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今こそ投資すべき研修の内製化の真実に迫る

第1回 育成環境を強化する研修の内製化とは

講師ビジョン株式会社 代表取締役 島村 公俊
2016/03/04

2007年のリーマンショック後、多くの企業はコスト削減を目的に、研修の内製化を試みました。しかし、景気の回復とともに徐々に外部への研修委託に戻す企業が大半を占めるようになりました。なぜ、多くの企業は、外部の研修に戻すようになったのでしょうか?そして、今なお研修の内製化について検討する企業が多いのはなぜでしょうか?

本シリーズでは、全3回にわたって、研修の内製化の本質に迫ります。

研修の内製化は、何のために行うのか?

  リーマンショック後の景気回復とともに、多くの企業が研修の内製化を手放した最大の要因は、「コストを削減する」という目的のためだけに、研修の内製化を導入してきたことです。

 コストを削減するためだけに研修を内製化することで、果たしてどれだけの人がポジティブに関わることができたかとういと、回答としてはやはり難しかったということになります。もちろん経営層がコスト削減のために教育を内製化すること自体は否定しませんし、内製化を推進する一つの目的とすることに異論はありません。しかし、それだけではやはり上手く機能しないのです。

 責任者クラスが、そもそも「何のために研修を内製化するのか」について、周囲を巻き込みながら議論し、繰り返し発信していくことがとても大切です。例えば、学びあう組織を創りたい、フィロソフィーを浸透させたい、変化に対応できる人材を創りたい、社内ノウハウを全社に還流させたい、育成環境を強化したいなど、会社の置かれた状況を鑑みて目的を定めましょう。なぜなら、多くの社員が研修の内製化に関わりたいと思えることが最も大切だからです。担当者レベルの本音では、内製化より外部の研修会社に講師業務をお願いできるのなら、そっちの方が「オペレーション的に楽だ」と感じる人が多い、というのが実態ですので、責任者クラスの強力な発信が必要となります。

 社内に眠る資産を見える化し、それを教えることを通じて「人を育てる人」を増やすことを投資と捉え、金額換算することのほうが、「コスト削減」よりも大切です。研修を内製化するということ自体は、ある意味覚悟が問われるので、社員の可能性を信じ、本気で内製化を通じて人材育成をしていこうと主管部門が腹をくくれるかどうかがとても大事なポイントとなります。一歩踏み出してみると、内製化自体はそんなに難しいことではありません。これは、私自身がソフトバンクのなかで実現してきたことなので断言できます。
 実現に向けて必要なのは、まず初めに、なるべく多くの人を巻き込みながら、誰しもが参画したくなるような目的、ビジョンを語れるストーリー、企画案を創ることです。それをもって、上層部をどれだけ巻き込めるかがポイントとなるのです。

Off-JTの価値を向上させるための研修の内製化とは

  従来どおりの「外部への研修依頼」ですと、当たり前ですが、限られた予算で研修を実施するため、一部の人にしか研修を提供できません。教育予算は限られているため、基本的にその予算をどう配分するか、どう有効活用するかという、予算ありきの議論になります。また、その予算は、次の会社を担っていく次世代リーダーへの投資に対して多くとっています。そして、使い道が決まり、また来年へと引き継がれてしまうわけです。

 私たちは、「予算」という問題で、全社員向けの研修機会が限定されてしまうということを危惧しています。外部を活用しその予算を有効活用することはよいことだと思います。しかしながら、予算を活用したらそれで終わりというのは、なんとももったいないことだと思うのです。フォローワーシッップが大切だと考えるなら、フォロワーの方々にもより多くの教育の機会を提供する方法を模索する必要があると考えています。研修の内製化は、キャッシュアウトを極力少なくし、間接的な人件費で研修や学びの機会を数多く提供することができる、極めてエコな人材育成です。私たちは、社員の知恵を活かすことができるこれからの人材育成の新しいカタチだと考えています。

