DX(デジタルトランスフォーメーション)は業務の効率化だけが目的ではなく、人の仕事を「楽」にさせること、DXの推進で生まれた時間によって人に「楽しみ」をもたらすことが本来の意義ではないか。そうした観点から、本講演では、株式会社働きごこち研究所/株式会社文殊の知恵 代表取締役 藤野 貴教氏が、テクノロジーの利活用と“人間らしさ”の関係について、「UX(ユーザー体験)」をキーワードとして解説をする。
また講演の後半では、ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長 寺澤康介との対談も行った。


講師

  • 藤野

    藤野 貴教 氏

    株式会社働きごこち研究所/株式会社文殊の知恵 代表取締役

    2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。2015年より「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」をメイン研究領域としている。日本のビジネスパーソンのテクノロジーリテラシーを高め、人工知能時代のビジネスリーダーを育てることを志として、全力で取り組んでいる。『2020年 人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)』を上梓。2019年「ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ」の3種の知恵を集めた株式会社文殊の知恵を設立。UXを伝えるメディア『UXジャーナル』を2020年11月立ち上げ。



  • 寺澤

    寺澤 康介

    ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長

    1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

“人間らしさ”を取り戻して“楽しく”働くために――「UX」の観点からDXの本質を問い直す

DX時代の経営――いま企業が取り組むべき組織作りとは
株式会社働きごこち研究所/株式会社文殊の知恵 代表取締役 藤野 貴教氏

「感情・感性」と「目的・意志」を大切にすべき時代

生産性や利便性だけを追いかけると喜びを失ってしまうのではないか、といった葛藤を私たちは抱えています。しかし事業を巡る環境が目まぐるしく変化する中で、テクノロジーの活用は続けていかなければなりません。

テクノロジーの活用によって人の仕事は「楽」になりますが、この「楽」は「楽しく」とも読めます。テクノロジーの活用で創出された時間を利用して、本来人間として取り組むべきところにフォーカスすれば、仕事は「楽しく」なるはずだ。それがDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要なメッセージではないでしょうか。

2017年に上梓した『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』で、私は仕事を4つに分割しました。横軸が「論理的・分析的・統計的」と「感性的・身体的・直感的」、縦軸が「構造的」と「非構造的」というマトリクスで考えています(図1)。

▼図1

“人間らしさ”を取り戻して“楽しく”働くために――「UX」の観点からDXの本質を問い直す
「論理的・分析的・統計的」な仕事はRPAで代替できる領域、一方「感性的・身体的・直感的」な仕事は人間的といえます。「構造的」な仕事はルール化・マニュアル化・標準化されているもので、「非構造的」はその逆です。

人間として取り組むべきところは、この縦軸と横軸から考えることができます。1つは「感情・感性」を大切にすること。業務をロボット的にこなすのではなく、人の感情・感性をどう入れていくか。もう1つが「目的・意志」。例えば、AIに機械学習をさせる際、その目的設定は人間が行うことになるわけです。

我々は仕事・業務を淡々と無目的に、いわれた通りやってしまいがちですが、そうやって人間の仕事がロボット化したことが問題であり、「人間としてどう進化するか」を考えなければならない時代なのです。
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