働き方改革に加え、テレワークの定着やITの発展などもあって、研修のスタイルが大きく様変わりしている。最近増えているのが、「オンライン研修」を導入する企業だ。ただ、実際にどう実施すれば良いのか、悩みを抱える人事担当者も多いのではないだろうか。そこで、今回は「オンライン研修」を行う際のコツや注意点などを解説していきたい。
オンライン研修

テレワーク下でも失敗しない「オンライン研修」のやり方を紹介

「オンライン研修」とは、パソコンやスマホなどを活用しながらインターネットを経由して行う研修の総称だ。Web会議ツールやeラーニングサービスにより、全国どこからでもオンラインで受講できる。

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「オンライン研修」には2つのパターンがある。Web会議システムと研修サービスだ。それぞれの概要とやり方を説明していこう。

【Web会議システムの場合】

Web会議システムとは、パソコンやスマートフォンなどの機器を介してインターネットにアクセスし、いつでもどこからでも社員同士でコミュニケーションができるツールだ。多くの拠点をオンラインでつなげられるため、従来社内において実施してきた研修を、より手軽にしかも低コストで行える。

Web会議システムを用いた「オンライン研修」を行う際には、以下の4つのステップが想定される。一つひとつ解説していきたい、

(1)契約
まずはWeb会議システムを提供する会社と契約をすることから始まる。無料で利用できるサービスもあるが、接続の安定性や機能面の充実ぶりを有料のサービスと比較すると見劣りしてしまうことは否めない。

(2)準備
契約の次は、準備が欠かせない。準備しなければいけないものは、Web会議システムがインストールされたパソコンとヘッドホンセット、USBカメラ、印刷テキスト、有線ネット環境などだ。これらは、前もって用意しておきたい。

(3)研修の日程決め・連絡
準備が整えば、受講者への研修の日程の連絡が必要だ。Web会議システムに参加するには、受講者が自らログインやサインインをしなければならない。そのためにも、接続方法を事前に伝えておく必要がある。

(4)資料の共有
資料の準備ができたら、受講者が必要な資料を前もってインポートできるように余裕を持って共有しよう。

【研修サービスを使う場合】

一方、研修サービスは研修コンテンツを提供している企業のカリキュラムを利用して、「オンライン研修」を受けてもらう仕組みだ。動画配信サービスなので、受講者は自宅で自分の都合に合わせていつでも何度でも研修を受けることができる。

研修サービスによる「オンライン研修」を始めるには、準備段階で以下の通り3つのステップがある。それぞれについて解説していこう。

(1)自社に合ったサービスの導入
多種多様の研修サービスがある。まず、それらの中から自社に必要なコンテンツを提供している研修サービスを選択し、料金プランやフォロー体制なども検討した上で、導入していくことが必要になる。

(2)自社に適した研修プランの作成
次は、研修サービスの内容を確認し、自社にフィットした研修プランの作成に取りかからなければならない。その際のポイントになるのが、受講の選択や決定の方法、受講期間・回数、社内での運用の流れ、費用負担などだ。これらを踏まえらうえで、研修プランを作成する必要がある。

(3)対象者への告知・運用
最後に欠かせないのが、受講者への「オンライン研修」の実施内容の告知、実際の運用。受講可能なコンテンツを周知させたり、受講者の声を共有したりするのも得策だ。

おさえておきたい「オンライン研修」の3つのコツとは

「オンライン研修」を成功させるためにはどうすれば良いのか。そのためのコツを3つ紹介しよう。

(1)テクニカルトレーニングの実施

受講者のなかには、「オンライン研修は初めてである」とか、「どうも慣れない」といった人もいるはずだ。そうした従業員も気軽に参加できるよう、基本的なテクニックを研修前にトレーニングしておく必要がある。具体的には以下の項目が想定される。

・オンライン研修を受講するための接続方法や操作方法
・マイクのオン/オフの切替、ミュート操作(Web会議システムの場合)
・カメラのオン/オフの切替、ミュート操作(Web会議システムの場合)
・オンライン上での資料の共有方法(Web会議システムの場合)

