働き方や企業と社員の関係性が刻々と変化し、多様性のある雇用管理が求められる昨今、社員の声をきめ細かく取り入れ、人事施策に反映させていくことがより一層重要になっています。そこで、「『人事が行う社員向け調査』は今後どうあるべきかを考える」と題してトークセッションを行いました。登壇したのは、元サイバーエージェント採用責任者で株式会社TechBowl 代表取締役社長の小澤 政生 氏、大阪大学大学院 経済学研究科 准教授の中川 功一 氏、HR総研 所長でありProFuture株式会社 代表取締役社長の寺澤 康介、同じくHR総研から主席研究員でProFuture株式会社 取締役 松岡 仁の4名。まず、小澤氏、中川氏、松岡が講演で調査の秘訣や意義を語り、その内容を受けて全員でトークセッションを実施しました。本講演録では、自社にとって有効な調査を行えるか、そのためのヒントをご紹介します。

講師

  • 小澤

    小澤 政生 氏

    株式会社TechBowl 代表取締役社長

    京都大学卒。元サイバーエージェント採用責任者。有名企業のエンジニアから実務が学べるオンラインコミュニティ「TechTrain」を運営。のべ15,000人以上のエンジニア候補者のキャリア支援を経験。イキイキ働くエンジニアを増やし、毎日楽しいサービスが生まれる技術のサラダボウルを生み出す。



  • 中川

    中川 功一 氏

    大阪大学大学院 経済学研究科 准教授

    大阪大学を拠点にしつつ、HRサミット、BOND-BBT MBA、生産性本部などで広く志ある皆さんにイノベーションの必要性と技法を伝えて回っています! 2008年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。主な業績:Innovation in VUCA world (2017 Academy of Business and Emerging Markets, Best Paper Award).『戦略硬直化のスパイラル』(有斐閣)、『ど素人でもわかる経営学』(翔泳社)発売中!YouTubeチャンネル「中川先生のやさしいビジネス研究」でも経営学動画配信中。



  • 松岡

    松岡 仁

    ProFuture株式会社 取締役/HR総研 主席研究員

    1985年大学卒業。文化放送ブレーンで大手から中小まで幅広い企業の採用コンサルティングを行う。 ソフトバンクヒューマンキャピタル、文化放送キャリアパートナーズで転職・就職サイトの企画・運営に 携った後、2009年より現職。各種調査の企画・分析を担当し、「東洋経済オンライン」「WEB労政時報」に 連載中。



  • 寺澤

    寺澤 康介

    ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長

    1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

「人事が行う社員向け調査」は今後どうあるべきかを考える
株式会社TechBowl 代表取締役社長 小澤 政生 氏

5つの失敗例から学ぶ、調査を成功させる方法

私からは、企業サイドから見た「人事が行う社員向け調査」の在り方について、よくある5つの失敗例をもとにご紹介します。
まず1つ目は、「アンケートの意図がわからない」です。例えば、「コロナ禍での労働環境についてのアンケート調査です。ご回答ください」だけだと、社員にとっては何のために取っているのか、このアンケートがどう使われるのかが分かりづらいですよね。やはりこの場合、協力したいと思ってもらえる背景やお願いの仕方、ちょっとした一言が大事になってきます。良い例としては、「コロナによって労働環境が激変しています。皆さんの労働環境を少しでも改善すべく、アンケートに回答ご協力お願いいたします」といった感じです。また、社員にとって回答することの「うま味」が何かが具体的にイメージできるようにすると良いでしょう。
2つ目は、「質問項目が多すぎて社員が息切れする」です。ポイントとしては、「聞いたほうがいい質問」は削って、「聞くべき質問」だけに絞ること。特に頻度高く聞くような質問は3問以内で、回答時間の目安は3分以内にすることです。回答結果の集計はあくまで手段であり、手段自体が目的にならないようにすること……などが挙げられます。
3つ目は、「結果が共有されない(または遅すぎる)」です。上手くいかせるポイントとしては、「こんな結果でした!」を速報で出すこと。早ければ早いほど社員は「回答してよかった」と感じ、次回も回答してくれる可能性が高まります。その際に、感情は乗せないようにしましょう。ファクトを共有することこそが重要です。
4つ目は、「声の大きな人から潰せていない」です。社員の数が多いと、ついついパーセンテージばかりを見てしまいがちですが、全体最適を意識しすぎると確実にスピードが落ちます。したがってトッププレイヤー、マネジメントライン、労働組合幹部など上の声から拾って分けて聞くことがポイントになります。
5つ目は、「依頼者がトップ&バイネームではない」です。例えば、「人事部からのアンケートです」と表記すると、誰が出しているのかわからなくなり、回答率が下がってしまいます。ここは「人事部長の〇〇です」「社長の〇〇です」等、トップ&バイネームで依頼文を作成することがポイントになります。
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