりました。

優秀な人材を逃さないためにすべきこと

今回の調査では、約8割の方が繁忙期をきっかけに「転職が頭をよぎる」と回答しており、繁忙期がキャリアの再考や離職を考えるきっかけになっている実態が明らかになりました。
一方で、実際に転職活動にまで踏み切る層はごく一部にとどまることから、多くの人材は「現状の環境が改善されれば、この職場で働き続けたい」という意向を持っていると考えられます。

優秀な人材の流出を防ぐためには、繁忙期中に抱く不満として上位に挙がった「報酬が業務量に見合わない顧客がいる」「フレックスがない」「リモートが少ない」といった問題点に着目し、組織構造や顧客関係の見直し、制度の改善に踏み込むことが必要です。

またAIやクラウドを活用したデータ収集・手入力作業の完全自動化や、ペーパーレス化による場所を選ばない業務プロセスの構築も急務。業務の効率化を行うことで、本来注力すべき高度な判断・分析業務や、顧客との深いコミュニケーションに時間を割ける環境を整えられ、ストレスの軽減にもつながります。

さらに繁忙期後のアフターフォローの実地と中長期的なキャリアパスの明確化も必要。繁忙期が終わった直後に1on1面談を実施し、個人の貢献を正当に評価することや、繁忙期の負担に対する振替休暇や還元インセンティブを実施することが有効です。

「繁忙期を乗り越えれば、理想の働き方・キャリアが叶う環境だ」と確信できる組織作り、制度・評価設計を行うことが、優秀な人材の流出を防ぐ対策となります。

【調査概要】
調査タイトル:監査法人の繁忙期に関する実態調査
調査対象:PRISMA社のリサーチパネルより、現在監査法人で働いている方
有効回答数:269サンプル(管理職189サンプル、スタッフ職80サンプル)
調査期間:2026年5月22日~5月25日
調査方法:アンケートリサーチ
Q.繁忙期の残業時間について教えてください(N=269)

Q.繁忙期の残業時間について教えてください(N=269)