内定者フォローは「オンライン」から「対面」へ

「2023年卒採用で実施の内定者フォロー」(全体のTOP15)では、最多は「オンラインでの内定者懇親会」の48%ですが、「対面での内定者懇親会」も46%とわずか2%の差しかないほど、対面での内定者フォローが復活してきていることが分かります[図表4]
[図表4]2023年卒採用で実施の内定者フォロー(複数回答、全体のTOP15)
「若手社員との懇親会」を見ても、「オンラインでの若手社員との懇親会」32%に対して、「対面での若手社員との懇親会」も27%と大きな開きはありません。その他、上位15位までにランクインした項目を見ると、「入社前集合研修」(16%)、「企業・工場見学会」(16%)、「対面での経営者・役員との懇親会」(12%)、「対面でのインターンシップ」(11%)、「対面での管理職社員との懇親会」(9%)と、対面で実施される内容がずらっと並んでいます。面接選考をオンライン主体で進めてきた企業も、内定辞退を防止するための内定者フォローでは、内定者へのグリップ力を高めるためにも「オンライン」から「対面」に切り替えざるを得なくなっている様子がうかがえます。

2023年卒採用の最後は、「11月末時点での内定辞退率」を見てみましょう。全体では、「0%」が25%で最多、次いで「10~30%未満」23%などとなっており、「30%未満」(「0%」~「10~30%」の合計、以下同じ)は65%と3分の2近くになります[図表5]
[図表5]2023年卒採用の11月末時点での内定辞退率
企業規模別に見ると、「0%」の割合は大企業で高いわけではなく、逆に中小企業が48%で突出して高くなっています。大企業は内定者が多い分、かえって内定辞退リスクは高く、「0%」の割合はわずか5%と最も低くなっています。中小企業は内定者が少ないことから内定辞退リスクが低くなりやすいといえますが、一人でも内定辞退が発生した場合には、内定辞退率が大きく跳ね上がるだけでなく、配属が予定されていた部署からすれば新入社員がいなくなるというリスクを抱えることにもなります。

企業規模別に「30%未満」の割合で比べてみると、中小企業が77%で最も高く、次いで大企業が全体とほぼ同じ66%、そして中堅企業が50%で最も低くなっています。中堅企業の結果を見ると、最多は「30~50%未満」の29%でどの規模よりも高く、「50%以上」(「50~70%未満」~「90~100%」の合計)の割合も2割を超え、最も高くなっています。中堅企業では、内定者が大企業と競合するケースも多く、内定辞退リスクが最も高くなっているものと思われます。

より「売り手市場」が鮮明に

ここからは、2024年卒採用の調査結果を見ていきましょう。

まずは、「2024年卒採用計画数の増減」からです。既に2023年卒採用においても、コロナ禍で採用を凍結していた航空業界をはじめ、新卒採用を復活させる企業や採用計画数を前年より増やす企業が数多く見られましたが、2024年卒採用ではさらにその動きが強まりそうです。

全体では、「前年並み」とする企業が最多で46%、「採用なし」や「未定」の企業も3割以上あるものの、「(前年よりも)増やす」の16%に対して、「(前年よりも)減らす」はわずか2%に過ぎず、企業の採用意欲はますます旺盛になっていることが分かります[図表6]
[図表6]2024年卒採用計画数の増減
企業規模別に見ると、大企業では「増やす」が25%なのに対して、「減らす」と回答した企業はありませんでした。中堅企業では、「前年並み」が68%と7割近くを占めるものの、「増やす」の15%に対して「減らす」は2%のみ。中小企業でも、「増やす」の14%に対して「減らす」は3%にとどまるなど、企業規模を問わず「増やす」と回答した企業が「減らす」と回答した企業を大きく上回ります。2024年卒採用は、2023年卒採用以上に学生の「売り手市場」が強まりそうです。

大学ルートの強化が上位に

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