「中小企業の障がい者雇用」促進に活用できる助成金や認定制度とは

障がい者雇用の悩みと解決のヒント

障がい者の雇用数や雇用率を見ると年々増えてはいますが、「中小企業における障がい者雇用」は大企業に比べると厳しい状況が見られています。それは、実雇用率の達成度合いをみても明らかとなっており、従業員1,000人以上の企業では雇用率が「2.31%」と、「法定雇用率2.2%」以上の障がい者を雇用しています。しかし、それ以下の企業では、雇用率をクリアできていません。そのため国としては、中小企業に障がい者雇用の取組みを進めてもらうため、「助成金」や「認定制度」を準備しています。ここでは、中小企業が活用できる助成金や認定制度について、見ていきます。

中小企業が活用したい障がい者雇用の助成金

中小企業が活用できる障がい者雇用の助成金としては、「特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)」があります。これは、全国どこの地域でも活用できる助成金です。

また、企業のある地域によっては、中小企業の障がい者雇用を支援するため、独自の施策を設けているところもあります。ここでは例として、東京都の「中小企業障害者雇用支援助成金」と、富山県・富山市の「障害者雇用奨励金」について見ていきます。

あなたの企業の所在地でも同じような雇用支援や雇用奨励の助成金があるかもしれません。労働局や市区町村の商工労働部などに、問合せてみるとよいでしょう。

(1)特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)
障がい者雇用の経験のない中小企業(障がい者の雇用義務制度の対象となる労働者数45.5〜300人の中小企業)が障がい者を初めて雇用し、この雇い入れによって法定雇用率を達成する場合に助成されるものとなっています。

【受給要件】
この助成金を受給するには、以下の要件が必要となります。

・支給申請時点で、雇用する常用労働者数が45.5〜300人の事業主であること。

・初めて障がい者を雇用し、1人目の対象労働者を雇い入れてから、3ヵ月以内に法定雇用率以上の障がい者を雇用すること。

・1人目の支給対象者の雇入れ前の過去3年間に、対象障がい者の雇用実績がないこと。なお、短時間労働者(週の労働時間が20時間以上30時間未満)の場合には、「2人で1人分」としてカウントされることになります。

雇用関係助成金共通の要件には、細かないくつかの支給要件がありますので、詳細については、下記を参考にしてください。
厚生労働省「雇用関係助成金に共通の要件等」

【受給額】
120 万円

【支給申請方法】
雇入れ完了日の1年後から申請できます。2ヵ月以内に、特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)支給申請書を労働局か、ハローワークに提出します。

<参考>
厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)


(2)東京都中小企業障害者雇用支援助成金
東京都独自に行っている中小企業を対象とした雇用支援助成金です。国の特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コースまたは発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)の助成対象期間が満了となる中小企業に対して、引き続き東京都が独自に賃金助成するものとなっています。

【受給要件】
・障がい者を雇用し、国の特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コースまたは発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)の支給を受け、助成対象期間が満了となった後も、引き続き雇用を継続すること。
中小企業であること(特例子会社を除く)特定求職者雇用開発助成金の支給決定通知書の企業規模欄に「中小企業」と記載されている事業主です。
・該当する障がい者が東京都内の事業所に勤務していること。
・障がい者の雇用管理をより適正なものとするため、相談員の巡回訪問・相談を受けること。
・雇用している障がい者が「就労継続支援A型事業所」の利用者でないこと。
・過去5年間に労働関係法令、障害者虐待防止法、その他重大な法令違反等がないこと。

【受給金額】
・重度身体、知的障がい者、雇用日現在で45歳以上の身体・知的障がい者、精神障がい者に対し、1人当たり月額5万円支給。

・上記以外の障がい者、短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上、30時間未満)に対し、1人当たり月額3万円支給。

助成対象期間は最長3年となっており、6ヵ月毎にまとめて支給されます。

<参考>
東京都「東京都中小企業障害者雇用支援助成金」


(3)富山市の障害者雇用奨励金
富山県・富山市が独自に行っている中小企業を対象とした雇用奨励金です。富山市内に居住する障がい者を常用労働者として雇用する中小企業の事業主に対して、奨励金が交付されます。

