auじぶん銀行株式会社は2020年10月19日、「LGBT当事者をとりまく就業環境の実態調査」の結果を発表した。調査期間は2020年8月25~28日で、LGBTを含む性的マイノリティに該当するビジネスパーソン500名と、該当しないビジネスパーソン500名、計1,000名から回答を得た。これにより、企業LGBTに関する理解や支援制度の実態が明らかとなった。
企業はLGBTの就業環境を整えられているか。当事者と非当事者では意識に乖離も

約8割のLGBT非当事者は「LGBT」を「理解している」と回答

LGBTとは、「Lesbian(女性同性愛者)」、「Gay(男性同性愛者)」、「Bisexual(両性愛者)」、「Transgender(性別越境者)」の頭文字から成る、セクシュアル・マイノリティの総称のひとつだ。昨今はLGBTに関する情報が多く見られるが、企業はどのように理解しているのだろうか。

はじめに、LGBT非当事者に「LGBTという言葉の意味を理解しているか」と尋ねた。すると、「十分に理解している」が31%、「なんとなく理解している」が50.6%と、合わせて8割以上が理解していると回答した。一方、「意味や言葉自体を知らない」という回答者も3.6%いることがわかった。
企業はLGBTの就業環境を整えられているか。当事者と非当事者では意識に乖離も

約半数がLGBTについて「理解を深めたい」と回答

また、「LGBTの友人や知人がいるか」と尋ねたところ、78.6%が「いない」と答え、「いる」と回答したのは2割程度だった。しかし、「LGBTについて学びたい・知りたいと思うか」と尋ねると、「とても思う」が12.6%、「どちらかといえば思う」が37%と、約半数に該当する49.6%が「理解を深めたい」という意識を持っていることが明らかとなった。
企業はLGBTの就業環境を整えられているか。当事者と非当事者では意識に乖離も

約半数の企業で支援制度を実施しておらず

次に、「自身が勤めている会社では、LGBTに対して協力的な制度や取り組みを行っているか」と尋ねた。その結果、「行っていない」との回答が48.3%と最も多く、約半数の会社では支援制度が導入されていないことが判明した。また、「分からない」との回答も29%にのぼり、3割弱のビジネスパーソンは自社の制度について把握できていない実態が明らかとなった。
企業はLGBTの就業環境を整えられているか。当事者と非当事者では意識に乖離も

具体的な支援制度があるものの、取り組みは不十分か

続いて、「支援制度がある」との回答者に「具体的にどのような制度が導入されているか」を尋ねた。その結果、「お祝い金、忌引き休暇などの制度が同性パートナーでも適用される」(36.6%)が最も多い結果に。以下、「LGBTについて学ぶ研修」(36.1%)、「LGBTイベントへの参加や協賛」(34.4%)、「差別禁止の明文化」(33%)、「採用」(29.1%)と続き、企業としてLGBTへの理解度を高める取り組みが浸透しつつあることがわかった。一方、トイレや更衣室など、設備面の整備はあまり進んでいないことも判明した。
企業はLGBTの就業環境を整えられているか。当事者と非当事者では意識に乖離も
最後に、「前設問の制度や取り組みが十分だと思うか」と尋ねた。すると、「あまり十分ではない、全く十分ではない」との回答が、LGBT当事者が32.9%だったのに対し、LGBT非当事者は13.5%に留まり、意識に乖離が見られた。
企業はLGBTの就業環境を整えられているか。当事者と非当事者では意識に乖離も
昨今の日本では、願書や履歴書に性別記入欄の廃止を求める声があがるなど、偏見や差別がない社会への動きが強まっている。しかしその反面、企業ではまだ十分な取り組みが行えていないのが現状のようだ。従業員の働きやすさや人権擁護を考えたLGBT支援制度の拡充は、企業が取り組むべき課題のひとつだといえるだろう。

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