(2)機器や通信状況の事前確認

「オンライン研修」を行うにあたっては、パソコンやネット回線、マイクの設定や確認、機材の動作チェック、ネットワークへの接続テストなどを済ませておかないといけない。可能であれば、それらは前日までに準備しておきたいものだ。また、紙の資料やテキストを使用する場合は、核拠点に確実に届くように手配をしておく必要がある。

(3)コンパクトなタイムスケジュールの策定

「オンライン研修」を行う際には、できるだけコンパクトなタイムスケジュールを組むことも重要だ。パソコンやスマホの画面を長時間見続けていると、どうしても集中力が低下する。それだけでなく、目も疲れてしまう。

また、ヘッドフォンで聞き続けることでの耳への負担も気になる。それだけに、講義は30分から1時間ほどとし、その間に10分ほどの休憩をはさんだり、ディスカッションやグループワークを織り込んだりして、オンラインの時間を短縮するなどの工夫が求められる。さらに、テキストを事前に配布して受講者に予習をしてきてもらうことも良い方法といえる。

「オンライン研修」を実施するうえでのポイント・注意点とは

より効果的に「オンライン研修」を実施するには、幾つかのポイントと注意点が挙げられる。それらを紹介しよう。

【ポイント】

●双方向性のある進行を心がける
「オンライン研修」の効果を高めるには、講師と受講者とのインタラクティブなコミュニケーションが欠かせない。例えば、質疑応答やフィードバックの時間を設けたり、グループでディスカッションを行ったりするのも良い方法だ。

●進行のサポート役をつける
「オンライン研修」を円滑に進めるためにも、システムに精通した人を進行の補助役(オペレーター)として置きたい。研修中に機材のトラブルが起きないとも限らない。そのようなケースにすぐに対処してもらえる体制ができていると、講師も受講者も安心できる。

●顔出し受講にする
効果の高い「オンライン研修」を実施するなら、基本的に「顔出し」での研修とすることをお勧めしたい。顔を出さなくても受講できるが、顔を出して研修することで緊張感が伝わり、集中力も高まる。また、相手の顔が見えると、グループディスカッションを行った時に臨場感が生まれやすくなる。「部屋の様子が見えるのは困る」という方には、Web会議システムの機能を使って背景をバーチャル設定にすることもできる。その方法を事前に受講者に伝えておくと良い。

●チャットの活用
チャットの活用も有効だ。チャットとは、インターネットを介してリアルタイムで会話できる仕組みを言う。多くのWeb会議システムには、チャット機能が付いており、映像と並行してチャットで会話ができたり、講師への質問も書き込めたりできる。こうしたやりとりをすることで、受講者の参加意識も高まり、臨場感ある研修が実現される。

●研修後のフォロー
「オンライン研修」も実施したら終わりではない。受講者へのフォローは不可欠となってくる。受講者にアンケートやレポートの提出を依頼したり、後日フィードバックを行ったり、今後の研修の在り方を再検討したりなど、PDCAのサイクルを回していくことを勧めたい。

●日常的な社内コミュニケーションの構築
「オンライン研修」の効果を上げるには、双方向性のコミュニケーションが必要であることは既に述べた通りだ。そのためにも、日頃から年齢や役職に関わらず、誰もが気軽に社内コミュニケーションを図れる環境づくりを行っておくことが重要になってくる。

【注意点】

●ワークショップ形式は不向き
「オンライン研修」は声と顔しか分からないため、名刺交換などのロールプレイングや受講生が何かを共同で作り上げていくワークショップ形式の研修には不向きであると言える。

●受講者同士の交流が少ない
「オンライン研修」は、受講者同士の交流が少なくなる傾向がある。グループワークがなければ、画面越しに独りで受講しているだけになりがちだからだ。それだけに、研修の流れのなかにディスカッションの時間を設けてみたり、主催者側からアイスブレイクを入れてみたりするといった工夫が必要となってくる。
今回は、「オンライン研修」を成功させるためのコツやポイント、注意点を解説してきた。ニューノーマルな働き方が定着するなか、効果的な人材育成に向けて、「オンライン研修」のポイントやコツをおさえたうえで実践してみてはいかがだろうか。
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