経理管理職の転職リアル:マネジメント層が求める「正当な評価」と「成長できる環境」
株式会社レックスアドバイザーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役:岡村 康男)は、過去3年以内に転職経験を持つ経理管理職253名を対象に、「経理管理職の転職実態に関する調査」を実施しました。当社は公認会計士や税理士、経理・財務人材に特化した転職サポートを行っており、本調査は経理管理職が現場で抱える不満や現場で求められているニーズなど転職の実態を把握するために行ったものです。
調査の結果、経理管理職が転職を決意するきっかけは人間関係の変化や自身の待遇・評価に関する「組織への失望」に起因するものが多く、また転職活動を通して、約半数の層が転職先企業を選ぶ際の優先順位を大きく変化さえている実態が明らかになりました。
<調査からわかった4つのポイント>
1. 転職の動機は「人間関係のトラブル」や「昇格・昇給の見送り」
経理管理職の転職の動機は、2割以上が「昇給・昇格の見送り」や「人間関係のトラブル」によるもの。組織の歪みに見切りをつけて離職する傾向があることがわかりました。
2. 管理職はスタッフ職より「人事評価の正当性」と「教育制度の充実」を重視
経理管理職はスタッフ職に比べて「昇給昇格の見送り」や「上司や同僚の退職」「自身の人事異動」を理由に転職を決意する割合が高いことが明らかになりました。
3. 転職活動の開始時と決定時で約半数が最重視事項を変更している
転職活動をスタートした段階では「年収」を重視していた人が多いが、転職先を決定した時点では年収以上に「制度」や「環境」を重要視している人が増えているという結果に。
4. 短期離職リスクが潜在
転職者の約6割が、入社後に転職の「やり直し」を検討、または「判断を保留」にしており、短期での離職リスクが露呈した結果になりました。
<調査結果の詳細を解説>
調査結果について、より具体的な内容をまとめました。
1. 経理管理職が離職する理由
転職のきっかけとして同率でトップとなったのは、「昇給や昇格の見送り(21%)」と「人間関係のトラブル(21%)」でした。スタッフ職に比べて、管理職は「上司や同僚の退職」「業務量の増加」をきっかけに転職へ動くケースも多くなっています。
正当な評価が得られないという不満からの離職も多いですが、管理職はその立場から、日々組織の安定性やリソース配分に対して冷静かつ厳しい目を向けており、改善がなされないままだと愛想をつかしてしまうケースも多いと考えられます。
2. 転職活動を通じて変化する企業選びの軸
転職開始時に最重視していたのは、「年収」「働き方」「業務内容」の3項目で70%を占めていましたが、転職先の最終決定時には、これらが54%まで減少しました。代わりに最重視する項目として増加したのが、「教育制度」や「福利厚生」「人間関係」。
転職活動の選考過程において複数の企業を比較していく中で、目先の条件だけではなく、入社後のキャリアの持続性や働く環境について再考し、改めて自分の軸を見直した結果と言えそうです。
3. 管理職とスタッフ職の比較
経理管理職とスタッフ職の回答を比較してみた結果は次の通りです。
転職のきっかけでスタッフ職に比べて管理職のほうが割合の高かった項目は、「昇給昇格の見送り」(+4%)、「上司や同僚の退職」(上司+1%、同僚+6%)、「自身の人事異動」(+4%)となりました。
前職への不満では、管理職のほうが「年収」(+8%)「働き方」(+8%)「人事評価」(+6%)の項目で高い割合になりました。
転職先に対して魅力に感じた項目については、管理職のほうが高い割合になったのは「評価制度」(+6%)「教育制度」(+7%)で、スタッフ職のほうが高い割合だったのは「業務内容」(+7%)でした。意外にも、管理職のほうが「教育制度」を魅力に感じる割合が高いという結果から、管理職はより高度なキャリアを築くための学びの機会を職場に求めていることがわかります。
4. 採用企業に求められるもの
転職活動の満足度を調査するにあたり、転職活動をやり直したいかを聞いたところ、「やり直したくない」と答えた人が39%、「やり直したい」が28%、「まだわからない」が33%でした。
この結果から約6割の転職者が入社後のギャップを抱えている可能性がうかがえます。企業側は採用活動においてミスマッチや入社後のギャップが起こらないよう丁寧に説明を行うことや、内定段階から不安の解消を丁寧に行うこと、入社後の期待値調整を行うことが必要だと言えるでしょう。
調査結果から見えた転職者のニーズと企業の課題
今回の調査により、経理管理職の採用においては、年収などの条件提示だけでは優秀な人材に選ばれ、定着してもらうには不十分だということが浮き彫りになりました。管理職層は年収の高さそのものよりも、自分がどのように評価されるのか、どのような基準で評価されるのかといった、「透明性の高い評価制度」を求めています。企業は自社の評価基準やキャリアステップを透明化し、候補者の専門性がどのように活かされ評価されるのかを具体的に提示することが求められます。
また転職者の約半数が活動中に重視する軸を変えている事実は、選考過程における「魅力付け」が重要であることを示しています。初期の希望条件に固執せず、面接を通じて成長環境や福利厚生など候補者の潜在的なニーズを引き出し、柔軟に提案を行うコミュニケーションが企業側に求められています。
さらにせっかく転職をしたにも関わらず、転職者の約6割が入社後に迷いを抱えているという結果は、採用のミスマッチが深刻であることを示しています。入社前後の不安を払拭する丁寧なフォローや、早期に期待値のズレを解消する体制が、経理財務部門の人材安定には必要不可欠です。
【調査概要】
調査タイトル:経理財務職の転職に関する実態調査
調査対象:過去3年以内に転職した、全国の経理財務職に従事する男女
有効回答数:534サンプル(管理職253、スタッフ職281)
調査期間:2026年3月9日~3月13日
調査方法:インターネットアンケート(株式会社PRISMAのリサーチパネルを活用)

Q.転職活動において最も重視したことを教えてください(N=253)