OJTを強化する研修の内製化の本質

  一方、OJTは限られた人数で指導するため、指導者が忙しい場合、機能しづらいという現状があります。若手の即戦力化が叫ばれる中、若手と帆走するOJT指導員、リーダー層、管理職はますます激務になり、また、短期業績を強く求められています。したがって、育成意識がますます希薄化せざるを得ない状況下にあります。余裕があるときはまだいいのですが、余裕がなくなると若手を放置してしまうこともありうるわけです。また、先輩社員は、忙しすぎて意図せず単なる単純作業を無計画に与えてしまうことがあります。そういう意味において、OJTの効果は、限定された、身近な指導者に依存してしまうため、その人以上のことは学べないという課題もあります。

 OJTを複数人で行うことによる効果は検証されておりますが、自分の課だけ面倒をみる、一部門だけ育成する時代は終わりを迎えつつあります。経営環境がこれだけ変わるなか、現場の育成のスタイルが、OJTとOff-JTだけでは限界が生じるのは当然といえば当然です。今のOJTとOff-JTを今の時代にあったカタチで変化させることはとても大事です。そして、それを行いながら、かつ、自分の部を超えた全社の施策として、社員同士が学びあったり、教えあったりする環境が今の企業には必要なのです。社員が学びあう場は、OJTを間接的に支援し、そしてより強化することになります。

社員同士が教えあう第3の実践的な学びの場

  前段のまとめになりますが、限られた予算で行うOff-JT、限られた人数で行うOJT、これらをよりよくしていくことは必要でしょう。しかし、限定された条件の中だけで教育をせず、もっと広い視野で捉える必要があります。たとえば、一人の対象者の教育を、シェアリングエコノミーの発想で、全社員の有休資産(時間、知識、ノウハウなど)を上手く活用しながら、育成していくのは有効です。

 予算がなくても、社員が自分の知恵やノウハウを持ち寄り、互いに教えあう仕組みがあれば、間接的な人件費でキャッシュアウトを極限まで抑えながら、社員同士の実践的な学びの場が作れるのです。それには、研修の内製化という方法もありますし、勉強会というカジュアルな場を創るという方法もあります。このような学びの場は、他部門の人と知り合い、繋がることにもなるため、社内のネットワーク造りを強化するという効果もあります。

 また、そもそも、社員の実践知を共有する場であるので、外部の人にはなかなか語れない実践的なノウハウを学べる場にもなるでしょう。現場OJTでは対応しきれないことも、社内にたくさんの教えてくれる人がいるならば、だいぶ助かると思いますし、OJTの全社底上げにも繋げていくことができます。変化の激しいなかで、全社で育成を盛り上げ、学び合う組織を創ることができたら、退職率は減り、エンゲージメントも自然と高まります。

 講師ビジョン株式会社では、教えあう組織を作りながら、育成環境を強化するための教育の内製化、研修の内製化を支援いたします。お気軽にお問い合わせください。
本コラムに関する質問・お問い合わせ、研修内製化や教育支援に関するご相談については
下記よりお問い合わせください。

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プロフィール

講師ビジョン株式会社 代表取締役 島村 公俊

人事コンサルティング会社を経て、ソフトバンク株式会社入社。東京国際フォーラムにて社長孫正義による講演会の前座を務め、全国の約2千人の営業パーソン向けセミナーを実施し、ボーダフォン買収時の現場教育に貢献。また、店長向けマネジメント研修の導入により全国スタッフ退職率の軽減に貢献し、ソフトバンクアワード受賞。

2009年人材開発部へ異動し、ソフトバンクユニバーシティの設立に貢献。100名を超える社内講師を育成した。2014年日本HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞を受賞。2015年退職し、2016年に講師ビジョン株式会社を設立。育成環境の強化を目的にした研修の内製化の支援ならびに育成担当者であるOJTリーダー育成研修を中心にサービスを提供している。
講師ビジョン株式会社

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