株式会社マイナビは2022年4月7日、全国の民間企業等で中途採用に携わる人事担当者を対象に実施した「中途採用状況調査(2022年版)」の結果を発表した。調査期間は2022年1月21日~24日で、従業員数3名以上の企業で2021年に中途採用業務を担当し、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者1,400名から回答を得ている。これにより、業種別の人手不足感や、2022年の中途採用の見通しなどが明らかとなった。
約6割の人事担当者が、2021年の中途採用に「満足」と回答。基準にマッチする人材を獲得できた理由や今後の採用計画とは

「人手不足感」は前年より緩和も、従業員数や職種によって差がつく結果に

2022年1月時点での「各企業・業界での中途採用の状況」はどのようになっているのだろうか。

はじめにマイナビは、「2021年に中途採用を行った企業の正社員の人手不足感」について調査している。その結果、全体では「余剰をとても感じている」が4.2%、「余剰を感じている」が14.5%となり、合計18.8%(前年比:4.4ポイント増)が余剰を感じていることがわかった。

一方で、「とても不足している」が6.5%、「不足している」が41.1%と、合計47.6%が不足を感じていることも判明した。ただし、不足を感じている人は2020年調査時から14.3ポイント減少しており、同社は、「2020年より人手不足感は大幅に緩和しており、2021年の中途採用では適切な人員数の確保ができている」と推測している。

他方で、「不足」および「とても不足」とした回答の合計値を企業の従業員数別に見ると、「50名以下」が54.7%、「51~300名」が51.8%、「301~1,000名」が45.4%、「1,001名以上」が40.4%となった。従業員数が少ない企業ほど、人手不足感が強い傾向にあることがうかがえる。
正社員の人手不足感(全体と従業員数別)
また、同社が「正社員の人手不足感」を職種別にまとめると、「不足している」の割合は「ITエンジニア」が52.5%と最も高くなった。以下、「営業」が43.2%、「医療・福祉」が40.9%などと続いた。

一方で、「余剰を感じる」の割合が最も高いのは、「美容・ブライダル・ホテル・交通」で28.3%だった。人手の過不足感は、企業規模や職種により差があることがうかがえる。
正社員の人手不足感(職種別)

約6割が中途採用者と自社のマッチングに「満足」と回答

次に、同社は2020年・2021年ともに中途採用を実施した企業(2020年と2021年の中途採用を比較できる企業)に対し、「2021年の中途採用者と自社のマッチング満足度」について質問している。すると、全体では、「2021年の中途採用者に満足している」(「前年より満足」と「前年並みに満足」の計)が60.4%と、6割に達した。

業種別で特に「満足」の割合が高かったのは、「IT・通信・インターネット」(68.9%)、「メーカー」(64.9%)、「不動産・建設・設備・住宅関連」(63%)だった。このうち「IT・通信・インターネット」では、「前年より満足」の回答が18.3%と、全業種の中で最も高くなった。
中途採用者と自社のマッチング満足度

中途採用に「満足」の理由は「働き方改革を推進したから」がトップ

続いて同社は、中途採用者と自社のマッチングに「満足」もしくは「不満」とした回答者に対し、「その理由」を複数回答で尋ねている。すると、「満足」の理由では、「働き方改革を推進したから(テレワーク・副業・兼業の認可など)」が25.3%で最も多かった。以下、「WEBでの面接回数を増やした」が20.8%、「人事制度を見直した(福利厚生・評価制度など)」が19.2%などと続いた。

一方で、「不満」の理由としては、「求人などの募集要項を甘くした」(19.7%)、「面接選考の基準を甘くした」(18.7%)、「書類選考の基準を甘くした」(17.5%)などの回答があった。

同社は、「選考基準を緩和するのではなく、働き方改革や人事制度など社内制度の見直しを行うことが、満足度の高い中途人材の採用につながるのではないか」と推察している。
自社とのマッチングに満足・不満の理由

2022年の中途採用の見通しは、特に「経験者採用」に積極的な傾向か

最後に、同社は「2022年の中途採用の見通し」について聞いている。その結果、「経験者・未経験者ともに積極的」は29.6%(前年比:12.3ポイント減)と減少傾向にある一方で、「経験者採用は積極的だが、未経験者採用は消極的」は45.9%(前年比:7.9ポイント増)、「経験者採用は消極的だが、未経験者採用は積極的」が13.9%(前年比:7.2ポイント増)と、どちらも2018年以降の結果で最高となった。特に、経験者採用に関しては積極姿勢であることがうかがえる。
2022年の中途採用の見通し(年次比較)
また、前述の質問で「経験者採用・未経験者採用ともに積極的」とした回答を属性別に見ると、「Z世代(20~25歳)の人材」が32.6%、「ミレニアル世代(26~40歳)の人材」が27.9%で、特に積極的な傾向がうかがえる。同社は、「2022年の中途採用は、将来的に企業の中核を担えるような若手~中堅の人材を積極的に採用していくのではないか」と推測している。
2022年の中途採用の具体的な見通し(属性別)
本調査より、2021年の中途採用では人手不足感が前年より緩和しており、中途採用者と自社のマッチングにも満足している人事担当者が多いことがわかった。今後、中途採用の計画がある企業では、社内制度を見直すなどして採用基準を保ち、自社とのマッチ度が高い人材の採用に努めていきたい。

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