株式会社Works Human Intelligenceは2024年3月26日、「女性管理職比率向上に関する施策実施状況の調査(企業人事部向け/従業員向け)」の結果を発表した。本調査期間は2023年12月11日~14日で、従業員数500名以上の企業610社/同従業員631名より回答を得ている。本調査結果から、従業員の女性管理職比率向上に関する施策の効果実感や管理職への意向などが明らかとなった。
【女性管理職比率】8割超の企業が向上施策実施も、取り組みは難航か。“なりたくない”が多数、「効果実感なし」とする従業員も

【企業向け調査】8割以上が女性管理職の比率向上に関する施策を実施

2023年6月に「女性版骨太の方針2023」が閣議決定され、東京証券取引所プライム市場に上場する企業の女性役員比率を「2030年までに30%以上にする」という長期目標が掲げられた。将来の役員候補となる管理職の採用や育成強化の必要性が高まるなか、「女性管理職比率向上」に向け各企業ではどのような施策を実施し、またそれについて従業員はどのように受け止めているのだろうか。

はじめにWorks Human Intelligenceは、企業(人事部)に対して「女性管理職比率の向上に関する施策/目標の設定状況」を尋ねた。すると、何らかの取り組みをしている企業は84.6%(定量的な目標値を設けている:53.9%、定量的な目標値は設けていないが研修等何らかの取り組みを行っている:30.7%の計)と8割を超えた。
企業向け調査・女性管理職比率の向上に関する施策/目標の設定状況

【従業員向け調査】自社施策の効果を「感じていない」が最多で4割を超える

続いて同社が、企業の従業員を対象に「自社で実施している施策のうち最も効果を実感しているもの」を聞いたところ、「効果を感じているものはない」(42.9%)が最も多かった。以下、「時短勤務等、育児と両立できる働き方の整備」(17.9%)、「女性の採用数の増加」(10%)と続いた。
従業員向け調査・自社で実施している施策のうち最も効果を実感しているもの

【企業向け調査】従業員向け調査と同様、自社施策の効果を「感じていない」が最多に

次に同社は、企業にも同様に「自社で実施している施策のうち最も効果を実感しているもの」を尋ねた。すると、「効果を感じているものはない」(22.5%)が最多で、以下、「時短勤務等、育児と両立できる働き方の整備」(19.5%)、「女性の採用数の増加」(11.5%)と続いた。
企業向け調査・自社で実施している施策のうち最も効果を実感しているもの

管理職に「なりたくない」が8割以上。男女差なく、「ワークライフバランスの悪化」などを懸念する声

さらに同社は、従業員に向けて「管理職になりたいと思うか」を聞いた。すると、女性も男性も「なりたいと思わない」が8割を超え、性別に関係なく管理職を望まない声が多く聞かれたという。

そこで、「管理職になりたくない理由」を聞いたところ、男女共通で「ワークライフバランスが悪化するから」(男性:32.4%、女性:43.2%)が最多で、次に「管理職になれるほどの能力がないから」(男性:28.5%、女性:42.1%)と続いた。
従業員向け調査・管理職になりたくない理由

【従業員向け調査】会社に求める支援、女性は「職務定義の明確化」、男性は「特になし」がトップに

最後に同社は、従業員に向けて「会社でどのような支援があれば管理職になりたいか」を尋ねた。すると、女性の場合は「管理職の職務定義の明確化」(32.7%)、「特になし」(31.4%)、「仕事に対する評価」(29.2%)の順に回答が多かった。

一方、男性でみると「特になし」(37.9%)が最多で、以下、「管理職の職務定義の明確化」(25.1%)、「仕事に対する評価」(23.8%)と続いた。
従業員向け調査・会社でどのような支援があれば管理職になりたいか
本調査結果から、女性管理職比率向上に関する施策について、企業向けの調査では「何らかの取り組みをしている」が8割を超えた一方、従業員向けの調査では「効果を感じている施策はない」という回答が4割にのぼり、企業の“施策実施状況”と“従業員の実感”にギャップがあることがわかった。また、企業側も効果を感じている施策は「ない」が最多回答となり、効果実感を得づらい状況であることが示された。女性の管理職比率は企業の多様性やガバナンス向上を判断する材料となっているが、「管理職になりたいと思わない」と答えた女性は8割を超えた。今後女性管理職を推進するためには、自社の実施する施策の効果検証や問題意識の共有、従業員への管理職の魅力発信などがポイントとなるだろう。

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