会計事務所の繁忙期は3人に1人が「残業60時間以上」の過酷な現実。役職が上がるほど負担増

税理士・公認会計士・経理人材に特化した転職サポートを行う株式会社レックスアドバイザーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役:岡村 康男)は、会計事務所や税理士法人で働く740名を対象に、「会計事務所の繁忙期に関する実態調査」を実施しました。

12月の年末調整から始まり、確定申告、4~5月の企業決算対応と続く会計業界の「繁忙期」。本調査では、そのリアルな残業時間や役職別の残業実態の違い、終業時間や睡眠時間の実態、繁忙期における不満が明らかになりました。会計業界における繁忙期の過酷な実態から、改善すべき課題や優秀な人材を確保するためのヒントをご報告いたします。

<調査結果からわかった4つのポイント>
1. 繁忙期の残業時間:3人に1人が「60時間以上」、管理職へ負担が集中
全体の34%が月60時間以上の残業を行っていることが判明。スタッフ職では60時間以上残業している方が22%なのに対し、管理職では38%となっており、管理職への業務や負担の集中が浮き彫りになりました。

2. 深夜勤務と睡眠時間:7割以上が「22時以降」まで勤務、3割が睡眠4時間未満
繁忙期には役職を問わず全体の7割以上が22時以降の深夜残業を経験。また繁忙期には全体の7割以上が平均睡眠時間5時間未満、そのうち30%が4時間未満という深刻な睡眠不足に陥っていることがわかりました。

3. 繁忙期における不満:「制度」と「経営効率」に関する不満が上位に
繁忙期における不満のトップは、「フレックスがない(33%)」、次いで「報酬が業務量に見合わない顧客がいる(32%)」「事務所が非効率である(26%)」となり、残業の多さ自体よりも事務所の制度や経営、仕組みへの不満が目立ちました。

4. 約8割が「転職が頭をよぎったことがある」と回答
過酷な労働環境で、実際に事業会社への転職活動を始めた方は5%であったものの、全体の約80%が何らかのタイミングで「転職が頭をよぎったことがある」と回答しました。

<調査結果の詳細を解説>
今回の調査結果について、より具体的な内容をまとめました。

1. 繁忙期の残業時間と役職による違い
繁忙期の残業時間について調査したところ、最も多かったのは「40~60時間(36%)」で、次いで「60~80時間(23%)」、「20~40時間(22%)」でした。
また60時間以上の残業をしている方は全体の34%(約3人に1人)にのぼり、そのうち7%は「80~100時間」、4%は「100時間以上」の過酷な残業を行っていることがわかりました。なお全体の半数以上が繁忙期について「通常期より40時間以上残業が増える」と回答しています。
さらに役職別で見ると、スタッフ職では「残業60時間以上」が22%にとどまるのに対し、管理職では38%に急増。通常期より残業が「40時間以上増える」と回答した割合も、スタッフ職が40%弱なのに対して、管理職では60%と圧倒的に高く、マネージャー層に業務やレビュー負担が集中している実態が明らかになりました。

2. 繁忙期の終業時間と睡眠不足の関係
業務が激増する繁忙期において、全体の70%以上が「22時を超える深夜残業」を経験しており、その中で10人に1人は「0時を超える残業」を余儀なくされていることがわかりました。この深夜残業経験についてはスタッフ職(約65%)と管理職(約75%)の間で大きな差はなく、役職を問わず遅くまで働いている現状が明らかに。
深夜までおよぶ残業により睡眠時間も削られており、繁忙期における平均睡眠時間が「5時間未満」と答えた方は70%にも達し、その中でも「4時間未満」という深刻な寝不足状態にある方も30%を占めました。

3. 繁忙期における不満
残業の多い繁忙期において、事務所に対して感じる不満(複数回答)のトップは「フレックスがない(33%)」でした。続いて「報酬が業務量に見合わない顧客がいる(32%)」「事務所が非効率である(26%)」「リモートが少ない(25%)」という結果に。
「残業時間が長い」という回答が24%にとどまっていたことから、残業時間の長さそのものよりも、「ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができないこと」や、「非効率な社内体制」「採算の合わない顧客対応」といった、事務所の経営・仕組みに対する不満を持っている方が多い実態が明らかになりました。

4. 繁忙期中に転職が頭をよぎったことがある方は約8割
「繁忙期中に事業会社への転職を考えましたか?」という質問に対し、「転職活動を開始した」と回答した方は5%にとどまりました。その一方で、「転職がよぎったが特に検討はしていない(37%)」「他事務所への転職は検討したい(30%)」「検討したが特に活動はしていない(15%)」という、「何らかのタイミングで転職が頭によぎったことがある」と回答した方は全体の約80%に。
多くの人材が、繁忙期の過酷さをきっかけに自身のキャリアや働き方を見つめ直していることが伺えます。

調査結果から見る、優秀な人材を逃さないための対策

今回の調査から、会計業界の繁忙期では過酷な残業実態があることが明らかになりました。会計業界ではどうしても特定の時期に業務が集中し、ある程度残業が多くなることは避けられませんが、残業そのものをゼロにすることではなく、事務所の制度や経営・仕組みに対する改善を行うことは優秀な人材の離職を防ぐためにも急務です。

たとえば繁忙期中の不満として、「フレックスやリモート制度がないこと」「業務の非効率」が上位に挙がりましたが、これらはすぐにでも解決すべき課題と言えるでしょう。

フレックス制度があれば、「深夜残業を行った翌日はいつもより遅い時間に出勤できる」「勤務開始時間を早くして、その分早く終業できるようにする」なども可能になり、繁忙期のストレス軽減やモチベーション維持にもつながります。

業務を効率化するためには、顧客からの資料回収と手入力をなくすためにデータ入力の自動化を行ったり、顧客との情報共有のデジタル化を行ったりすることも有効です。社内コミュニケーションをビジネスチャットへ完全移行することで、業務がスムーズになるだけでなく、リモートワークも可能に。

優秀な人材を確保し、離職を防ぐためにも、「繁忙期だから仕方がない」という考えを捨てて、時代に合わせた労働環境へアップデートすることが会計業界全体に今、求められています。

【調査概要】
調査タイトル:会計事務所の繁忙期に関する実態調査
調査対象:PRISMA社のリサーチパネルより、現在会計事務所や税理士法人で働いている方
有効回答数:740サンプル(管理職524サンプル、スタッフ職216サンプル)
調査期間:2026年5月20日~5月24日
調査方法:アンケートリサーチ
Q.繁忙期の残業時間について教えてください(N=740)

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