コロナ禍によってテレワークが進み、従来型の企業組織の前提を見直す時期が来ています。「オフィス勤務」と「在宅勤務」、「副業」と「複業」、「雇用」と「業務委託」など、企業は組織戦略における様々な「境界のデザイン」を常に意識し、その線引きが適正かどうかを見定めなければなりません。「パラレルワーク」が進む社会での今後の人材活用、キャリア形成のあり方とは。ファシリテーターに学習院大学 名誉教授/学習院さくらアカデミー長の今野 浩一郎氏、ゲストにご自身もパラレルワークを実践されている一般社団法人クラウドソーシング協会 事務局長の湯田 健一郎氏をお迎えし、現状を詳しくお話しいただきました。

講師

  • 湯田

    湯田 健一郎 氏

    一般社団法人クラウドソーシング協会 事務局長

    組織戦略・BPO・CRMのコンサルティングに携わり、ICTを活用した事業プロセス最適化の視点から、幅広い業界を支援。株式会社パソナにて営業企画、事業開発、システム推進、Webブランディングの責任者を経て、現在、ICTを活用し場所を問わず多様な人材の能力を活かす「LINK WORK」の推進を統括。併せて、一般社団法人クラウドソーシング協会の事務局長、東京テレワーク推進センターの事業責任者等も務め、自身もパラレルワークを実践。政府の働き方改革推進に関連する経済産業省「雇用関係によらない働き方に関する研究会」や厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」、「雇用類似の働き方に関する検討会」委員等も務める。



  • 今野

    今野 浩一郎 氏

    学習院大学 名誉教授 / 学習院さくらアカデミー長

    1971年3月東京工業大学理工学部工学科卒業、73年東京工業大学大学院理工学研究科(経営工学専攻)修士課程修了。73年神奈川大学工学部工業経営学科助手、80年東京学芸大学教育学部講師、82年同助教授。92年学習院大学経済学部経営学科教授。2017年学習院大学 名誉教授、学習院さくらアカデミー長。主な著書に、『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社)、『高齢社員の人事管理』(中央経済社)など多数。

「パラレルワーク」が進む現代社会と、企業の組織戦略に必要とされる「境界」デザインとは

「パラレルワーク」が進む社会では「境界」の線引きが従来よりも曖昧になる

一般社団法人クラウドソーシング協会 事務局長 湯田 健一郎 氏
学習院大学 名誉教授/学習院さくらアカデミー長 今野 浩一郎 氏(ファシリテーター)

「パラレルワーク」が進む社会で求められる6つの視点

今野氏 ここ数年、日本では働き方改革が積極的に進められてきました。生活を成り立たせるためだけでなく、自己の能力発見のためにも、これからの時代には多様な働き方が必要とされます。そんな中で注目を集めているのが「パラレルワーク」です。本日は、この分野の第一人者であり、ご自身もパラレルワークを実践されている一般社団法人クラウドソーシング協会 事務局長の湯田 健一郎さんをお迎えしております。よろしくお願いします。

湯田氏 本日は、次の6つの視点から、「パラレルワーク社会」に求められる組織戦略を考えてみたいと思います。

1.コロナ禍で進むテレワーク活用
2.働き方の選択肢の広がり
3.働く比重意識
4.組織構成のデザイン
5.雇用類似契約の留意点
6.組織整備のパラレル化


すべての視点に関わってくるのが「境界のデザイン」という考え方です。パラレルワークが進む社会では、勤務地や雇用形態といった「境界」の線引きが従来よりも曖昧になっていきます。それでは、「1.コロナ禍で進むテレワーク活用」から見ていきましょう。この視点における境界とは「働く場所」です。

コロナ禍により、テレワークが急速に進んでいます。東京都が行った「テレワーク導入実態調査」によると、2019年6月にテレワークを「導入している」と回答した企業が25.1%だったのに対して、20年同月では57.8%にまで倍増しました。これを企業の規模別で見ると、300名以上の企業が76.8%、100~299名の企業が65.1%、30~99名の企業が49.0%となっており、大企業だけでなく中小企業においてもほぼ半数がテレワークを導入していることがわかります。また、テレワークを「今後も継続・拡大していきたい」と回答した企業は、全体の8割に上りました。

では、働き手側から、テレワークはどのように受け入れられているのでしょうか。在宅勤務者を対象に行ったある調査の結果を見てみましょう。質問は「今後も在宅勤務などのリモートワークをしたいと思うか?」というもので、「通常時も在宅勤務をしたい(する機会を増やしたい)」と答えた人は53.0%、「今回のような非常時には在宅勤務をしたい」は42.4%でした。つまり、テレワークは企業だけでなく、多くの働き手にとっても前向きに受け入れられてきているということになります。

首都圏、特に東京都23区内では緊急事態宣言下で半強制的にテレワークが導入され、企業と働き手の双方に行動変容が求められました。また、テレワークの普及・常態化により、自宅とオフィスの使い分けや郊外のサテライトオフィスの活用、さらには東京勤務の働き手も生活拠点を必ずしも首都圏に限定しなくていいという考え方が広がっています。実際、ある調査で「日本国内で在宅勤務が一般的になった場合、社会現象として起こりうると思うこと」を質問したところ、38.8%の働き手が「地方に住む人が増える」と回答しました。そして、それを上回る49.5%の人が「副業が増える」と回答しており、これが次の視点につながります。
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