少子高齢化が進み、労働力人口が減少する中、多様な人材を活用して社会全体を支え合う必要が出てきている。適性や能力、また抱えている条件が異なる人材を雇用する企業には、どのようなマネジメントが求められるのだろうか。人口オーナス期を勝ち抜く企業になるための人材管理法とはどういったものなのだろうか。
ダイバーシティ時代における人材マネジメント

人口オーナス期の経済成長に必要な人材活用法

1960年頃から1990年頃まで、日本は人口ボーナス期であった。「多産多死」から「少産少死」の社会に変化し、人口構成比において子どもの数が減り、生産年齢の人口が増加。高齢者が少なく、労働力が豊富であったため、社会保障費の負担が少なく、経済は急成長を遂げた。
そして、人口ボーナス期は終焉を迎え、90年代以降の日本は、働く人よりも支えられる人が多くなる人口オーナス期に入っている。少子高齢化が顕著になることで労働力人口が減少。かつて成り立っていた、働く世代が引退世代を支える社会保障制度の維持が、困難になっている。

人口オーナス期の国が経済成長を維持していくためには、多様な人材を活用し、その人たちが働きやすい多様な働き方を用意することが必要であると、株式会社ワーク・ライフバランス代表の小室淑恵氏は提唱している。労働力不足の解消は、これまで労働力率が低かった層の社会進出をどれだけ支援できるかが鍵となる。

女性・障がい者・外国人の雇用

多様な人材を活用するには、様々な条件を抱える人にとって、労働条件が働くことへの障壁とならない労働環境を整備し、短時間で効率的に成果を出せる働き方を提供することが必要になる。出産・育児中の女性に限らず、家族の介護をする男性や難病・障害を持つ人、外国人などの積極的な雇用が求められており、実際にそうした人材の労働力率は上昇している。

例えば、総務省の労働力調査によると、平成27年の女性の就労者数は2,754万人で、同調査が開始された昭和60年と比較すると、450万人、19.5%増加している。雇用者数についても昭和60年からほぼ一貫して増加傾向にあり、平成27年は2,474万人と、昭和60年と比べて926万人、59.8%の増加となっている。
年代別で見たときの特徴では、労働力率が低くなるとみられていた「30~34歳」が、昭和60年の50.6%から平成27年の71.2%へ、大幅な伸びを見せている。この数字には、未婚者比率の上昇と、出産・育児後すぐに仕事復帰する女性が増えたことが関係していると考えられる。

また、障がい者雇用についても、厚生労働省が公表した「平成28年 障害者雇用状況の集計結果」の中で、50人以上規模の民間企業で雇用されている障害者数が前年比4.7%増の474,374人で、13年連続過去最高となっていることが示されている。
公的機関においても、雇用障害者数及び実雇用率のいずれも、対前年で同程度か上回る数値が出ているようだ。

さらに、外国人労働者数は、平成27年10月時点の「外国人雇用状況」の届出状況をまとめると、前年同期比で120,269人、15.3%の増加となっており、こちらも平成19年の届出義務化以来、過去最高を更新している。
外国人労働者を雇用する事業所数も、前年同期から15,208か所、11.1%の増加の152,261か所となっている。

従業員一人ひとりの価値を認め、人材活用を効率化する

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