【受給要件】
・富山市内にある事業所において障がい者を雇用している中小企業の事業主であること。

・富山市内に住所を有する障がい者を新たに常用労働者として採用し、その障がい者に係る国の給付金(職場適応訓練費、特定求職者雇用開発助成金、特定就職困難者雇用開発助成金及び発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金)の支給満了から、6ヵ月以上常用労働者として継続雇用していること。

・市税の滞納がないこと(減免されている場合はこの限りでない)。

【受給金額】
・短時間労働者(週の所定労働時間が週20間以上、30時間未満以外)の障がい者に対しては、1人につき月額1万7,000円支給。

・短時間労働者の障がい者に対しては、1人につき月額1万2,000円支給。

交付期間は最長2年となっており、6ヵ月毎にまとめて支給されます。交付期間の途中に事業主の都合により解雇された場合は、その期以後の奨励金は交付されません。
 
<参考>
富山市「障害者雇用奨励金について」
また、中小企業限定ではありませんが、障がい者を採用するときに活用できる助成金の「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」や「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」では、中小企業に対しての支給額や助成対象期間が優遇されています。こちらも合わせて活用を検討するとよいでしょう。

詳細は、こちらを参考にしてください。
障がい者を採用するときに活用できる「人に関わる助成金」について

2020年度からはじまった「優良な中小事業主に対する認定制度」とは

2020年4月施行の「障害者雇用促進法」改正からはじまった新しい取り組みです。なお、この認定制度の認定マークは「もにす」という愛称があります。

【認定企業になることのメリット】
認定事業主となることのメリットとしては、次のようなことがあります。

・障害者雇用優良中小事業主認定マークが使用できる
障がい者雇用優良中小事業主は、商品や広告、プレスリリースなどに「障害者雇用優良中小事業主認定マーク」をつけることができます。

・日本政策金融公庫の低利融資対象となる
障がい者雇用優良中小事業主は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」における低利融資の対象となる。

・厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークによる周知広報の対象となる
障がい者雇用優良中小事業主の情報は、厚生労働省及び都道府県労働局のホームページに掲載され、社会的認知度を高めることができます。

また、ハローワークの求人票に認定マークを表示するなど、積極的に周知広報がされることや、障がい者雇用優良中小事業主に限定した合同面接会なども企画することが予定されています。

・公共調達等における加点評価を受けられる場合がある
障がい者雇用優良中小事業主は、地方公共団体の公共調達および国、地方公共団体の補助事業において、加点評価を受けることができる場合があります。詳しくは、公共調達などを実施している地方公共団体にお問い合わせください。

【認定基準】
認定基準としては、「障がい者雇用への取組(アウトプット)」と「取組の成果(アウトカム)」、そして、「それらの情報開示(ディスクロージャー)」の3項目について、各項目ごとの合格最低点に達しつつ、合計で50点中20点(特例子会社は35点)以上を獲得すること、雇用率制度の対象障がい者を法定雇用障がい者数以上雇用していることなどが求められます。

詳細については、「事業主向け認定申請マニュアル」の第4章を参考にしてください。
「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度 申請マニュアル」(事業主向け)


中小企業の障がい者雇用は、大企業と同じ考え方や方法で行おうとすると難しいかもしれませんが、中小企業だからこそできる障がい者雇用もあります。ぜひ、それぞれの企業の経営や事業内容をもとに、あなたの会社だからこそできる障がい者雇用のやり方を考えてみてください。

<参考>
障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)
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著者プロフィール

障害者雇用ドットコム 障害者雇用アドバイザー 松井優子

特例子会社の立ち上げや国立特別支援教育総合研究所主任研究員等を経て、障害者雇用ドットコムを運営、障害者雇用の情報発信やコンサルティングに携わる。東京情報大学非常勤講師。著書に「はじめての企業でもできる障害者雇用を成功させるための5つのステップ」、「障害者雇用アドバイザーが教える障害者枠で働きたい人が知っておくべき就活の基本」、「特例子会社の設立を考えたら必ず読む本」等がある。
障害者雇用ドットコム

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