~「採用・就活とAI」について、採用担当者と学生へ調査~

組織づくりのプラットフォーム「sonar HRテクノロジー」を展開する、Thinkings株式会社は、採用活動でAIを活用したことがある採用担当者200名と、企業の採用活動でAIが活用されていることを知っている24卒就活生200名を対象に、「採用・就活とAI」に関するアンケート調査を実施しました。既にAIを活用し始めている企業、および採用でのAI活用を認識している学生、という”先駆者”的な方々に対して、「採用でのAI活用」について現時点でどう考えているか調査しました。

■82%が「AIの活用で採用の質が高まった」と回答

採用担当者に対して「AIを活用したことで採用活動の質が高まったかどうか」を質問したところ、「高まった」「やや高まった」を合わせて82.0%が「AIの活用で採用の質が高まった」と回答しました。

■「特にAIを活用した採用業務」は、
「求人票の作成」48.5%、「採用の企画」47.5%、「スカウト」31.5%、の順で多い結果に

採用担当者に対して「特にAIを活用した採用業務」、および「AIを活用したほうがよいと感じる採用業務」を聞いたところ、いずれもトップ4まで同じ項目が並び、情報の作成やアイディア出しに関わる内容が選ばれました。一方で「人の手で対応したほうがよいと感じる採用業務」については、「スカウト」が27.5%とトップに。次いで「面接」など応募者と直接コミュニケーションを取ることが想定される場面が高い傾向が見えました。「スカウト」は、業務の性質として「母集団形成」と「魅力付け」の2つの側面を持つことから、前者の目的では「AI」・後者の目的では「人の手」、などの判断により両方の設問で上位に現れたと推測されます。

【フリーアンサー】
また、上記の「AIを活用したほうがよいと感じる採用業務」「人の手で対応したほうがよいと感じる採用業務」について、それらを選択した理由も聞きました。

・「AIを活用したほうがよい」採用業務
人により起こりうる偏りをなくすため、人事の業務工数削減、AIのパフォーマンスが高いから、などの理由が多く回答されました。
「AIのほうが忖度がないから」「AIのほうが公平であるから」
「人手不足の解消のため」
「AIの方が的確に(アウトプットを)作成してくれるから」
「私たちでは考えられないような斬新な企画を生み出してくれるから」

・「人の手で対応したほうがよい」採用業務
性格などは人の目で確かめるべきといった回答が多く、応募者がAI活用をどう受け止めているかについて考慮しているコメントも複数ありました。
「性格や人間性などは、人の目できちんと確かめなければわからないと思うから」
「(応募者に)不信感をいだかせないから」
「内定者とのコンタクトは現時点ではAIでは拒絶反応がでる可能性がある為、AIがもう少し人に近づき世間に認知されれば、内定者フォローを含め、採用業務を全て任せても良いと思う」 

■学生が就職活動でAIを利用することについて、採用担当者の約8割が「歓迎」

「学生が就職活動でAIを利用することをどのように受け止めますか?」という質問では、採用担当者の78.5%が「歓迎する」「やや歓迎する」と回答しました。

■採用でのAI活用を実施した企業の64%が、「AIでの判定」に有効性を感じる結果に
■採用でのAI活用について知っている学生の86.5%が、「AIでの判定」を活用することを許容

企業側の回答では、「最終面接」を含むすべてのプロセスにおいて「AIで判定することが有効だと感じる」が最も多く、「AIでの判定を重視できる」と併せてAI判定に有効性を感じている回答が64.0%となりました。一方、学生は「AIを参考に人が判定してほしい」が「適性検査」以外のすべてのプロセスで最も多い結果となりました。ただし「採用プロセス全体」について、学生の86.5%が「AIでの判定」を活用することを許容していることがわかりました。

【フリーアンサー】
・企業が「AIを活用した判定」を実施することに対してどう考えるか、学生に聞きました
肯定的な意見としては、活用場面を限定した内容が多い中、AIの方が優れているという意見も多数ありました。一方、肯定的な意見としては、AIでなく人に判断してほしい内容についての意見や、AIに関する不安などがありました。
肯定:「適性検査など正解が決まっているものはAIによる判断で問題ない」
肯定:「選考初期はスピード重視・企業の人事の負担削減のためAIの判定でも良い」
肯定:「AIのほうが人よりもフラットな判定だと思う」
否定:「個性や雰囲気も含めて一緒に働きたいかどうかなどを判断してほしい」
否定:「AIが具体的にどのような仕組みで判定するのか分からないので不安」
否定:「AI面接を受けた際、1度話した内容を何度も聞かれることがあり、不信感を覚えたため」

■「AI活用を前提とした未来へ。」Thinkings CHRO 佐藤邦彦

先日発表した採用トレンド予測では、「採用3.0」というキーワードで、AIにより過渡期を迎えている採用環境について解説しました。”人手不足社会”を迎える中、「採用でのAIの活用」は今後段階的に進んでいくと予測され、「AIの精度」「企業側のリテラシー」「応募者側の理解度」という3者の成熟度がその進み方へ影響を与えるだろうという考えをお伝えしました。
今回の調査は、それら3者を知る手助けになればと思い、「採用でのAI活用」を実施したことがある採用担当者/知っている就活生、という”先駆者”的な方々を対象に実施しました。
応募者側では、AI活用に概ね理解がある結果となりました。既にAIを活用して身近に感じ始めた若者も多く、少なくとも我々世代よりも、AI活用を前提とした感覚を持ったコメントが多い印象を受けました。しかし、現時点ではまだ「AIを参考に人が判定してほしい」が最も多い状況です。そのため企業側では、「応募者側の理解度」と、進化する「AIの精度」に合わせて、AIと人の役割をすみわけながら活用を進める必要があるでしょう。
また一方で、プラットフォーマーとしては、AIの活用を検討していない多くの企業の「AIを使わない理由」にも目を向ける必要があると考えています。今後も私たちは、企業と応募者の多様な声を聞きながら、双方にとってよりよい採用が増えるよう、プロダクト開発を進めてまいります。

【調査概要】
・調査対象:採用活動でAIを活用したことがある採用担当者
2024年卒業予定で1社以上の内定を取得した就活生
・調査人数:それぞれ200名
・調査期間:2023年10月
・調査方法:オンラインアンケート
・調査主体:Thinkings株式会社

■「採用管理システムsonar ATS」
https://hr.sonar-ats.jp/1205_aichosa
■sonar AI
https://hr.sonar-ats.jp/1205_aichosa_ai
■Thinkings株式会社
https://www.thinkings.co.jp
AI活用した64%の企業が「AIでの判定」に有効性を実感、86.5%の学生が「AIでの判定」を許容