新型コロナウイルス感染拡大の影響は、長らくメンバーシップ型で運用されてきた日本の雇用慣行の課題点を浮き彫りにしました。ジョブ型雇用が存在感を増す中で、人と組織の関係やキャリアはどう変わるのでしょうか。本講演では、法政大学名誉教授の諏訪康雄氏が、アフターコロナの雇用とキャリアのあり方を考えるとともに、それらと親和性が高い「キャリア権」の理念と具体化についてお話いただきました。

講師

  • 諏訪

    諏訪 康雄 氏

    法政大学 名誉教授/認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長

    1970年に一橋大学法学部卒業後、ボローニャ大学(イタリア政府給費留学生)、東京大学大学院博士課程(単位取得退学)、ニュー・サウス・ウェールズ大学客員研究員(豪州)、ボローニャ大学客員教授、トレント大学客員教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、厚生労働省・労働政策審議会会長等を経て、2013年から法政大学名誉教授、2018年から認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク理事長。専攻は、雇用政策法・労働法。
    主な著書に『雇用政策とキャリア権』(弘文堂・単著)、『雇用と法』(放送大学教育振興会・単著)、『労使コミュニケーションと法』(日本労働研究機構・単著)、『労使紛争の処理』(日本労使関係研究協会・単著)、『外資系企業の人事管理』(日本労働研究機構・共著)、『キャリア・チェンジ!』(生産性出版・編著)など。

日本の雇用システムは、ジョブ型に移行できるか。その鍵となる「キャリア権」とは

人や立場で大きく異なる、コロナ禍の仕事をめぐる喜怒哀楽

みなさんは、最近の世相を見て、こんなイメージはないでしょうか? 日本の伝統的なメンバーシップ雇用やリアル思考のアナログ人間は活躍の場をだんだん失い、ジョブ型雇用やバーチャル思考のデジタル人間が大手を振るうようになるのではないか。おじさん・おばさん社員は元気がなくなり、若手が意気揚々と仕事をする、そういう時代になるのではないかというイメージです。果たしてそうなのか、あるいはそんなことが起きた時にどういう風に考えればいいのか、ということについて本日はお話ししたいと思います。

コロナ禍において、仕事をめぐる喜怒哀楽がありました。テレワークなどによってワークライフバランスが良くなったと若手社員は喜びました。一方で、コミュニケーションや生産性が下がったと管理職や経営者は嘆きます。テレワークで個人の職務能力が明確に見えることで、ITが苦手な中高年は意気消沈しました。あるいは若手はテレワークでゆとりができ、新しいことができたり、子育てがしやすくなるという状況が生まれたりもしたのです。もちろん、テレワークができる環境になく、それをうらやむ人たちもいました。

このように、人によって随分違った変化が起きたわけですが、ここで日本の就業者の年齢層を見てみましょう。総務省統計局『労働力調査』の2020年7月データでは、45歳以上の中高年は55%、55歳以上は31%です。中高年が絶対多数となり、人生100年時代において、70歳以上まで働くことが予想される若い人たちは、それを考えると元気いっぱいというわけでもないようです。
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