年々加速する企業の人的資本経営への取り組み。2022年には「人材版伊藤レポート2.0」が公表され、翌2023年3月期決算からは上場企業などを対象とする人的資本の情報開示が義務化された。続く2024年の現在地はどこにあるのか。そして、今後どのような方向に向かうのか、さらには人事にどんな役割やスキルが求められていくのか。今回、人的資本経営に造詣が深く、日本で初めて「ISO 30414 リードコンサルタント/アセッサー認証」も取得した慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授 岩本隆氏にお話を伺った。

プロフィール

  • 岩本 隆 氏

    岩本 隆 氏

    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授

    東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。 日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)特任教授。 KBSでは産学連携による「産業プロデュース論」「ビジネスプロデュース論」などの研究を実施。2023年4月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科講師。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授。山形大学では文部科学省地域イノベーション・エコシステム形成プログラムの事業プロデューサーとして山形地域の事業プロデュースを統括。2023年4月より山形大学学術研究院客員教授。2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科では「SFC 地域イノベーション共同研究」に従事。

「人間科学のスキル」と「事業・経営視点」のある人事が増えていく――岩本特任教授に聞く「人的資本経営」2024年の現在と今後

世界で一番「人的資本開示」が盛り上がっているのは日本

――まずは、「人的資本経営」や「開示」における日本の現状をお聞かせいただけますか。

2点あります。まず、1点目は人的資本がまさに「経営マター」になってきたことです。人的資本経営は経営と言う言葉が付いているものの、当初は人事部門での関心から始まりました。最近は、むしろ経営として取り組まなければいけないという意識が高まってきています。

2点目は、企業としての成長を示す意味で、人材について統合報告書やサステナビリティレポートに記述するケースが増えていることです。ESG投資が重要視される中、人的資本はESGの「S」である社会(Social)のカテゴリーに属しています。それゆえ、人的資本に取り組む企業は投資家から評価される傾向にあり、その観点でも企業にとって人的資本の重要性がすごく高まってきているのです。その辺りが、この数年の大きな変化であると思っています。

――一方、欧米など海外の「人的資本経営」や「開示」における現状は、日本と比較してどのような違いがあるでしょうか。

実は、世界の中で日本が人的資本報告の国際規格「ISO 30414」に関して一番盛り上がっています。認証を取得した企業数も日本が最多です。また、認証は未取得であっても人的資本レポートを開示する大手企業、中堅・中小企業も増えています。

世界では、統合報告書やサステナビリティレポートに人的資本のデータを多数開示してはいるものの、人的資本レポートとして独立したレポートを開示するという意味では、日本企業のスピード感が際立っているというのが現状です。

これまでの歴史を振り返ると、日本企業は着手するのは遅くても、猛烈な勢いでキャッチアップしてきた例が沢山あります。人的資本もその一つとなりそうです。今、それを見て、欧米に比べて遅れていたアジアのさまざまな国が、「自分たちも人的資本経営に取り組んでいきたい」とコミットし始めています。

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