スマホやパソコンなどを介して、自宅や離れた場所からでも受講することができる「オンライン研修」。新型コロナウイルスの感染拡大によって、新入社員の集合型研修をオンライン研修に切り替えるといったニュースは記憶に新しい。テレワークや時差出勤など、従業員の働き方は多様になってきている。対面でのコミュニケーションが減ることで、人材育成の現場でもオンラインによる研修の受講や開催に対するニーズが旺盛だ。本記事では、オンライン研修の種類や特徴を明らかにし、メリットやデメリットなども紹介する。
「オンライン研修」とは? 特徴やメリットを解説

「オンライン研修」とは?

「オンライン研修」とは、スマホやパソコンなどを介して、自宅や離れた場所からでも受講することができる研修を指す。「オンデマンド研修」と呼ぶこともある。

近年の働き方改革によって、テレワークを導入する企業から注目を集めていた「オンライン研修」。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、多くの従業員を一ヵ所に集めて行う研修から、「オンライン研修」へ切り替える企業がこれまで以上に増えている。

オンライン研修は、PCや通信環境など最低限の準備さえすれば、簡単に受講や開催をすることができる。オンライン研修は、形式や参加方法にいくつか種類がある。また、オンライン特有の特徴もあるためここで紹介したい。

●「オンライン研修」の種類
オンライン研修の形式は「ライブ配信型」と「録画型」の二つに分けることができる。「ライブ配信型」は、Web会議システムを使ってリアルタイムで研修を受講する形式を指す。「録画型」は、録画された研修プログラムをオンライン上で受講する形式だ。「eラーニング」や「Webラーニング」といった名称が使われることもある。

「ライブ配信型」のメリットの一つにあるのが、リアルタイムで講師に質問ができ、その場で理解を深められるところだ。ただ、ライブで配信されているため、スケジュールを確保しなければいけないデメリットがある。また、音声や画像が乱れるといった通信環境のトラブルも時に発生することがある。「録画型」は、その場で講師に質問をすることができないが、自分のスケジュールを気にせず好きな時間に受講することができる。

また参加方法は、「個人参加型」と「集合型」の二つがある。「個人参加型」は、自宅や会社のデスクなどから一人で受講する方法を指す。「集合型」は、一ヵ所の会場に集まり、全員で同じモニターを見ながら研修を受講する方法だ。

「個人参加型」は、一人と言ってもWeb会議システムの機能を活用することで、複数の受講者とコミュニケーションを取りながら研修を受けることができる。リアル開催よりもコミュニケーションは少しとりづらいが、グループワークも可能だ。また、個人参加型は自分のペースで進めていけるため、あらかじめ録画された研修と相性が良い。

「集合型」は、講師とはオンライン上のやりとりになるが、実際の会場では受講者同士でコミュニケーションを取ることができる。個人参加型よりもグループワークはスムーズに進行することができるだろう。参加者間のやりとりは、音声や画像の乱れを気にしなくてもいい。

●「オンライン研修」の特徴
オンラインでは、リアルよりも一方向での研修になってしまうのではないかと危惧する方がいるかもしれない。それを緩和するのがチャットだ。Web会議システムの多くはチャット機能が付いており、双方向のコミュニケーションを取ることができる。講師への質問のほか、取り組んだ課題の発表など、活用方法は様々だ。

また、オンライン研修は自宅から一人で受講するケースが多いが、Web会議システムの機能をうまく活用することでグループワークを実施することができる。受講者を複数のグループに分けることができ、例えば4人だけの空間をオンライン上で作ることができる。前半は座学、後半はディスカッションといったメリハリのある研修が可能だ。


メリットは「適切な人材育成」や「コスト削減」

「オンライン研修」のメリットをここで4つ紹介したい。

(1)適切な人材育成
場所による制約がない分、全国一律の研修を実施することができる。同じ内容の教育プログラムを同じ時間に受けるため、拠点間による教育の格差は生じにくく、適切な人材育成につながる。また、オンライン研修は自宅で受講できるため、産休中や育休中の社員への教育フォローも行える。

(2)時間や移動を気にしなくていい
例えば、録画配信の場合は、参加者は無理にスケジュールを空けることなく研修を受講できる。また、オンライン研修は自宅で受講が可能なため、移動が発生せず、移動時間を気にしなくてもいい。

(3)コスト削減
本社や研修施設で集合研修を実施する際、様々な場所から従業員が多くやって来る。オンライン研修に切り替えることで、交通費がかからないため、企業はコストを削減できる。また、これまで会場をレンタルして研修を実施していた企業は、その分の費用を抑えることができる。

(4)感染症のリスク抑制
集合型研修では一ヵ所に多くの従業員が集まる。オンライン研修では、多くの人との接触を避けることができるため、感染症のリスク抑制につながる。

デメリットは「交流機会」や「インプット機会」の減少

「オンライン研修」のデメリットはどのようなものがあるのだろうか。いくつかここで紹介したい。

(1)不向きな実践型研修
グループワークやモノを使う実践型の研修は、オンライン上でのやりとりを考えると不向きと言える。オンラインでのコミュニケーションは1対1になりがちなため、グループワークでよく行われるディスカッションを行う際、受講者はやりにくさを感じるだろう。

(2)交流機会の減少
集合型研修をオンライン研修に切り替えることで、従業員の交流機会は減少するだろう。例えば、リアル開催の研修で久しぶりに同期に会い、刺激をもらって仕事のモチベーションが上がるといったケースがなくなる。集合型研修の後によく開催される交流会もないため、従業員同士のコミュニケーションやネットワーク形成の機会も減少する。

(3)インプット機会の減少
ライブ配信型のオンライン研修では、チャットを使って講師に質問をすることができる。ただ、質問の数が多い場合は講師がチャットを見逃すことがある。インプットの機会が減少することで、研修の理解度にも影響する。
「オンライン研修」は、教育格差の是正や移動時間の短縮、コスト削減、感染リスクの抑制といったメリットがある反面、オンライン特有のデメリットもいくつかある。ニューノーマルと呼ばれる時代にある今、多くの企業はテレワークとうまく付き合っていかないといけない。オンライン上で行われる人材育成は、これまで以上に増えていくだろう。オンライン研修を受講する側も開催する側も、非対面特有の懸念をいかに払拭していくかが、人材育成のポイントになるだろう。
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